市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

市民とりわけ幼児や児童・生徒の放射能被曝に対して認識不十分が心配な安中市の岡田市長

2012-07-18 01:47:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■平成24年2月16日の岩野谷公民会で開催された地区別懇談会の席上、岡田市長は、東電福島原発事故由来の放射性物質による食品汚染対策として、安全、安心な市民生活の観点から、次のような発言を行いました。

第4次航空機モニタリングの測定結果を反映した東日本全域の地表面から1m高さの空間線量率。

**********
市長:それで国から1台買ってます。それが1台。それがまあ、いつ来るか分からない。そのために、あのうー、市独自で、買う指示をいたしております。そーれで、その、測定器、検査器はですね、こしゃって店へ置いとくってえ品物ではないんですよね、注文を受けてつくるという、非常に時間がかかる。まあ、3ヶ月ないし4ヶ月、順調に行けば。
住民:予約は入っているのですか?
市長:えっ?
住民:予約は入っているんですか?
市長:ええ、これもう、あらゆる、ところから、あのう、注文を受けていますから。全国から。
住民:安中市は注文をしているわけなんですか。現在。
市長:はい。
司会:国からというか、消費者庁ですか。そこから、早ければ5月にくるという予定。
教育長:一応予定では、5月末に入る予定です。
住民:それは一般市民も、お金を出して予約したりして使えるようにはしてもらえるわけですかね?
市長:そういうことです。それですね、我々もそうなんですけども、この機械はですね、もし高い数値が検出された場合には、その機械を全部洗浄しなくちゃならない。それから、その測定、検査に当たる、人ですね。職員。全部洗浄しなくちゃならない。非常にですね、あのうー、慎重を期さなくっちゃならない。
住民:例えば高い線量の食物なら、それを持っていた場合ですね?
市長:はい。検査で。非常にですね、誰でも測定できるという、非常に、精密であるだけに、非常にその使う人が、不慣れだと、まあ危険も出てくる。まあ、こういう裏返しでありますので、庁内協議はしっかりして、その体制を整えないと。はい。
**********

■そして、その後、5月末も過ぎ、いまや2012年も半分が経過して、7月になりました。そこで、先日、安中市役所でその後の経過を関係部署から聴取しました。

 平成24年5月21日に配布された資料によれば、安中市では、放射性物質対策として、これまでに次の施策を行なってきました。

(1)平成23年3月:水道水の検査実施
(2)平成23年6月:小中学校、保育園等、47地点で空間放射線量の定点観測開始
(3)平成23年6月:小中学校のプール水の検査実施
(4)平成23年6月:市内浄水場の浄水発生土の放射性物質の測定実施
(5)平成23年7月:一般廃棄物焼却施設・し尿処理施設の焼却灰の放射性濃度測定
(6)平成23年8月:小中学校、保育園等の市有施設の側溝や雨樋など周辺に比較して放射線量の高い場所の除染実施。
(7)平成23年11月:市内77地点において空間放射線量を測定
(8)平成23年12月:群馬県学校給食会による学校給食の検査実施
(9)平成24年1月:学校給食の自主簡易検査開始
(10)平成24年1月:定点観測の地点を47地点から113地点に拡大
(11)平成24年1月:汚染状況重点地域に基く市内の汚染状況の測定調査実施
(12)平成24年3月:農地の空間放射線量の測定実施
(13)平成24年3月:文科省の走行サーベイを借り受けて測定実施。
(14)平成24年6月:放射線測定器の貸出開始

■ところで、上記の経緯を見ても、今年2月の地区別懇談会で岡田市長が導入を確約していた食品等の放射性物質検査機器について書かれていません。既に5月はおろか、7月になってしまいました。一体どうなっているのか、調べる必要があると考えました。

 すると、当初、市役所にある消費生活センターに導入して設置するような計画だったようですが、消費者庁から独立行政法人国民生活センターを通じて貸与を受けた食品用放射性物質検査機器は、松井田学校給食センターに設置され、5月21日から給食食材の検査を開始していたことが判明しました。検査は、各給食施設で使用している食材から1品を選び、各施設が2週間に1回の検査となるよう順次実施していましたが、6月4日(月)からは、各施設が1週間に1回の検査を実施しています。
http://www.city.annaka.gunma.jp/news/houshasen/kyuushokusokutei.pdf

■それでは、現在に至るまでの経緯を見て見ましょう。

 これまでの報道によれば、平成23年12月7日に、安中市は市議会の一般質問で、全市小中学校の学校給食の放射性物質を調べるために簡易測定器を10台購入すると発表しました。旧安中地区の自校方式の9校と旧松井田地区の10校分を調理している松井田給食センターの計10箇所に配備して、調理済みの給食や食材の検査を実施する予定。なお、簡易測定器は10台で204万円で、市教委は消費者庁が行なっている自治体への精密な測定器の貸出にも申し込みをしました。

 このあと、安中市教委は平成23年12月19日付で、ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析法で、同12月13日に群馬県薬剤師会に依頼して、松井田学校給食センターで、かつ甘辛煮・アーモンド和え・豆腐となめこの味噌汁を計測して、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137のいずれも不検出だったことを松井田地区の保護者に通知しました。

 その後、安中市教委は、平成24年1月13日付で、学校給食用の干しシイタケについて、平成23年12月2日に松井田学校給食センターで調理したすいとんの食材に使用した干しシイタケと同じ製品を同12月16日に群馬県薬剤師会の環境衛生試験センターで検査したところセシウム134が1キロあたり74ベクレル、セシウム137が1キロ当たり100ベクレル検出されたとして、1ヶ月後に、松井田地区の保護者に通知を出しました。この中で市教委は、実際には当該干しシイタケは水に戻して使用したので放射能は検出されなかったとして、「児童・生徒への健康上の影響はないものと考えています」と説明しました。さらに、独自に放射性物質検査キットを購入して、より安全性の確保に努めたいと述べました。

 一方で、安中市教委は、簡易型測定器を調達して、平成24年1月23日から、調理済みの給食の放射能検査を開始しました。計測の仕方は、職員がまず水を1リットル容器に入れて1分ごとに5回、放射線量を測り、献立のチンジャオロースは16食分の約1キロをミキサーにかけてペースト状にして容器に詰め、同様に5回測りました。約10秒ごとに値は上下し、平均値は水も食品も0.04マイクロシーベルトでした。自然界の放射線量と同じとみる水の放射線量を食品の放射線量から差し引き、余分な放射線が出ているかを調べた検査の結果、原発事故の影響はないと結論づけました。セシウム137の場合、成人が1キロあたり500ベクレルを含む食品400グラムを1年間毎日食べると、被曝は1千マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)弱に相当します。平成24年4月から食品の安全基準が1キロあたり500ベクレルから100ベクレルに下げられるため、市教委はもっと精密な測定器を購入する予定だが、全国から製造業者に注文が殺到し、納入時期は未定という状況でした。
 
 平成24年1月31日には、原市小学校で前日に調理済みのポトフ・フルーツのクリームあえを群馬県薬剤師会の環境衛生試験センターでゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析法で検査したところ、いずれの放射性物質も不検出(=検出限界値未満)だったと発表しました。

■一方、測定器を持っていない自治体のため、群馬県は平成24年4月から5カ所の県教育事務所に機器を置き、市町村が食材を持ち込んで検査できる体制をはじめました。そこで、安中市は西部県民局に設置された食品用放射能検査装置を使って、4月24日と5月15日に各給食施設で使用している食材から1品を選び、各施設が1ヶ月に1回となるように検査を始めました。

 そして、前述のとおり、平成24年6月4日(月)から、消費者庁から貸与を受けた機器を松井田の学校給食センターに設置し、本格的に検査を始めました。東電福島原発事故から実に15ヶ月が過ぎようとしていました。

 安中市によれば、食材に含まれる放射線を計測するための本格的な装置を購入する為に、碓氷川クリーンセンターに4月から移った環境推進課が、現在、入札手続中とのことです。

【注】安中市環境推進課が、現在調達を予定している放射能汚染検査用機器の機種について、市に問い合わせていたところ、7月18日に、次の情報提供が有りました。
それによりますと、ドイツのベルトルート社製のガンマ線スペクトロメーターLB2045で、同製品を扱っている代理店のホームページによると税込みで140万円とあります。
詳細は次のURLをご覧ください。東電原発事故から1年4カ月以上経過しますが、一般市民が食品の安全を自分の目で確かめられるようになるのは果たして何時になるのでしょうか。
http://www.berthold-jp.com/products/isotope/pdf/lb2045_web.pdf

※平成24年7月18日当会にて追記


 いずれにしても、今年2月の地区別懇談会で岡田市長が話した、市民なら誰でも食材を持ち込めば計測できるという体勢には、現時点でも程遠い状況であることが分かります。

■ところで、消費者庁は国民生活センターを通じて、これまで4回にわたり放射性物質検査機器を希望する自治体に配布してきました。

 初めてこの配布計画が発表されたのは、平成23年9月7日(水)13:31~13:50に、消費者庁6階で福島長官が記者会見をしたときでした。

■第1次の配布先は、平成23年11月1日に同庁から発表されました。第1次の募集に対して、128団体(うち県は13団体)から169台の申請がありました。この中には群馬県の団体はありませんでした。放射性物質の影響や地域バランス等を勘案して、第1次の配布先は次の24自治体に各1台となりました。
<第1次配布先>
 岩手県:1:一関市
 宮城県:2:白石市・柴田町
 福島県:14:福島県・郡山市・いわき市・白河市・相馬市・田村市・南相馬市・伊達市・川俣町・会津坂下町・石川町・広野町・川内村・新地町
 茨城県:4:高萩市・日立市・つくば市・取手市
 栃木県:2:栃木県・那須町

■第2次申請の配布先は平成23年11月30日に発表されました。53自治体(うち県は3自治体)から87台の貸与申請がありました。群馬県内からははじめて6市町村が申請しました。配備は12月下旬から実施予定。
<第2次配布先>
 岩手県:1:平泉町
 宮城県:2:丸森町・大河原町
 福島県:31:福島市(3台)・会津若松市・須賀川市・喜多方市・伊達市・本宮市・桑折町・国見町・天栄村・桧枝岐村・南会津町・北塩原村・磐梯町・湯川村・三島町・会津美里町・泉崎村・矢吹町・棚倉町・塙町・玉川村・平田村・浅川町・古殿町・楢葉町・富岡町・双葉町・浪江町・葛尾村
 茨城県:5:茨城県・北茨城市・かすみがうら市・土浦市・守谷市
 栃木県:1:大田原市
 群馬県:4:みどり市・桐生市・中之条町・高山村
 埼玉県:2:八潮市・吉川市
 千葉県:2:柏市・鎌ヶ谷市
 東京都:2:江戸川区・あきる野市

