■安中公害の原因企業の東邦亜鉛の創業時からの主力工場である安中製錬所の一番東側に、同社が高崎信金の名義で農地法違反をして、地元住民を騙してせしめた農地を変電所に作り替え、自らの名義の土地を高崎信金と交換して野球グランドにした場所があります。増設用に設置した変電所は、公害闘争のあおりをうけ頓挫しその後半世紀の間、朽ち果てていました。ところが3年前にK砕と呼ばれるスラグ置き場を東邦亜鉛が突然作り始めました。当時の様子は次のブログをご覧ください。
〇2016年4月23日:近年になく紛糾した東邦亜鉛安中製錬所における4.9第25回工場視察会の参加報告(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1969.html

↑安中緑の大地を守る会の記念公園の一角にある築32年のプレファブ事務所。さすがにあちこち痛んできたので、今回側壁の塗装工事を施工した。写真は施工前の事務所の様子。↑
そのスラグ置き場の鉛・ヒ素入りのK砕が、岡田工務店に長年出荷され、県内各地の公有地や民有地にばら撒かれていたことが発覚し、6月9日に東邦亜鉛が渋々公表したばかりですが、このスラグ置き場のすぐ近く、高崎信金の野球グランドの隣に、安中公害闘争の聖地である安中緑の大地を守る会(前身・安中公害訴訟原告団)の公園と記念碑、そして事務所があります。
1987年に建てられたこのプレハブ事務所は、既に32年を経過しており、あちこち劣化がみられるため、補修計画が立てられ、少しずつ手直しをすることが決まっています。その一環として8月10日(土)午前9時から午後3時にかけて、有志5名が集まり外壁の塗装工事を実施しました。

↑地表からの雨水の跳ね返りによる発錆がひどい側壁の裾の箇所。↑
■当日は、気温35度を超える真夏日となり、長時間日向に身を置かないよう、日陰で休息をとりながらマイペースで作業を進めました。




↑初回塗り作業。↑
幸い誰もケガもせず、体調不良に陥ることもなく、無事に側壁のさび落としと塗り替え作業を終えました。ただし、地表に近い裾の部分のみ最後に上塗りを行うことになり、8月24日(土)午前9時から1時間ほど仕上げ塗装工事を有志で実施する予定です。




↑仕上げ塗作業。↑
作業中、隣の高崎信金のグランドでは中年の元気な一団が野球の練習をしていました。隣のグランドの境界には何もフェンスなどはなく、長打が出るとボールが講演の敷地内に飛びこんできます。プレファブの事務所の北方向の壁にも当然ボールが当たりますが、グランドに面した壁面にはサイディング材でカバーされていてガラス窓は無く、ボールが当たっても被害はありませんが、換気扇のプラスチック製のフードは破損しています。これは太陽光による劣化と相まって、ボールの直撃を受けたことも一因だと思われます。