■第3次の配布先は、平成24年2月3日に発表されました。119団体から134台の申請がありました。この中には群馬県庁のほか、既に申込み済み6団体を含め合計20団体が申請しました。第3次の配布先は次の自治体に計150となりました。配備は2月から行なわれました。
<第3次配布先>
 岩手県:2:岩手県庁・奥州市
 宮城県:16:石巻市・気仙沼市・名取市・角田市・岩沼市・登米市・栗原市・大崎市・蔵王町・七ヶ宿町・村田町・亘理町・山元町・川崎町・大和町・加美町
 秋田県:1:秋田県庁
 山形県:1:長井市
 福島県:80:福島県庁:福島市(12台)・会津若松市・郡山市(2台)・いわき市(12台)・白河市(2台)・喜多方市・相馬市・二本松市・田村市(4台)・南相馬市(7台)・伊達市(4台)・本宮市・桑折町・国見町・大玉村・鏡石町・天栄村(3台)・下郷町・只見町(3台)・西会津町・磐梯町・猪苗代町・柳津町・金山町・昭和村・西郷村・中島村・矢祭町・鮫川村・三春町・小野町・広野町・川内村(4台)・大熊町・葛尾村・飯館村
 茨城県:15:水戸市・龍ヶ崎市・常陸太田市・笠間市・ひたちなか市・鹿嶋市・潮来市・稲敷市・桜川市・行方市・つくばみらい市・小美玉市・大洗町・大子町・美浦村
 栃木県:3:佐野市・矢板市・さくら市
 群馬県:13:群馬県庁・前橋市・太田市・沼田市・渋川市・藤岡市・富岡市・安中市・上野村・嬬恋村・片品村・昭和村
 埼玉県:3:三郷市・毛呂山町・寄居町
 千葉県:9:木更津市・野田市・流山市・我孫子市・四街道市・印西市・白井市・香取市・いずみ市
 東京都:1:八王子市
 神奈川県:1:横浜市
 新潟県:1:新潟県庁
 長野県:3:佐久市・軽井沢町・辰野町
 山梨県:1:甲府市

■第4次の配布先は、平成24年4月26日に発表されました。40の自治体から49台の申請がありました。群馬県からは、第3次までに配布された17自治体以外の5自治体が申請しました。第4次の配布先は次の自治体に計170台となりました。配備は5月下旬から行なわれました。第4次配布を終えた時点で群馬県内の自治体で申請したところは全て配布を受けました。
<第4次配布先>
 北海道:8:北海道庁・小樽市・江差町・倶知安町・ニセコ町・標茶町・厚岸町・弟子屈町
岩手県:3:二戸市・遠野市・西和賀町
 宮城県:13:仙台市・石巻市・栗原市(2台)・多賀城市・塩竈市・東松島市・涌谷町・松島町・七ケ浜町・大郷町・美里町・大衡町
 秋田県:3:秋田県庁(3台)
 山形県:1:寒河江市
 福島県:28:福島市(2台)・郡山市(5台)・いわき市(2台)・白河市・南相馬市(2台)・二本松市・桑折町・国見町・広野町(2台)・只見町・金山町・小野町・天栄村・平田村・昭和村・飯館村(5台)
 茨城県:13:茨城県庁(2台)・北茨城市・下妻市・つくばみらい市・取手市・結城市・常陸大宮市・かすみがうら市・古河市(2台)・牛久市・石岡市
 栃木県:8:那須烏山市・下野市・栃木市・佐野市・足利市・高根沢町・益子町・塩谷町
 群馬県:9:伊勢崎市(2台)・館林市(2台)・邑楽町・明和町・草津町・みなかみ町・下仁田町
 埼玉県:16:上尾市・川越市・北本市・久喜市・戸田市・東松山市・日高市・蓮田市・和光市・入間市・朝霞市・桶川市・滑川町・宮代町・伊奈町・三芳町
 千葉県:7:柏市・市原市・館山市・野田市・鴨川市・八街市・習志野市
 東京都:15:新宿区・世田谷区・台東区・文京区・港区・目黒区・千代田区・葛飾区・東村山市・東大和市・国立市・多摩市・小金井市・西東京市・立川市
 神奈川県:6:綾瀬市・鎌倉市・相模原市・小田原市・平塚市・伊勢原市
 新潟県:2:新潟市・新発田市
 長野県:6:長野市・飯山市・中野市・小諸市・大町市・飯網町
 山梨県:2:都留市・富士吉田市
 岐阜県:4:飛騨市・山県市・高山市・養老町
 滋賀県:1:大津市
 京都府:4:京都府庁(2台)・亀岡市・和束町
 大阪府:6:大阪府庁(2台)・貝塚市・箕面市・羽曳野市・和泉市
 兵庫県:2:神戸市・猪名川町
 奈良県:1:奈良県庁
 和歌山県:1:和歌山市
 鳥取県:1:米子市
 岡山県:1:岡山県庁
 広島県:1:福山市
 徳島県:2:徳島県庁・小松島市
 香川県:1:香川県庁
 愛媛県:2:松山市(2台)
 大分県:1:大分市
 沖縄県:2:沖縄県庁・沖縄市

■消費者庁では、今後の対応について「検査を担当する自治体の職員等を対象として検査等に関する研修会を開催するなど、引続き、自治体における検査体制のバックアップを行なっていく」としています。

 それにしても、群馬県内でも高放射線量の場所を抱える安中市が、なぜ1台しか消費者庁に貸与申請をしなかったのか、不思議です。地区別懇談会で岡田市長の話を聞いた市民は、不安を少しでも解消するために誰でもが農産物などの食材の安全性を確かめることが出来るような体制を整備するという期待を抱きました。しかし、まだその体制が構築されていません。

 しかも、安中市は、毎時0.23マイクロシーベルトを超える面的な汚染地域は市内に存在しないと、いち早く発表する始末です。

■報道によると、7月10日に市民団体が岡田市長に、子どもたちを放射能被曝から守る為に陳情しました。その時の様子を、市民団体がブログで次のように報告しています。

**********
昨日10日、安中市長との懇談会に行ってきました。
市役所側の参加者は岡田安中市長はじめ、教育部長、市民部長など10名程で、私たちの会から3人の安中市議の方を含めて8名プラスちびっ子4名の参加でした。新聞記者さんも赤旗新聞、上毛新聞、東京新聞の3社の方に、取材に来ていただきました。
私たちは以下の三点で要望を出しました。
1.子どもの集う場所の放射能汚染状況を専門家を交えての再調査
2.子どもに外部被曝線量計をつけ、実際の被曝の現状の把握
3.1と2の結果を専門家とともに協議し、除染などの対策を早急行な実施


懇談会で分かったことは、岡田市長は、いま安中市で生活している子どもたちが、現状で「被曝している」という認識をもっていない、ということでした。
これは私たちとはまったくかけ離れた認識でしたが、この点が分かったんだと前向きに捉え、実際これくらい被曝していますよ、というデータを私たちが集めればいいのではないかと考えています。
ちょうど私たちは先日、個人放射線線量計を購入し、子どもたちの外部被曝線量を測定しはじめたところです。
昨日の懇談会を前への1歩に出来るよう、これからも活動していきたいと思います。
みなさま、宜しくお願いいたします!
**********

■このように、岡田市長が、果たしてどの程度、安中市の放射能汚染状況について、正しく認識をしているのか極めて疑問です。当会も、引続き、市内の放射能汚染状況について、これまでどおり定点観測を実施すると共に、新たに入手したベラルーシ製のベータ線測定器で、食材や飲料の放射能測定を実施してゆくことにしています。

世界的に定評のあるベラルーシ国ATOMTEX社製のMKC-AT6130測定器。2基調達し、そのうち1基は高崎市の主婦グループからの要請によるもの。

【ひらく会情報部】

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住民を騙して東邦亜鉛サンパイ場にアスベスト投棄可能にした群馬県環境行政と東邦亜鉛のどっちもどっち

2012-07-17 00:08:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■東邦亜鉛が安中製錬所の構内でも一番高い地点、すなわち、安中市岩野谷の北野殿地区の一角に面積2350㎡、容量1万3420㎥のサンパイ埋立処分場を設置する計画について、平成22年12月18日(土)午後1時30分から地元の岩野谷公民館で住民説明会を開きました。その後、住民の知らないうちに、群馬県に対して、東邦亜鉛が平成23年4月26日付でサンパイ処分場設置許可申請を群馬県に提出していました。平成24年1月6日付の地元に回ってきた回覧板に、当該許可申請書の告示・縦覧通知があったため、地元北野殿住民有志らが、高崎市の西部環境森林事務所に行き、許可申請書の内容を見て仰天しました。そこには、持ち込まれる産業廃棄物の品目すべてに(石綿含有物質を含む)と書かれていたからです。

東邦亜鉛安中製錬所の環境方針。事務所の受付電話の脇の木箱に積み上げられている。「地域社会との共生を大切にしていぎます」「要求事項の遵守と汚染予防の徹底による地域社会との信頼向上」という耳障りのよいフレーズが並んでいる。
 平成22年12月18日の住民説明会では、東邦亜鉛は、出席したおよそ40名の地元住民らはもとより、オブザーバーとして出席した安中市、群馬県、国からの派遣者の前で、ひとこともアスベストのことは説明の中で触れていませんでした。

 それなのに、なぜ、住民を騙まし討ちにすべく、アスベスト含有廃棄物が許可の対象に含まれることになったのか。日頃から東邦亜鉛はもとより、それを庇ってきた行政に対して不信感を募らせている当会では、さっそく、どのような経緯で、誰が何の目的で、そのような卑劣な騙まし討ちをしたのか、徹底的に究明すべく、関係先からヒヤリングを続けてきました。

■最初に、この件で東邦亜鉛からヒヤリングしたのは、平成24年5月29日の午後でした。この時の東邦亜鉛側の説明は次のとおりでした。

 すなわち、住民説明会ではアスベストのアの字もなかったのに、許可申請の中に、安定五品目の種別として、いずれもアスベスト含有物質を含むとあるのは、どのような経緯があったのか?と質問したところ、東邦亜鉛側は「あれは県の指導があって、『入れても入れなくても同じなんだが、誤解の無いように、今入れたほうがいいですよ』というアドバイスが県からあった」という返事がありました。