↑隣接の高崎信金のグランド。↑

↑この樹木の向こう側に東邦亜鉛のスラグ置き場がある。↑
■午後の作業中、東邦亜鉛のスラグ置き場から重機の唸る音がずっと聞こえていました。この日、作業前の打ち合わせの中でも、東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り有毒スラグ問題がマスコミで報道されたことが話題に上りました。そうした渦中にあっても、相変わらずこうして有毒スラグを毎日排出している状況を見るにつけ、安中公害を経てもしぶとく環境汚染を続けるこの会社のしたたかさを感じざるを得ません。
その一例として、現在、東邦亜鉛安中製錬所の東側に位置する岩井地区における重金属汚染被害を受けた農地の原状復帰方式による土地改良整備事業が、来年度から先行着手される予定ですが、当初の汚染指定地に関係する住民のうち、排客土を希望する者が半数以下となりそうなことが挙げられます。その理由は、東邦亜鉛が地元の有力者を通じて、なんらかの影響力を行使した可能性が挙げられるからです。
本来、安中製錬所からの降下ばいじんにより、野殿、岩井、中宿地区では、畑地など農地や宅地など、あらゆる土地がカドミウム等重金属に汚染されており、汚染土壌の撤去と新鮮土壌による客土は、安心・安全な生活環境保全上、誰にとっても有意義なことのはずです。しかし東邦亜鉛は表向きは
公害ゼロを目指す」としていますが、本音では、そうは思っていません。実際に筆者もかつて同社の安中製錬所長に「もうカドミ公害問題も解決し、農作物にも被害が出なくなったのだから、排客土事業はいらないだろう」と耳打ちをされたことがあります。
このように、東邦亜鉛にとって、安中製錬所の操業が最優先であり、その利益を最大にするには、周辺の自然環境。生活環境、営農環境など二の次なのです。つまり、排客土工事は会社にとって余計な出費を余儀なくされるものであり、会社の利潤追求にとってマイナスでしかないのです。
しかも今回、有毒スラグの県内各地へのばら撒きを多年にわたり、意図的に繰り返していた事実が発覚したことにより、同社試算でこれまでに19億円、今後も50億円規模でスラグ撤去のための費用を見込んでいるということから、ますます安中製錬所周辺の畑地の重金属汚染土壌対策を目的とする碓氷川流域公害防除特別土地改良事業にブレーキがかかることが懸念されます。
■午後3時までに後片づけを終えて散会しましたが、側壁を塗り替えただけでも見違えるほどきれいになったプレファブ事務所となり、今後とも公害企業の東邦亜鉛に対して、監視を続けていくべく、決意を新たにした次第です。



↑シリコン配合の耐候性ペイントを使用。↑
【ひらく会情報部】
※参考情報1「公園内モニュメントの碑文(表)」
**********

緑の大地を
大地は、古来、緑豊かな自然を造り、食品その他の資源を供し、人類は永きにわたりその恩恵を享受してきた。
私たち農民の生きがいは、大地を耕し、みのり豊かな作物を収穫することにある。
緑の大地、それは農民にとってかけがえのない、いのちであり、人類が生存しつづけていく源である。
東邦亜鉛安中製錬所から排出された鉱毒は、農民のいのちである大地を汚染し、作物や樹木を枯死させ、養蚕に壊滅的な被害を与え、安中の農民の農業経営を破壊し、生活を奪った。
私たちは、働くよろこびと緑豊かな大地を取り戻すために、公害を根絶するたたかいに立ち上がった。安中製錬所が創設された昭和十二年以来五十年にわたり、私たちは、鉱毒彼我の辛酸に耐え、血を吐くような労苦を重ねて、たたかいを続けてきた。
私たち農民の願いは、公害をなくし、安中の美しい自然を回復するとともに、先祖伝来うけついできた田畑の汚染を除去し、緑豊かな大地に復元して、子孫に引き継ぐことである。
この切なる願いをこめて、私たちは十五年間、安中公害裁判闘争を続けてきた。昭和六十一年九月二十二日、多くの人々の協力を支援をえて、東京高等裁判所における訴訟上の和解成立と東邦亜鉛との公害防止協定締結による同時解決をかちとった。
裁判闘争解決一周年にあたり、公害の激甚地、送電線設置反対運動の勝利の象徴である送電線のひかれていない送電塔を眺望する、ここ岩井西ノ平に、この碑を建立し、安中はもとより日本全国の、破壊された自然環境の回復と公害の根絶を祈念したい。
昭和六十二年九月二十二日
安中公害裁判原告団
送電線設置・工場拡張反対期成同盟
安中公害対策被害者協議会
東邦亜鉛工場拡張認可取消請求人団
安中公害被害補償請求人団
**********
※参考情報2「公園内モニュメントの碑文(裏)」
**********