 東邦亜鉛いわく「正直、我々としては、平成15年から(アスベストが)販売禁止になっているし、当社の材料としてはもう使っていない。それから、(施設内の)古い建物も全部調べて、それらは既に報告もしてあるし、もうアスベストは無いということ。ガスケットなども、実は、高温部のところは必要なのでそれまで使用していたが、それらも全て(ノンアスベストの製品に)交換した。あと、一番多いのはスレートだが、これも施設リサイクル法で、(解体作業時には)ラップを付けて、手剥離で(屋根から)下ろして、法律どおり作業して業者に出しており、撤去を済ませている。正直なところ、(アスベストを処分場に入れるという)認識がなかった。ただし、県のほうから『カケラとか、そういうものを全然埋めないんですか?』と言われた。今は合法的にというか、当然そのようになっているが、少しの含有量を含む場合でもいいんですか、ということで、書いても問題ないんですよ、といわれ、アドバイスをいただいて、カッコ書きした。これはウソ偽りの無い本当のはなし。ただ、運用面で、そのようにするつもりはまったくない。当社は商売するつもりは全く無いんだけど、ただそれも『分からない』といわれれば、それはそれまでなんだが・・・」という説明でした。

 そこで当会は「基本的にサンパイ場設置は絶対に反対だが、アスベストについて対象としていないのであれば、早急にそれなりの変更手続をするのがスジなのではないか?」と聞いたところ、東邦亜鉛は「即答はできないが、誤解を招かないように、運用面できちんと社内調整する。既に、審議会には(アスベストを含むと)書いて出しているが・・・」というので、当会から「サイボウなんか、都合が悪くなったり指摘されたら、その都度、何度も修正申請を繰り返していた。審議会で通すために、行政とグルになってコロコロと変更していた。サイボウのようないい加減な会社がやれて、皆さんがそれをしようとしないのはなぜか?」と質問をしました。

 すると東邦亜鉛は「意思はわかったので、ちょっと調整させてほしい。誤解を招かないようにきちんと形にして示したい。報告事項として、当社は、一般法への意向手続を1年やって、5月1日でようやく鉱山保安法から外れた。もちろん埋立処分場は鉱山法とは関係なくて、どっちみち一般法で手続き中だが・・・」というので、当会からは「アスベストの処理は最新の注意をはらって規則にしたがって安全に処理をすることが世界共通で義務づけられている。グローバル企業を標榜しているのだから、きちんと対処すべきだ」とコメントしました。

■その後、しばらく県庁を訪れる機会がありませんでしたが、平成24年6月28日に、東邦亜鉛のサンパイ処分場のアスベスト問題について、県庁16階南にある群馬県廃棄物リサイクル課・産業廃棄物係の木島課長補佐(内線2861)と新井主幹(内線2864)を訪れて、東邦亜鉛から聴取した事実関係について確認を求めました。両名とも、今年の4月に着任したばかりで、当会の説明に耳を傾けた後、「前任者に当時のいきさつを確認したい」と答えました。

 そして、平成24年7月11日午前10時に、再度県庁を訪れて、その後の状況確認を両名に求めました。

 当会から冒頭に「アスベスト含有物質を含むという既述を削除するための、変更申請は東邦亜鉛から提出されましたか?」ときくと、県は「今のところまだ書類上はなにも来ていない」という返事でした。そして、「前回お邪魔してからもう半月ちかく経過するが、その後、前任者に事実関係は確認していただけましたか?」と、本題について質問しました。

■群馬県の言い分は次のとおりでした。つまり「前任者には連絡をとった。どうやって伝えようかと思案中だった。先日、小川さんから聞いたニュアンスとは若干異なる内容だった。平成23年4月26日に最終的な内容の許可申請が出てきた。勿論、東邦亜鉛からはそれ以前にドラフトが提出されており、電話でその内容について東邦亜鉛とやりとりした。しかし、やりとりの時期や内容については、記録が残っているわけではないので、前任者は『時期的なことは分からない』といっているが、『それ(許可申請の下書き)を見せてもらった』ということは言っている。つまり、昨年4月26日の許可申請以前に当然こういう形でつくってきたというの(ドラフト)は見せてもらったが、記録にないので何時だったかというのは確定できない、ということだ。(東邦亜鉛安中製錬所の)サンパイ場設置許可申請時に、申請書の様式にサンパイの種類の記入欄があるが、そこに、廃棄物が石綿を含むか含まないかと記載する必要がある。(前任者に)聞いたところによると、スレート等には基本的に石綿が含有されているので、基本的に(建物等を)解体する場合や修理する場合には、業者に外部委託して処理するということは(東邦亜鉛から)聞いていた。そして、『通常業務のなかで、台風等でぶつかって(スレート等の石綿含有物質の)破片が出ることはある』と東邦亜鉛が言ったので、『そういうものを埋める可能性があるとすれば、含めたらどうですか』という話を(前任者が東邦亜鉛に)伝えたらしい。そして(東邦亜鉛は)『社内で検討した結果、そういったものも、もし埋められるものであるとしたら、埋めさせてもらいたい』と言ったと聞いている」というものです。

 当会から、「これは非常に重大な問題なので、きちんと経緯を説明してほしい」と県にコメントしたところ、県いわく「これは、まず、(アスベストを)含む、含まない、というのはこの欄に記入しなければならないことなので、当然、県の担当者としては、(アスベストが)入るのかどうか、というのは当然東邦亜鉛に聞いているわけだ。しかし、それ(アスベスト)を入れなきゃいけない、とか、入れろとか、そういう話はしていない。(アスベストを含有するスレートのような)カケラがあれば、そういったものを埋める予定があるとすれば、それは(申請書のサンパイの種類に)含めなければならない話だ。(東邦亜鉛は)『社内検討し、結果として、そういうの(アスベスト含有のサンパイ)もあるので、含めさせてください』と言った。県のほうからは『これを入れろ』かそういう指示はしていない」とのこと。

■なにやら禅問答染みてきましたが、当会から「(アスベスト含有物質をサンパイ処分場に)『入れたらいかがですか?』ということを県側から言ったのか言わなかったのか。これが重要なポイントだ。」と再確認を求めたところ、県いわく「ここ(申請書のサンパイ種類欄)に含むか含まないかということを明示するよう、前任者は東邦亜鉛に言ったそうだ。まず、県から東邦亜鉛に向かって『じゃあ入れないんですね、ということですね。』と言うと、東邦亜鉛は『じゃあ、ちょっと待ってください。』ということで社内検討した結果、『そういうものを入れる可能性がある』ということで(アスベスト含有物質を含む、と)入れた。(東邦亜鉛は)社内で検討した結果『そういうのがあるので、入れてください。』と言って来た。まず、(アスベストを)含むか含まないかを書く欄があるので、それを書いたわけ。(時期的なことについては)何日かわからないが、(アスベストの有無を記入すべきかどうか話をした日と、東邦亜鉛が社内検討結果を出した日は)同日ではない。(話をした)その日は、もう既に、社内結果で即答しないで、(東邦亜鉛は)持ち帰った。」とのこと。

■当会から「ところで、前任者って誰?」とたずねたところ、県は「現在の我々が前任者に当時の様子を聞き取っているので、名前の開示はカンベンしてくれ。」として、前任者の名前を教えませんでした。前任者の名前は、安村次長と吉田係長のはずですが、やはり直接口に出すのをはばかるようです。

 前任の安村次長と吉田係長は、平成24年3月10日に地元の安中市岩野谷地区の大谷の一番奥の水源地に大規模なサンパイ場が計画されている件で、県担当者として出前講座に出席した際、環境保全協定、いわゆる災害防止協定の締結について力説した経緯があります。そこで当会では「東邦亜鉛のサンパイ処分場でも、そうした協定について、どのような見解をもっているのか?」と訊ねてみました。すると県は「災害防止協定等については、業者に対して、直接むすべとか、そういう命令はできない。協定を結んでもらいたいという地元の要望については東邦亜鉛には伝えた。繰り返しになるが、指導というか命令ではできないが、要望は伝えることができる」と言いました。

■3月10日の出前講座のときに、前任者の吉田係長は「県では、住民から協定締結の要望がある場合には、誠実に対応するように、事業者を指導していく」と明言していましたが、担当者が変わると県の方針も変化するようです。

 こうして、群馬県の担当者の言うことも信用できないため、さっそく、同じく7月11日の午後3時過ぎに、再び東邦亜鉛安中製錬所を訪れました。

 ちょうど東邦亜鉛安中製錬所では、7月12日から節電のために約2ヶ月間操業停止をすることになっているため、午後3時半まで会議中ということでした。午後3時からは、上毛新聞と東京新聞の記者がそのことで取材に来ていて、製錬所幹部と面談中だったので、しばらく会議室で待機しました。

 まもなく取材と会議を終えた同社担当責任者らが顔を出したので、さっそく、午前中に、群馬県でヒヤリングした内容を東邦亜鉛に伝えることにしました。

 冒頭に、東邦亜鉛から「待たしてしまい申し訳ない。予算的に(電気の)値が上がった。また、世の中が景気が悪いんで在庫の処理も時間がかかっているため、とりあえず(顧客には)申し訳ないが、いっそのこと明日から56日間工場を止めてしまおうということにした。地元の皆さんには迷惑をおかけするが・・・。」と挨拶がありました。当会からは「こっちは綺麗な空気になるので大歓迎。ところで、例のサンパイ処分場の稼働について、アスベストがなぜ廃棄物として追加的に記載されているのか、さきほど群馬県の担当者に事情を聞いてきた。既に群馬県は小川から話しを聞いた後、すぐに東邦亜鉛に電話したと言っている。」と切り出して、群馬県の話を伝えました。

 東邦亜鉛の説明は「おっしゃるとおり県の担当者から電話があった。当社としては、通常、アスベスト含有物質を含むサンパイとして考えているのはスレート。農家もみなそうだが、こういう古い建物、40~50年経過する建物には、当社も使っているが、こういうスレート板の話。サンパイ場許可申請に際して、県との話の中で、逆に、『ただしアスベストが入るんじゃないんですか?』というニュアンスで、県側から話しがあった。そのため、通常、当社としてはいつも、立米いくらで専門業者にいつも(廃スレート板を)解体業者に出しているが、『間違って破片というか、通常割れたりして、(サンパイ場に)入る可能性がある』と言ったら、そういう話の中で、『じゃあアスベストを入れるか』という話し方になった。だが、決して安易な気持ちではない。」というので、当会から「(アスベスト含有物質を含んだサンパイを)入れるという話は、どっちが言ったのか?」と質問したところ、東邦亜鉛は「『むこう(県)は入れたほうがいいんじゃないんですか?』と言ったので、『そうですね、こちらも。』と、よく分からないがそういう兼ね合いのなかでの話しだった。そういわれると『単純に、カッコ書きして(アスベストを含むサンパイを)入れられるようにしますかねえ』というふうな言い方でやったような感じもするし、『もし入るんなら、入れたほうが。カッコ書きして、入れてもいいんではないか』と、(県と当社の)どちらが言ったという覚えはない。当社こちらとしても小川さんの言うような深刻な意味でなくて、ちょっとした破片、ちょっと掃き集められるようなものが混じってしまったら、というイメージ。」と言いました。

■これにはあきれてしまい、当会から「許可申請書に書いてある限りは、(アスベストをサンパイ場に)入れることが前提となる。住民はそれを知らない。そういう説明は受けていないからだ。アスベストを今になって取りざたすことになれば、まだまだ工場の中に沢山アスベストが残っているはず。例えば古い焙焼炉などはアスベストだらけだ。」とコメントしたところ、東邦亜鉛は「あれは全てアスベストの処理を“外だし”(=外部の専門業者に処理を依頼する、という意味らしい)をしている。保温材は全て“外だし”を原則にしている」と述べました。

 東邦亜鉛は、サンパイ場へのアスベスト含有廃棄物の持込について「どっちが言ったというんはなくて、当社としても『本当に100%入らないというのではなく、多少入る可能性はありますよね』という言い方はした。」として、最初の説明とは微妙に食い違いを見せ始めました。

 さらに同社は続けて、「サンパイ場については、まだ(県の)許可が出ていない。完成検査がまだ終わっていない。事前の手続が済んでいない。使用前の検査、完成検査がまだ終わっていない。」と説明したので、当会は驚いて「えっ。もうとっくに経済産業相の検査は終わっているはずではないのか?」と言うと、東邦亜鉛は「一般法に移行してからの話なので。今の許可申請を出して、それが、完成検査が済んだ後、また、新井さんなどむこう(県)の担当者に、小川さんからこう言われているので、アスベストの取扱いについて、今一度、相談したいという話はしてある。東邦亜鉛側から群馬県に対して。ただ、今の状態では分からなくなるので、一旦許可がおりからの話でないといけない。(サンパイ場の)運用を始める前に、はっきりさせたい。」との方針を示しました。

 当会は「運用を始める前に、きちんと修正しなければならない。そもそも、運用を始めてもらっては困る」と述べると、東邦亜鉛は「そうですよね。屋根を掛けるということも今日(県のほうから)お伺いした。」と、きょうの午前中に訪問してヒヤリングした群馬県の担当者からさっそく東邦亜鉛に電話連絡があったことが分かりました。

 住民にたいしては、全然情報開示に消極的な群馬県ですが、業者の東邦亜鉛にたいしてはすこぶる積極的に情報交換をしているようです。

 東邦亜鉛は、「県と、一旦、(サンパイ場の)設置許可がおりてから、変更届を出せばいいのかどうか、また、県側と詰めの協議を行う予定だ。小川さんのご指摘のとおり、我々が地元に(アスベストのことは説明会でも)言っていないのは事実なので、誤解のないように工夫したい。」というので、当会は余計不安を感じました。県と東邦亜鉛は一心同体だからです。

 とこで、当会はサイボウ環境における県と業者の関係を引用して「(サイボウ環境の処分場の手続では)業者が県とグルになって、大幅な計画変更でも、しょっちゅう変更申請を群馬県に出して、スイスイ認められていた。これに比べれば、計画を変更してアスベストを追加して入れようとしたのを元に戻すだけだから、こういう場合は簡単に変更が認められるのではないか」とコメントしました。

 それに対して東邦亜鉛は、「我々は、今回、一般法で初めて(サンパイ場申請を)出した。そういう手続の様子が分からない。専門の担当者がいない。我々はこのサンパイ場を商売にしようという気はない。ちょっと今から、県とコンタクトをとって、我々はそういう方向でやりたい。アスベストについては、どのように対応するか社内でも話をしている。今、ちょっとタイムリー的に、富岡のサンパイ中間処理施設の問題もあるので、それと一緒にされたくない。きちんと、ちゃんとやりたいと思う。われわれも、きちと(サンパイ場を)管理するつもりがあるし、それを小川さんのいうとおり、法的にもきちんと表明する。埋めたものはちゃんと開示することになっている。法律でこれからはそのように義務づけられている。それもきちんとやっていく。どれくらい(サンパイを)入れたか、それ自体についても開示する。」と述べました。

 3月末には許可が下りるはずと、以前、県職員から聞かされていましたが、一応、このアスベスト問題が浮上したため、群馬県はまだ東邦亜鉛の安中製錬所内におけるサンパイ処分場設置許可を最終的に出していないようです。しかし、これまでの群馬県の環境行政をみていると、県と東邦亜鉛との間では、既に設置許可を前提に、とりあえず当会が提起したアスベスト問題について、なんとか始末をつけようと、相談し合っている模様です。

■ところで、東邦亜鉛の安中製錬所が、節電のため操業停止をしてから、今日で5日目です。夜間、もうもうと水蒸気や降下煤塵を吐き出していた工場が、ピタリと活動を止めました。北野殿の住民は、依然とことなり、途端に綺麗になった空気を感じ取りました。また、音量そのものは小さいのですが、常に低周波の騒音が工場から聞こえていたのに、現在は本当の静けさが70年ぶりに戻りました。東邦亜鉛がなければ、この北野殿地区はほんとうにすばらしい住環境にあることが、あらためて思い知らされました。このままずっと安中製錬所が止まり続けることを、地元住民として祈りたい気持ちです。

【ひらく会情報部】

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公金を投入しながら県民に無料購読させないグラフぐんまの制作と発行を司る群馬県と上毛新聞の関係〔2〕

2012-07-16 07:00:00 | オンブズマン活動
■それでは、群馬県と上毛新聞社との間の委託業務契約の後、グラフぐんまはどのように製作・発行されるのか見てみましょう。ここでは、例として、2012年1月号のグラフぐんまを見てみます。同号は、平成23年11月29日に編集会議が行われ、平成24年1月15日発行されました。編集会議での、同号の内容とページ割りは次のとおりです。

広告料と増刷分の売上額を教えてくれない上毛新聞と、それらの情報に無関心の群馬県広報課。グラフぐんま2012年1月号裏表紙に書かれた定価350円の根拠と、群銀の広告料のナゾ。
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2012年1月号 グラフぐんま台割(1月15日発行)
B4判変型・右中トジ    2011.11.29編集会議
頁/項目/テーマ/内容/問い合わせ
◆表1/表紙/-/ニューイヤー駅伝2012inぐんま
◆表2/広告(実際には一般社団法人群馬県信用金庫協会)

◆3/かお・目次/群馬ダイヤモンドペガサス新監督五十嵐章人さん/11月15日就任会見。前橋市出身。五十嵐監督は今季、5年間務めたソフトバンクホークスの2軍外野守備走塁コーチを退任。10月に新監督を探していたペガサスからオファーを受け、就任を受諾した。ホークスでは日本シリーズでも活躍している長谷川勇也や福田秀平といった若手を育て上げた。
◆4~7/特集/新春知事対談 テーマ「ぐんまの人づくり」/
【知事対談スケジュール】
・12月11日(日)天笠淳家さん(太田市)、若狭徹さん(高崎市)
・12月12日(月)三田英彦さん(館林市)
・12月13日(火)池田直人さん(桐生市)
 ※13日ロケ終了後、群馬テレビ斉藤アナとのトーク収録。特別な舞台設定はしない予定。
【別撮り】
・12月17日と12月中のいずれかの日、2日間で、4人の方の現地を別撮り(知事日程とは別、一部同日程の可能性もあり)
【内容】今回は、4人の方との対談は、フリートーク形式を予定しており、例年のような合本は作成しない予定とのこと。※ページ構成(案)①案6ページ構成を予定しています。
《①案》(実際には①案を基本に②案のぐんまの人づくり例を8ページに掲載)
特集:6ページ構成(4ぺージ~9ページ8,9ページ下1/4に広告掲載)
・4、5ページ・‥「ぐんまの人づくり」タイトル、知事新年挨拶と、対談内容(4人と対談)についての説明、いずれか一人との大きな写真(例:古墳前)

・6、7、8ページ(+9ページ上段)…4人との対談風景(メーン写真+サブ写真+対談内容)
・9ページ…アナウンサーインタビュー(まとめ、今年の抱負)

《②案》
特集:4ページ構成+2ページ(人材育成)※広告掲載は10,11ページに移動も検討
・4ページ…「ぐんまの人づくり」タイトル、知事新年挨拶と、対談内容(4人と対談)についての説明
・5,6ページ+7ページ上段…4人との対談風景(メーン写真+サブ写真+対談内容)
・7ページ…アナウンサーインタビュー(まとめ、今年の抱負)(実際には9ページに掲載)
・8.9ページ…ぐんまの人づくり(例:農林大学校及び産業技術専門校等の紹介)(実際には8ページにIHIアエロスペースと四万温泉の例を掲載)
■日程・内容とも、テレビ係で調整中です。
■対談予定日及び別撮り予定日ともに取材願います。
■アナウンサーインタビューの内容は、新年あいさつと対談のまとめ、今年の抱負です。必ず、取材願います。以上、内容等について、順次、確定し次第、ご違絡します。
/広報課テレビ係岡田補佐(2167)、宮田補佐(2164)、吉岡(2162)
◆8/広告1/4(実際には10ページにトヨタレンタリース群馬を掲載)

◆9/広告1/4(実際には11ページに上毛共催生活協同組合を掲載)
◆10・11/県政の話題(カラー)/ニューイヤー駅伝2012inぐんま/例年通り、スタート・ゴール・各地イベントなど/総務部総務課 和田主幹(2032)
◆12・13/県政の話題(カラー)/ぐんまフランス祭り2011/(1/25、27.オープニングに知事出席(挨拶、テープカット)。基調講演、県内に事業所を持つフランスの企業の事業説明会・商談会。アート展示、フランス関連食品の販売、富岡製糸場紹介展示など/国際課 永井係長(3392)

◆14/広告(実際には家庭用浄水機メーカーの㈱カナメ(前橋市広瀬町)を掲載)