安中公害原告団名
大塚紋蔵 湯井酉蔵 承継人一松 湯井勘三 前川仲三
神成春雄 赤見千代松 承継人 優 柴山宗哉 承継人宗寛
白石益雄 白石正一 小野文雄 小川徳良 小川イト
岡田治郎 岡田初男 小川實保 承継人ゑん 大塚葛造
茂木治太郎 承継人八郎 宮沢貞安 大塚 仁 大塚徳次
峯岸八百吉 承継人一郎 白石宗三 滝沢常吉 白石清一
岡田正治 承継人ぎん 茂木 昇 河井しん 河井 清
大塚 忠 大塚 繁 峯岸伝之助 承継人一夫 宮沢喜作
宮沢晴作 承継人鉄雄 峯岸𠮷郎 承継人喜久江 木村兼吉
古達豊彦 川保 正 湯井幸太郎 承継人はつ 茂木喜三郎
小川義市 承継人 貢 小川正三 小川あさ 小川益三
小川文治郎 承継人勝己 前川正夫 赤見皆吉 赤見永吉
加部昇平 清水省七 小野冨八 依田よし 清水文雄
加部ちゑ子 藤巻岩男 藤巻良太郎 承継人千枝 依田吉郎
大河原定太郎 承継人 博 承継人みつ江 清水タキ 中島富美
内川徳好 承継人 寔 内川幸平 内川義雄 中島才一
中嶋喜一郎 松本たま 承継人 浩 藤井隆二 清水 敬
滝沢芳郎 渡辺吉司 藤巻卓次 嶋田ミヤ子 藤巻文夫
佐藤登一 承継人秀司 小俣源造 承継人ヒサ 内田正敏
松本良三 承継人まん 木村久男 滝沢 淳 中島修二
高橋たか江 承継人はる 中島きみ 承継人一郎 佐藤うめ
櫻井高次郎 承継人房次 須藤和久治郎 戸塚一郎 田中いわ
中島忠平 白石辰之助 庄田勇太郎 箕浦はる 白石五郎
松本好広 山田彦太郎 吉田久雄 大久保かつ 萩原 博
白石一郎 伊早坂萬𠮷 承継人ふさ 櫻井筌太郎
原告団常任事務局名
森田春雄 内田宇吉 有川良子
安中公害常任弁護団名
角田儀平治 高田新太郎 飯野春正 小野寺利孝 金井厚二
犀川幸人 宮川光治 篠原義仁 野上恭道 清水恵一郎
富岡慎三 広田繁雄 高坂隆信 小林 勝 白井功一
池末登志博 下田範幸
協力科学者名
本間 慎 平田 誠 森下豊昭 谷山鉄郎 島崎 稔
小林 純 梶井 功 倉地三夫 枠谷 修 高柳孝行
浅見輝男 三上紘一 小林一正 斉藤安史 村瀬千明
支援団体名
群馬地方労働組合評議会 群馬民主医療機関連合会
安中公害署名推進連絡会議 群馬文化団体連絡会議
安中公害裁判を支援する会 安中公害東京連絡会
**********
※追加情報【8月10日までのマスコミ報道】
**********毎日新聞東京朝刊2019年8月10日
有害スラグ 東邦亜鉛、群馬の公園などに使用
環境基準を大きく超える鉛やヒ素が含まれる砂利状の金属片「スラグ」が、群馬県内の公園、駐車場、住宅の庭などで使用されていた。東証1部上場の金属メーカー「東邦亜鉛」の安中製錬所(群馬県安中市)から排出されたもので、毎日新聞の取材に対し、同社の取引先の建設会社は自社工事分だけで使用が数十カ所に上ると明らかにした。東邦亜鉛は9日、有害なスラグの出荷を認めて関係者に謝罪。同社負担で回収・撤去する方針を示し、費用が約69億円に上る可能性があると発表した。
スラグは金属製錬の際に炉にたまる金属くずで、基準を超える有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されるケースもある。毎日新聞は同社製スラグを取引先から入手し、国指定の検査機関に分析を依頼したところ環境基準の55倍の鉛と6倍のヒ素が検出された。
同県高崎市の建設会社などによると、東邦亜鉛は少なくとも10年前からスラグを販売。建設会社は公園整備や道路舗装などの公共工事に利用したほか、県内のガーデニング会社に転売し、住宅の庭や駐車場に敷き詰められていた。専門家から子どもの健康被害などを懸念する声が出ている。
昨年9月、この建設会社も整備に関わった高崎市の公園駐車場などを群馬県や同市が調査し、基準の最大57倍の鉛や同3倍のヒ素を検出。県などは廃棄物処理法違反の疑いがあるとみて既に東邦亜鉛を立ち入り検査した。違反が認められれば行政処分や刑事告発などが行われる可能性もある。建設会社社長は「東邦亜鉛から安全な資材と説明され、有害物質が検出されなかったという検査結果も受け取っていた」と話した。東邦亜鉛総務部は8日、毎日新聞の取材に「環境基準を超過する製品(スラグ)が出荷され、一部販売先で品質管理が十分されていなかった」とコメント。出荷件数などは調査中とした。
**********FNNフジテレビ2019年8月10日(土)12:13
“基準超”鉛など含む資材 群馬県内の公園などで使用か
環境基準を大きく超える鉛やヒ素を含んだ資材が、群馬県内の公園や住宅の庭などで使われている可能性があることがわかり、出荷した製錬所を運営する会社は、回収や撤去を進めることにしている。
問題の製品を出荷していたのは、金属メーカー「東邦亜鉛」の群馬県にある安中製錬所。
東邦亜鉛によると、金属を精錬する際にできる「スラグ」と呼ばれる製品で、環境基準を大きく超える鉛やヒ素が含まれるものが、砂利や舗装などの資材として販売されていた。
2016年4月から出荷を停止しているが、群馬県内の公園や住宅の庭などで使われている可能性があるという。
東邦亜鉛は、環境基準に対する認識や出荷先管理が不十分だったとして謝罪し、除去が必要な場合、回収・撤去を進める方針。
問い合わせ先は「03-6212-1722(平日午前9時~午後5時半)」まで。
**********上毛新聞2019年8月10日/共同通信2019年8月10日11:49/徳島新聞2019年8月19日11:38
公園に基準超の鉛やヒ素 東邦亜鉛が出荷、非鉄スラグ製品