◆15/県政の話題(白黒)※「明日を拓く」はお休み/県バックアップ機能誘致協議会設立総会及び記念講演会/11/25(金)。知事出席(挨拶、議事進行)/総合政策室 田子次長(2319)
◆16~19/県政の話題(白黒)※「明日を拓く」はお休み/県議会/県議会・特別委員会/議会事務局
◆20/マイグルーブ/クラブ榛東(榛東村)/会員30人。男女混合のインディアカチーム。9月に行われた県大会で優勝/-
◆21/ちょっと昔話/ざる観音(吉岡町)/長松寺の矢落観音と自害沢川にまつわる話。毎年1/14に縁日/-
◆22/トピックス/年末特別警戒視察/12月16日(金)高崎署※知事出席予定。内容等、分かり次第連絡します/県警本部
◆23/トピックス/付替国道145号開通式/12月20日(火)東吾妻町内※知事挨拶予定。内容等、分かり次第連絡します/道路整備課
◆24・25/スポーツ/-/-/-
◆26/かわら版・編集後記/わたらせ渓谷鐵道(てつどう)各駅イルミネーションと「イルミネーションの旅」、後記;後藤、荒木/期間:2月29日(水)まで、時間:午後5時~9時、内容:わたらせ渓谷鐵道の前18駅で趣向を凝らしたイルミネーションが競演します。そのほか、往復の運賃とお弁当がセットになったお得なツアー「イルミネーションの旅」もあります。(運行日;1月の土・日曜日(1日(日)を除く)、9日(金))/交通政策課 岡田副主幹(2385)
◆27/広告(実際には上毛新聞のガイドブック10選の公告を掲載)

この広告料は上毛新聞に支払われたのか。それとも無料だったのか?
◆28・29/ぐんま名山探訪/稲村山(安中市)/953m(実際には山の遠景写真。解説文は30-31ページに掲載)
◆30/広告1/4(実際には山とスキーの店石井(伊勢崎市)の広告)

◆31/広告1/4(実際には山とスキーの店石井(伊勢崎市)の広告)
◆32/ギャラリー/県立近代美術館(高崎市)/3月25日まで「陶酔のバリ・モンマルトル」開催/-
◆33/味・風土/猪豚肉と十石みそ/道の駅上野琴平センター「猪豚鍋定食」/-
◆34・35/ぐんま風紀行/ぐんまフラワーパークのイルミネーション(前橋市)/11/1(火)~1/9(月・祝) 週末を中心にミニコンサートやライブ、花火の打ち上げなど/027-283-8189
◆36/スケッチ散歩/高崎市染料植物園のフクジュソウ/見ごろ:1月下旬から2月中旬ごろ/-(実際には、フクジュソウなどの植物は水彩画で表現)
◆37/おすすめスポット/西毛/-/-(実際には、37ページの左1/3に藤岡市の国指定史跡高山社跡と南北村の檜澤神社節分祭を掲載)
◆38/わくわく体験新発見  手作りまんじゆう体験(みどり市)田舎まんじゆう作り。小平の里/-(なお、読者プレゼントはみどり市「岡直三郎商店」の「日本一のしょう油」2本セットを当選者4人に発送)
◆表3/広告(実際にはワタビキミート㈱(北群馬郡吉岡町)を掲載)
◆表4/広告/ISBN978-4-88058-182-8 C0472 \334E(実際には群馬銀行を掲載)
※カラーページは、ページ1~14と27~40の合計28ページ。広告掲載ページは、2(全面)、10(4分の1)、11(4分の1)、14(全面)、27(全面)、30(4分の1)、31(4分の1)、39(全面)、40(全面)の計9ページ。
**********

■さて、こうして、上毛新聞社が毎月1万6200部を印刷したうち、上毛新聞系列の新聞店を介して、県議会議員や県議OB、県民リポーターや、県に係わる各種委員会委員ら、そして県の外郭団体の公舎事業団や県有施設、国の関係機関、主要医療機関、農協、県庁内群銀・東和銀行、県庁内飲食店、私立専修学校、私立各種学校、県内学校、福祉施設、老人施設、郵便局向けなど1276の配布先に対して、全体の約1割弱の1355部が配送されます。また、群馬県の広報課に上毛新聞社から納入された1538部は、県庁内に出展している労働金庫を通じて県内の労金に20部、県内の高校83校に83部、県内の地域機関等132箇所に118部、総合情報センターに60部、東京事務所に300部、大阪事務所に70部、名古屋事務所に65部、県警を通じて県内警察署に150部、県庁内の秘書課に20部、企画課に3部、県議会に20部、県民センターに23部(内20部が有償頒布用)国際化に55部、広報課に378部(内、報道20部、課内22部、保存用22部、予備314部)、その他庁内各課145部、県外の各都道府県46部、県警の公安委員3部、配布されます。

 このほかの大部分の13307部は、県内176箇所の宛先に配送業者の手で配布されます。内訳は14医師会1686部、8歯科医師会873部、1接骨師会200部、15農協295部、2商工会議所連合会・商工会連合会61部、2群銀・東和銀行247部、3銀行協会・信金・信組331部、12理容組合1600部、1美容組合指定先業者1640部、25旅館組合517部、50飲食組合3922部、6県公立図書館・教育事務所経由小中学校・公民館等・教委927部、35市町村962部、2群馬労働局・栗生楽泉園46部ですが、これらの宛先への配送業務についても平成24年4月1日付で、赤帽と契約が交わされました。こちらも、平成24年3月30日に競争入札が行われ、赤帽が落札となり、契約の相手方は決定したため、同4月1日に契約締結が行われたとされていますが、開示資料には、入札調書も、予定価格調書も存在せず、入札が単独入札だったのかどうかも含めて、全く不透明な状況です。なお、契約書の内容は次のとおりです。

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県政写真誌「グラフぐんま」の配達委託業務に係る契約書
 県政写真誌「グラフぐんま」の配達について、群馬県(以下「甲」という)と赤帽群馬県軽自動車運送協同組合(以下「乙」という)は、次のとおり契約を締結する。
 (委託業務の内容)
第1条 甲は、「グラフぐんま」の配達に関する業務を乙に委託する。
(1)配達先及び数量  別添「グラフぐんま配達一覧表」のとおり
(2)配 達 回 数  年12回(24年4月号から25年3月号まで毎月1回)
(3)配 達 期 限  納入を受けた日から3日以内(配達先が休みの場合はその翌日)
(4)納  入  日  「グラフぐんま」発行日(毎月1O日。10日が土曜日の場合は翌々日、日曜・祝日の場合は翌日、掲載内容によって変更の場合がある)
(5)委  託  料  金2,534,700円(うち消費税額及び地方消費税額120,700円)消費税額及び地方消費税額は消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定により算出したもので、本体価格に100分の5を乗じて得た額である。(1円未満の端数は切り捨て)
(6)契 約 期 間  平成24年4月1日から平成2 5年3月31日まで
(7)検 査 期 日  配達を終えた日かち3日以内
(8)契約保証金  群馬県財務規則第1 9 9条第3号により免除
 (適正な配達)
第2条 乙は、甲の指示に従い、毎回甲が定めた配達先に、「グラフぐんま」の適正数量を配達するものとする。
 (配達票への押印)
第3条 乙は、甲の定めた配達票に配達先の受領者印を徴するものとする。
 (検査)
第4条 乙は、配達を終了したときは前条の配達票を達やかに甲へ提出し、甲の指定する検査を受けなければならない。
 (代金の支払)
第5条 甲は、前条の検査を完了し、配達が終了したと認めたときは、乙の請求を受理した日から30日以内に乙に対して、別紙支払計画書に従い支払うものとする。ただし、乙にこの契約に定める事項について不履行があると認められるときは、この限りではない。
 (配達品の取り扱い)
第6条 乙は、配達品の取り扱いについては棄損、紛失等のないよう細心の注意をなすものとする。
 (損害賠償)
第7条 乙は、委託業務の実施に際して甲に損害を与えたときは、損害を賠償する責めを負うもめとする。この場合賠償に関しては甲と協議するものとする。
 (契約の変更)
 第8条 甲は、必要があると認めたときは、乙と協議のうえ契約の内容を変更することができる。
 (遅延利息)
第9条 乙は、履行期限内に契約を履行できないときは、甲に対して遅延利息を支払う除とのとする。
2 前項の遅延利息の額は、履行遅延日数に応じ、契約金額の未済部分相当額に対し、政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)第8条第1項の規定に基づく率を乗じて計算した額とする。
 (契約の解除)
第10条 乙が、次の各号のいずれかに該当した場合、甲は契約を解除することができる。
(1)乙の責めに期すべき事由により、契約の履行期限内又は履行期限経過後相当の期間内に契約を履行する見込みがないとき。
(2)正当な理由がないのに契約の履行に着手すべき時期を過ぎても着手しないとき。
(3)契約の履行について不正の行為があったとき。
(4)甲の書面による承認を受けずに、契約によって生じる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させたとき。
(5)乙が組織又は集団の威力を背景に集団的又は常習的に暴力的不法行為を行う恐れがある団体の関係者または暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているもの(以下「暴力団員等」という)であると判明したとき。
(6)本契約に係る下請契約、業務の再委託契約、資材等の購入契約等(以下「下請契約等」という)の相手方が暴力団員等であることを知ったにもかかわらず下請契約等を解除しなかったとき。
(7)その他この契約書の条項に違反したとき。
2 甲は、前項の規定により契約を解除したときは、乙に対し違約金として契約金額の100の10に相当する額の支払いを求めることができる。
3 甲は第1項の規定によりこの契約を解除したときは、乙に損害が生じてもその責を負わないものとする。
 (暴力団等による不当介入があった場合の届出義務)
第11条 乙は、甲との契約に係る業務の遂行に当たって不当要求行為(暴力団員等からの不当な要求行為)を受けた場合は、その旨について、遅滞なく甲への報告及び警察への届出を行わなければならない。
 (個人情報の保護)
第12条 乙は、別記「個人情報取扱特記事項」に記載された内容を遵守し、業務上知り得た個人情報を適正に取り扱わなくてはならない。
 (疑義等の決定)
第13条 この契約に疑義が生じた事項及びこの契約に疑義が生じたときは、群馬県財務規則(平成3年群馬県規則第18号)に定めるところによるものとし、なお疑義があるときは、甲と乙が協議してこれを定めるものとする。
 本契約の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有する。
    平成24年4月1.日
           甲  前橋市大手町一丁目1番1号
              群馬県知事   大澤 正明
           乙  前橋市箱田町608番地の2
              赤帽群馬県軽自動車運送協同組合
              理事長    赤間 美代子
**********

 こうして、赤帽群馬県軽自動車運送協同組合が、年間税込み253万4700円(毎月21万1225円)で配送業務を請負い、毎月176箇所に1万3282部を12コースに分けて配送するのです。1部当たり15.9円、配達先1箇所当たり1207円と言う計算になります。

 ちなみに、安中市方面への配送コースは県利用生活衛生協同組合碓氷支部(佐藤貴雄)57部→安中市役所広報担当課34部→碓氷安中医師会35部→JA碓氷安中10部→安中飲食店組合(高嶋屋)103部→県ホテル生活衛生同郷組合磯部支部磯部館工温泉旅館協同組合10部、松井田飲食店組合長(池谷菊夫)34部→横川・坂本飲食店組合(食堂あかしや)30部→南牧村役場広報担当課10部→下仁田飲食店組合長(なべや)58部→下仁田町役場広報担当課8部→富岡侵食店組合(磯寿司)230部→富岡旅館組合(大島鉱泉)10部→富岡甘楽歯科医師会(33部)→とも活かし甘楽郡医師会65部→富岡市役所広報担当課39部→JA甘楽富岡44部です。

■過去に遡って、グラフぐんまの配達委託業務にかかる契約書を見てみましょう。

 平成21年4月2日 赤帽群馬県軽自動車運送協同組合 委託料253万4700円(税込) 毎月の配達先181箇所、13コース、1万4017部。
 平成22年4月2日 赤帽群馬県軽自動車運送協同組合 委託料253万4700円(税込) 毎月の配達先177箇所、13コース、1万3813部。
 平成23年4月1日 赤帽群馬県軽自動車運送協同組合 委託料253万4700円(税込) 毎月の配達先176箇所、10コ-ス、1万3549部
 平成24年4月1日 赤帽群馬県軽自動車運動協同組合 委託料253万4700円(税込) 毎月の配達先176箇所、13コース、1万3282部

 このように、群馬県は、3年前から続けて、赤帽と同じ条件で委託業務契約を締結しています。競争入札をしているはずなのに、開示された資料にはその経緯と結果を示す情報が存在しません。入札が馴れ合いで行われている可能性があります。

■では、グラフぐんまの製作・発行に係る契約書を過去に遡って見てみましょう。

 平成21年4月1日 上毛新聞社 委託料3937万5000円(税込) 毎月17,000部×12ヶ月=204,000部(1部当たり税込193.01円)
 平成22年4月1日 上毛新聞社 委託料3937万5000円(税込) 毎月17,000部×12ヶ月=204,000部(1部当たり税込193.01円)
 平成23年4月1日 上毛新聞社 委託料3780万円(税込) 毎月16,600部×12ヶ月=199,200部(1部当たり税込189.76円)
 平成24年4月1日 上毛新聞社 委託料3444万円(税込) 毎月16,200部×12ヶ月=194,400部(1部当たり177.16円)

 このように、毎年、競争入札の結果、上毛新聞社がコンスタントにグラフぐんまの製作・発行委託業務を受注していますが、その単価は、最近少しずつ下がっています。

 さて、問題なのはグラフぐんまの内容です。つまり、他の自治体で発行する写真広報誌と比べて、面白さや斬新さに欠けることです。

■お隣の埼玉県でも「さいたまグラフ」という写真広報誌を毎月発行しています。創刊は昭和48年ということなので30年余りの歴史がありますが、発行元は埼玉県庁ではなく、埼玉グラフ㈱という民間会社。送料無料で毎月670円(税込)ですが、1年間(12冊)購読の場合8000円、2年間(24冊)1万5000円、3年間(36冊)2万2000円と、それでも1冊当たり611円します。グラフぐんまの場合は、送料が92円かかるので、税込定価350円といっても、実質的には442円となります。また、グラフぐんまはページ数が40ですが、さいたまグラフはページ数不詳です。しかし、民間会社が主体で企画、製作、発行しているため、常に読者からの写真募集を受け付けたりして、読者の目線を重視している様子が強く感じられます。

 これに対して、グラフぐんまの場合には、企画は群馬県広報課がある程度行いますが、それ以外は上毛新聞社に丸投げで、上毛新聞社も県から発注を受けている関係上、県のトップの意向を常に意識しているため、畢竟、知事の提灯記事が多くなってしまい、県民読者受けするような面白い記事が軽視されがちになります。だから、グラフぐんまの場合定価350円+送料92円でも、あまり売れないのだと思われます。

■また、同県のさいたま市の市長公室広報課では「楽楽楽(ららら)さいたま」というグラフ誌版広報誌を平成23年9月22日から最近発行し始めました。これは20ページのカラー印刷で年2回発行されています。内容はすべて同市広報課職員が取材・撮影をして、見所やイベントなどを写真やエッセイを交えて照会する手作りの広報誌です。市長の写った自画自賛記事は皆無で、市内公共施設、市民ボランティア活動も紹介され、ホームページで全てダウンロードして誰でも自由に見られます。また、1万部作成され、市役所の広報課、各区役所、各図書館、書く観光案内所に備えられていて、飛行機の機内誌や新幹線の車内誌と同様に「Take Free \0」とあり、自由に持ち帰りできます。裏表紙には「楽楽楽さいたまは1万部作成し、1部当たり71.19円かかりました。」ときちんと記載されています。

 これに対して、グラフぐんまの場合には、企画は群馬県広報課で、編集・発行は上毛新聞社となっており、カラー20ページ、白黒20ページの合計40ページから構成されていますが1部あたり177.16円掛かっています。編集・発行費用として、いくらぐらいを妥当なコストとするかによりますが、楽楽楽さいたまが自前取材・撮影で71.19円で済むことから、白黒20ページ分を加えても、1部90円程度が妥当だと考えられます。そうすると、上毛新聞の編集・発行費用は1部当たり87円程度だということになります。すると毎月1万6200部作成しているので、毎月130万円余りかけていることになります。

■そのほか、北関東の栃木県では「フォトとちぎ」というWEB版の写真広報誌を年4回(7/1夏号、10/1秋号、1/1冬号、4/1春号)、栃木県広報協会が発行しています。これは28ページのカラーで誰でも栃木県のホームページから無料でダウンロードできます。また、「とちぎ県民だより」は毎月第1日曜日に新聞折込で県内全戸に配布されていますが、これは群馬県と同じです。

 同じく北関東の茨城県では広報公聴課が、「フォトいばらき」という写真広報誌を発行しています。年4回(初・夏・秋・新年号)発行でA4版変形カラー12ページで、発行部数は不詳ですが、県内の公共施設、理容店、銀行、病院などにおいてあり、すべて無料配布です。また、誰でも茨城県のホームページからダウンロードできます。制作は㈱マガジンハウスに委託していて、同社のホームページには、季刊A4変形28Pとあります。自治体や企業向けの販売促進用フリーペーパーマガジンやカタログの編集・制作を得意としており、神奈川新聞向けの「Kanagawa Hanako」も作成しています。広告募集は茨城県が行っています。

 千葉県では総合企画部報道広報課が、「ちば県民だより」を毎月5日(1月は1日)発行しており、配布先は県内各世帯、市町村、国、県、官公庁等です。発行部数は215万部で、タブロイド版8ページで、千葉県のホームページから自由にダウンロードできます。これは群馬県が発行する「ぐんま広報」に相当するものですが、千葉県にはいわゆる写真広報誌というものは存在しません。

 西隣の長野県では総務部広報県民課が「広報ながのけん」を年2回(5月と10月)に発行しています。おり、この中に「フォトながの」というコーナーがあります。新聞折込やポスティングで県内全戸に配布しています。配布は㈱長野県折込広告センターに委託されています。カラー14ページで、ときどき知事の対談や災害地・施設等視察などの記事はありますが、グラフぐんまのように、知事の姿が1ページにデカデカとでるような写真は掲載されていません。広報誌のなかに「フォトながの」というコーナーはありますが、長野県はいわゆる写真広報誌というものは発行していません。また、県議会のことは広報では扱っていません。広告募集は長野県が行っています。

 新潟県でも、県民広報誌はありますが、写真広報誌というものは発行していません。

■以上のように、群馬県は、他県と同様に毎月「ぐんま広報」と「ぐんま県議会だより」を新聞折込や県民サービスセンター、各県民局、市町村役場、銀行、コンビニ等で配布しています。それらの発行の制作・発行は外部に委託していますが、さらに写真広報誌の「グラフぐんま」を毎月発行しているのは、非常に珍しいと言えます。しかも、制作・発行をほとんど外部に丸投げで、公金を投入しているにもかかわらず、ホームページでダウンロードできず、毎月1万6200部を国や県及び群馬県内の市町村、学校、農協、商工会、銀行、病院、飲食店等に無料配布しておきながら、県民には有償で販売しているのです。

 また、有償販売で得られた収入や、公金で制作・発行した広報誌に掲載する広告収入もすべて委託先の収入になり、群馬県ではそれらの収益に関する情報を持っていないというのです。

■そこで、グラフぐんまの制作・発行について幾つかの疑問点が判明したので、発行元の上毛新聞社事業局出版部あてに次の公開質問を出しました。

**********
平成24年7月5日
〒371-8666前橋市古市町1-50-21
上毛新聞社 事業局出版部 御中
TEL027-254-9965 FAX027-254-9906
市民オンブズマン群馬
                    代表 小川  賢
    連絡先 090-5302-8312
公 開 質 問 状
拝啓 平素より地域の各種情報の有力な発信メディアとしてご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、群馬県が企画し、貴社が編集・発行をしている「グラフぐんま」について下記の質問があります。ご多用のところ大変恐縮ですが、ご回答くださるようお願い申し上げます。
       記
1.群馬県によると、貴社は、毎年春、競争入札により、グラフぐんまの編集・発行・配送に関する業務を落札し続けており、最近も年間3千万円台の予算で、年間約1万9千部(1ヶ月あたり約1万6000部、1部あたり単価約190円)を作成し、群馬県の指定する場所に納めているようですが、グラグぐんまの裏表紙には「毎月10日発行:定価350円(税込み)」とあり、定価350円で県内の書店等でも販売していることをうかがわせます。群馬県によると、無料で配布する上記部数以外の書店販売による売り上げは全て御社に帰するということです。定価350円という価格は、もともと毎月約1万6千部作成を前提に、御社が、群馬県が行なう入札に参加して、提示して受注している条件ですが、有償頒布の分は、印刷製本費用のみではないかと考えます。そこで、質問があります。貴社がグラフぐんまの編集・発行を担当されてから13年ほど経過するという話もありますが、過去10年間の毎月の販売部数と、売上額をご教示ください。
2.上記のように過去10年間に毎月売れ残った部数もご教示ください。
3.また、売れ残って返本されたグラフぐんまはどのように処分していますか?
4.グラフぐんまには、いろいろなサイズの広告が毎月所定のページ箇所に所定のスペースを割いて掲載されています。これらのスポンサーはどのように募集されていますか。
5.また、広告掲載料として、タリフ(標準料金表)はどのように設定していますか。
6.群馬県によると、広告の募集経費や収入は全て御社に帰するということですが、過去10年間の毎月の広告経費と広告収入をご教示ください。
7.グラフぐんまの広告を募集する際に、どのような苦労がありますか。あるいは、グラフぐんまに広告を掲載することについて、スポンサーは一般にどのような感触をもっていますか。(例えば、グラフぐんまは県内の病院、飲食店、ホテル、銀行、理容・美容店などに配布されることから宣伝効果が抜群なためスポンサーの応募希望が多い為選別に苦慮しているのが実態である、とか、グラフぐんまは限られた読者しか期待できず宣伝効果もさほど見込めないという理由で募集をかけてもなかなかスポンサーが集まらないため頭を下げてお願いしているのが実情である、など。)
なお、本質問状は、貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、その経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ或いは関係者のネット上で明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。
つきましては、平成24年7月13日(金)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
                       記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-8010  群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
**********