↑東邦亜鉛の非鉄スラグ↑
東邦亜鉛は10日までに、安中製錬所(群馬県安中市)が道路の基盤用などに出荷した非鉄スラグ製品の一部に、土壌環境基準を超える鉛やヒ素が含まれていたと発表した。公園やガーデニング用など人に触れる可能性がある場所にも使われており、同社は昨年から撤去を進めていたがこれまで発表していなかった。健康被害は報告されていないという。
東邦亜鉛によると、非鉄スラグは亜鉛の製造工程で出る砂利のような形のもので、セメントや道路の基盤材として販売していた。2016年に他社の品質問題や日本鉱業協会のガイドライン変更を受け同年4月以降出荷を停止した。
**********産経2019年8月10日17:16
群馬の公園に基準超えの鉛やヒ素 東邦亜鉛が出荷の道路基盤材
東邦亜鉛は、安中製錬所(群馬県安中市)が道路の基盤用などに出荷した非鉄スラグ製品の一部に、土壌環境基準を超える鉛やヒ素が含まれていたと発表した。公園やガーデニング用など人に触れる可能性がある場所にも使われており、同社は昨年から撤去を進めていたが、これまで発表していなかった。健康被害は報告されていないという。
東邦亜鉛によると、非鉄スラグは亜鉛の製造工程で出る砂利のような形のもので、セメントや道路の基盤材として販売していた。平成28年に他社の品質問題や日本鉱業協会のガイドライン変更を受け同年4月以降出荷を停止した。
昨年8月に調査チームを設置して使用場所の特定などを進め、一部を撤去した。問題を把握した時期や使用された場所は調査中として明らかにしていない。撤去費用は計約69億円に上る可能性があるとしている。
東邦亜鉛は「地域住民の皆さまや関係各方面の皆さまにご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる」としている。
**********