■これに対して、7月13日付で上毛新聞社から次の回答が有りました。

**********
                 平成24年7月13日
市民オンプズマン群馬代表
小川 賢 様
             〒371-8666 前橋市古市町1-50-21
             上毛新聞社事業局次長兼出版部長
              冨澤隆夫
             TEL027-254-9967 FAX027-254-9906
        回 答 書
  責団体から当出版部に寄せられた平成24年7月2日付「グラフぐんま」についての公開質問間状に対し、下記の通り、回答をさせていただきます。
         記
1.毎月の販売部数と売上額について
 群馬県との契約部数(平成23年度は16,600部)のほか、増刷の有料配布(販売)分や予備分(スポンサー配布、不良品対応などを含む)として月850冊ほどを印刷・製本しています。販売部数については月平均400部ほどです。
 契約部数の制作コストには外注を含め印刷・製本代、取材費、写真撮影代、誌面レイアウト・版下代、発送料などがかかります。販売分には当社負拒の印刷・製本代のほか、取次店・取扱販売店マージン、発送代も発生し、それらを踏まえて群馬県と協議のうえ価格を定め、永年現行定価で販売しています。売上額は個別の営業内容ですので公表を差し控えさせていただきますが、販売部数と定価、流通旅費から推計してください。
 なお、この10年間での当社受注実績は8年で、契約部数、印刷部数については各契約時の見直し対象となっています。制作コストは削減傾向にあります。
2.売れ残った部数について
 毎月の返品は、月平均40冊となります,ここ数年大きな変動はありません。
3.返品分の処分方法にりいて
 棚卸の稟議決済を受けて、断裁処分しています。
4.広告スポンサーの募集方法について
 当社の営業努力の中で募っています。
5.広舎掲載料について
 広告料金は設定しておりますが、個々の営業内容についての公表は差し控えさせていただきます。
6.広資経費と広告収入について
 契約上、広告掲載スペースは「全ページ数の概ね20%以内」と限られています。個々の営業内容についての公表は、差し控えさせていただきます。
7.公告を募集する際の苦労について
 上記6の通り広告スペースが限られるほか、写真誌としての性格から掲載スポンサーが限られ、経済情勢も影響する中で営業努力をしています。スポンサー様には広告掲載のメリットを理解していただいているものと認識しております。
 以上、回答します。
**********

■上毛新聞社の回答によれば、群馬県との契約部数以外に、増刷の有料配布(販売)分や予備分(スポンサー配布、不良品対応などを含む)として月850冊ほどを印刷・製本していて、このうち、販売部数は月平均400部程度ということです。

 群馬県広報課では、「以前、委託業者の上毛新聞から聞いた情報だ」として「委託業者は約1000部程度増刷して有料販売用にあてているらしい」ということしか把握していませんが、実際には、月平均400部しか書店に置かれておらず、そのうち50部は売れ残って返品されてくるということになります。したがってグラフぐんまの店頭販売や送料92円での郵送での販売での売上額は350円×350部=122,500円ということになります。

■売上額について、上毛新聞社では「売上額は個別の営業内容ですので公表を差し控えさせていただきますが、販売部数と定価、流通旅費から推計してください」と回答してきたため、当会では次のように推計しました。

 グラフぐんまの税込定価350円は群馬県と上毛新聞社との協議の結果、かなり以前から決まっているようです。通常、書店でのマージンは20%程度ということで、あとは出版社の紙代・印刷費等の原価が30%、販売費や一般管理費等の間接費が30%、出版社利益が10%、取次代10%という内訳のようですが、グラフぐんまの場合、書店でのマージン以外はすべて公金で賄われおり、書店で上毛新聞社が増刷分を販売する場合には、原価と配送コストだけが実費と考えられます。この印刷費も、群馬県から毎月1万6200部の発注があるため、さらに850冊の増刷コストは大した金額にはならないはずです。それでも上記の割合から販売価格350円を基に原価を推測すると、350円×0.3=105円程度となることが分かります。

 既述のとおり上毛新聞社が1部あたり177.16円でグラフぐんまの制作・発行業務を受託しているので、さいたま市広報の例から類推するに、1部あたりの原価はせいぜい90円前後だと考えられます。したがって、定価350円(本体334円)のうち、上毛新聞社のもうけは244円程度と想定され、増刷分に関しては244円×800部=195,000円となります。ただし、上毛新聞社によれば、実際の有料配布部数は月平均400部だそうですから、儲けの実額はこの半分程度ということになります。tadas

 これを適正な利益とみるかどうかはともかく、最近、上毛新聞社が入札価格を毎年少しずつ減らしている背景には、やはり、公金で作成した出版物であまりもうけを出しては申し訳ないという気持ちが働いているのかもしれません。

■さらにグラフぐんまの全体のスペースの20%は広告用のスペースとして割かれており、この広告料も全て上毛新聞社のもうけとなります。上毛新聞社は、当会の質問に対して、「広告料金は設定しておりますが、個々の営業内容についての公表は差し控えさせていただきます」として、広告料を明らかにしませんが、新聞広告ナビによれば同社の発行する上毛新聞の広告料は次の料金表のとおりです。http://www.shinbun-navi.com/zenkoku/mainichi.html

**********
<上毛新聞>
発行部数:約30万部 http://www.raijin.com/ad/siryo01.htm
広告名:突出(横52.2mm×縦66mm) 143,000円(1平方mm当たり41.50円
    記事中(横70mm×縦40mm) 112,200円(1平方mm当たり40.07円
    記事バサミ(横10mm×縦32mm) 19,800円(1平方mm当たり61.88円
    記事下/全5段(横385mm×縦176mm) 925,000円(1平方mm当たり13.65円
**********

■この料金表から推定すると、グラフぐんまは発行部数1万6200部+増刷分850部=合計1万7000部で、1ページの全面広告の場合、横約250mm×縦約350mm=87,500平方mm程度のスペースとなるため、仮に1平方mm当たりの単価を5円としても、45万円程度の広告料は期待できることになります。また、4分の1を割いた広告の場合、当然単価はアップすることから、仮に1平方mm当たりの単価を12円とすると、21,800平方mm×12円=261,600円(約26万円)となります。

 グラフぐんまでは、広告スペースとして、1ページ全面が5ページ、1/4ページが4コマ確保されているため、仮に上記の単価を当てはめると広告料は45万円×5頁+26万円×4コマ=329万円となります。これは、上毛新聞社に群馬県から毎月支払われる委託業務費の287万円をはるかに凌ぐ金額となります。

 もちろん、群馬県が、グラフぐんまの委託業務に関連して上毛新聞社が受け取る広告料について知らないはずが有りません。

■上毛新聞社の回答では、「契約部数の制作コストには外注を含め印刷・製本代、取材費、写真撮影代、誌面レイアウト・版下代、発送料などがかかります。販売分には当社負拒の印刷・製本代のほか、取次店・取扱販売店マージン、発送代も発生し、それらを踏まえて群馬県と協議のうえ価格を定め、永年現行定価で販売しています。売上額は個別の営業内容ですので公表を差し控えさせていただきますが、販売部数と定価、流通旅費から推計してください」と説明していますが、契約部数の制作コストと発送料は入札条件として明記され、受注者には公金から支払われています。

 また増刷分についても、大量印刷のロットの中に、印刷・製本費は含まれており、発送も、他の書籍と一緒にして行われたりするわけで、さほどコストはかからないと思われます。

■よって、上記のことから窺えることは、広告料は群馬県が募集・監理すべきであり、増刷分についても、群馬県がきちんと契約分の中に含めて制作・配布管理をして、書店やコンビニには公共の頒布物ということで無料で置かせてもらうようにすべきです。

 そうすれば、広告料で全部まかなうことも可能となり、有料頒布をやめて、他の自治体のようにフリーペーパー化することも検討できるようになるはずです。さらに、現在、40ページのグラフぐんまを毎月発行して中身の薄い記事を読者に読ませるより、せめて季刊にして、年4回程度の発行頻度に減らし、中身を充実させて、配布先も公民館レベルではなく、各地区の隣保班に配布して回覧すべきです。

 当会では、群馬県広報課に対して、「既にぐんま広報」や「ぐんま県議会だより」を毎月第1日曜日に県内全戸に配布しているのであるから、グラフぐんまの記事もそれに含ませればよいのではないか」「内容も大澤知事の提灯記事ばかりでなく、広報課自らが汗をかいて取材をしたり、意見や記事や写真の募集を県民から募ったりしたりして、もっと県民の目線で企画、編集をすべきではないのか」「公金で折角作成したのであるから、ホームページで誰でも閲覧できるようにすべきだ」という提案をしました。しかし、反応は芳しくありませんでした。

 この件では、引き続き、広告料の取扱い等の不明点について、関係先に確認を求めていく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項おわり】

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公金を投入しながら県民に無料購読させないグラフぐんまの制作と発行を司る群馬県と上毛新聞の関係〔1〕

2012-07-15 23:50:00 | オンブズマン活動
■毎月10日発行の「グラフぐんま」という写真雑誌をご存知でしょうか。銀行や病院に行ったときに、待合室の雑誌棚にあるのを見た覚えがある程度で、だれが何のためにどのようにして作成しているのか、詳しく知らないと思います。今年2月、市民オンブズマン群馬に、「グラフぐんま」の詳細を調べてほしいという要請を会員のかたがたから頂きました。内容を見ても、大澤知事の提灯記事ばかりで、中身が薄く、見たくもないのに毎月配布してくるのだそうです。また、なぜ上毛新聞が発行しているのかも理由がよく分からないということです。さっそく、情報開示を通じて、「グラフぐんま」の発行までの経緯を調べてみました。

「グラフぐんま」平成24年1月号の表紙。
 会員の皆様の疑問点をそのまま情報開示事項として、平成24年4月11日、次の内容を群馬県に要請しました。

**********
毎月10日発行の「グラフぐんま」に関する次の情報
(1)価格350円(税込み)の設定から決定に至る過程と根拠が分かるもの。また、その内訳。
(2)「多くの県民の皆様に見てもらえるよう、図書館をはじめ、金融機関、理・美容院、旅館、飲食店などに置いてあります」とあるが、その具体的な内訳(配置先、配置部数、配置先として制定した規準と根拠、配置に必要な費用)
(3)過去3年間の毎号の発行部数、それに占める販売部数と、上記の(2)の配置部数、および残った部数の処分措置(廃棄部数、保管部数を含む)
(4)「グラフぐんま」には、「企画/群馬県 編集・発行/上毛新聞社」とあるが、上毛新聞社との間で編集・発行に関して取り交わした全ての契約や覚書等
(5)上毛新聞社による編集記事を県でチェックする場合の基準と根拠、及び担当部署と担当者・決裁者の職名
**********

■グラフぐんまは、毎年4月早々、その年度の製作・発行委託について、起案が県庁広報課によって行われます。平成24年は4月1日に起案されました。おどろいたことに、その時点では既に入札広告が2月10日に、入札が3月26日に済んでいて、4月1日は落札者と契約をするための起案となっていますが、既に終わった入札の起案も含まれています。

**********
<回議用紙>
ファイル基準 P-309
保存期間   長(30)・長( )10・5・3・2・1・1未
書目名    グラフぐんま契約(登録番号 105-1)
決裁区分   課長専決
起案     平成24年04月01日
起案者    広報課 副主幹 白銀三容子(電話番号       )
課長・塚越 次長・坂田 係長・富田 庶務担当者・長岡
合議     会計局長・赤石 審査課長・茂原 次長・岸 係長・斉藤・阿部
(件名) 県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行委託について
(伺い) このことについて、次のとおり契約してよいでしょうか。
協議の状況  済
協議者名:
協議年月日:
決裁年月日  24.4.1
公印押印
施行年月日  24.4.1
県報登載   □要搭載(例規番号  第   号)
公印区分   1普通 2印影印刷 3事前押印 4公印省略
施行区分   1普通 2ファクシミリ 3電子メール 4電子掲示板 5その他( )
(決定内容)
 県政写真詰「グラフぐんま」の製作・発行の委託にあたり、入札を執行し落札者が決定したため、次のとおり契約を締結します。
 また、群馬県報により公示します。
1 委託の内容
  県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行
  規格等
  ・B4判変形40ページ
  ・発行回数.12回(24年5月号544号~25年4月号555号)
  ・発行日 毎月10日(ただし、10日が土曜日の場合は翌々日、日曜・祝日の場合は翌日、掲載内容によって変更する場合もある)
  ・発行部数 194,400部(月16,200部×12回)
  ・印刷 オフセット印刷(カラー28ページ、モノクロ12ページ)
  ※詳細は別添仕様書のとおり
2 契約額
  34,440,000円(うち消費税 1,640,000円)
  予算科目 2総務費-3広報費-2広報費-13委託費
  ※債務負担額 3,173千円
3 契約の相手方 株式会社上毛新聞社 代表取締役社長 渡辺幸男
   (前橋市古市町1-50-21)
4 契約方法
  一般競争入札
5 入札日
  平成24年3月26日(月)午前11時
6 契約保証金
  群馬県財務規則第199条第3号の規定に基づき免除
7 契約期間
  平成24年4月1日(日)から平成25年4月16日(火)まで
8 契約書
  別添案のとおり
9 検査員・監督員の指定
  検査員 広報課 広報紙係補佐  宮田和久
  監督員 広報課 広報紙係副主幹 白銀三容子
(参考)平成23年度契約額
   37,800,000円(12回分、個別配送含)
    ※年間199,200部(16,600部×12回)
(起案説明)
 県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行に係る役務の調達を一般競争入札により行うための入札公告を行うものです。
 なお、本件は地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続きの特例を定める政令(平成7年政令第372号)第3条及び平成24年総務省告示第14号の適用を受けるため、WTO(世界貿易機関)による政府調達に関する協定(平成7年条約第23号)に定められた手続きを要する。
**********

■グラフぐんまの製作・発行に関して、群馬県では入札方式で業者を決める形をとっています。入札は3月26日午前11時に広報課映写室で、朝日印刷工業と上毛新聞社が参加し、3280万円で入札した上毛新聞社が1回目で落札しました。なお、朝日印刷工業は3693万6千円でした。両者とも「品質・規格等」について「仕様書のとおり」と記載していますが、開示された資料には仕様書は添付されていませんでした。どうやら、なれ合いで入札が行われているようです。

**********
【入札執行調書】
平成24年3月26日確認
入札執行調書
入札日時  平成24年3月26日(月)午前11時00分 開札
入札場所  広報課映写室
入札件名  「県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行業務」
入札者名  朝日印刷工業株式会社  第1回 36,936,000  第2回 
      株式会社上毛新聞社   第1回 32,800,000 落札:即日通知を受ける(冨沢印)
※当該金額に消費税額を加算した金額が法律上の入札価格である。
【上毛新聞者の入札書】
入札書
             平成24年3月26日
群馬県知事 大澤正明様
        入札者 前橋市古市町1-50-21
            株式会社 上毛新聞社
            代表取締役社長 渡部 幸男
        代理人 前橋市古市町1-50-21
            株式会社 上毛新聞社
            事業局出版部 冨澤 隆夫
群馬県財務規則を了承の上、次のとおり入札します。
 ①入札金額=金 32,800,000円
 ②業務名:県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務
 ③品質・規格等:仕様書のとおり
【朝日印刷工業の入札書】
見積書→入札書
群馬県知事 大澤正明様
〒371-0846 群馬県前橋市元総社町67
      朝日印刷工業株式会社
      代表取締役 石川靖   ※石川敬 印
      電話(027)251-1212 FAX)027)251-3475
平成24年3月26日 下記のとおり見積→入札いたします。
見積金額   \36,936,000
品名  県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務
規格  仕様書のとおり
数量  194,400部
単価  190
金額  36,936,000
【朝日印刷工業の委任状】
        委 任 状
名 称 県政写真誌Fグラフぐんま」製作・発行委託業務
平成24年3月26日執行の上記の名称の入札に関する切の権限を下記の者に委任します。
            記
 氏名   石川 敬
 住所   前橋市南町1-16-18
            群馬県知事 大澤正明 様
 平成24年3月26日
      群馬県前橋市元総社町67
       朝日印刷工業株式会社
        代表取締役 石川 靖
【上毛新聞の委任状】
   委  任  状
              平成24年3月26日
群馬県知事
 大澤正明 様
            委任状 前橋市古市町1-50-21
                株式会社 上毛新聞者
                代表取締役社長 渡辺 幸男
私は、上毛新聞社事業局出版部富澤隆夫を代理人と定め、下記の一切の権限を委任します。
         記
 平成24年3月26日群馬県庁5階広報課映写室において行われる県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務の入札に関する件
 受任者(代理人)使用印鑑  富沢印

■こうして、めでたく落札した上毛新聞社に対して、さっそく群馬県から契約依頼通知が出されました。

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【県から上毛新聞社あての契約依頼通知】
                   広第  - 号
   ・             平成24年4月(1)日
 株式会社上毛新聞社
 代表取締役社長 渡辺幸男 様
                     群馬県総務部広報課長 塚越 正弘
 県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行業務委託の契約について(依頼)
 このことについて、別添のとおり契約を締結したいので、契約書を確認の上、収入印紙を貼付して提出してください。
 ※2部押印し、収入印紙は1部だけに貼付してください。
                       担当 広報紙係 白銀
                       電話 027-226-2162
【契約書】
        県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行に係る契約書
 群馬県(以下「甲」という。)と株式会社上毛新聞社(以下「乙」という。)は、県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行業務について、次のとおり委託契約を締結する。

 (委託)
第1条 甲は、県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行業務(以下「委託業務」という。)を次のとおり乙に委託し、乙は、これを受託するものとする。
 (1)発行回数 12回(平成24年5月544号から平成25年4月555号まで)
 (2)数  量 194,400部(月16,200部×12回)
 (3)納入期限 発行日(毎月10日。ただし、10日が土曜日の場合は翌々日、日曜
         ・祝日の場合は翌日。変更する場合は、甲乙双方協議の上で決定する。)
 (4)納入場所 群馬県の指定する場所(個別配送先1300箇所を含む。※個別配送先・数に変更が生じた場合は、甲が速やかに乙に指示する。)
 (5)検査期日 納入を受けた日
 (委託期間)
第2条 契約による委託期間は、平成24年4月1日から平成25年4月16日までとする。
 (委託料)
第3条 委託料は、金34,440,000円(うち消費税及び地方消費税の額は、金1,640,000円)とする。
 2 乙は、毎月10日(ただし、10日が土曜日の場合は翌々日、日曜・祝日の場合は翌日。変更する場合は、甲乙双方協議の上で決定する。)までに実施した委託業務に関する業務報告書及び委託料請求書を甲に提出するものとする。
 3 甲は、前項の業務報告書及び委託料請求書が正当であると認めたときは、当該書類を受理した日から30日以内に乙に対して、別紙支払計画書に従い支払うものとする。ただし、乙にこの契約に定める事項について不履行があると認められるときは、この限りではない。
 (契約保証金)
第4条 甲は、乙が納付すべき契約保証金を免除する。
 (業務の遂行)
第5条 乙は、別紙仕様書及び甲から乙への委託業務に係る業務指示等により、善良なる管理者の注意を持って、契約の本旨に従い委託業務を実施するものとする。
 (従事者)
第6条 乙は、委託業務を行うに当たり、委託業務に直接従事させる者(以下「従事者」という。)の名簿を甲に提出しなければならない。提出後異動があったときも、同様とする。
 (有料配布)
第7条 乙は、契約数量のほか、増刷して、甲乙があらかじめ定めた価格で県内書店等で有料配布を行うこととする。
 (広告の掲載)
第8条 乙は、「グラフぐんま」の製作費の一部に充てるため、次の各号に掲げる条件により広告を掲載することができるものとする。

 (1)広告の掲載は、全ページ数の概ね20パーセント以内とする。
 (2)広告は、本文中にも掲載できるものとする。ただし、掲載箇所については、誌面デザインの品性を損なわないものとする。
 (3)取り扱いは群馬県広報媒体広告掲載要綱及び「グラフぐんま」広告掲載要領の規定によるものとする
2 広告の募集その他取扱については、すべて乙が行うものとする。
 (転載の承諾)
第9条 乙は、「グラフぐんま」に掲載した文章、写真等に関して、甲が県政広報の目的で他に転載することを無償で承諾するものとする。
 (成果物の納入)
第10条 乙は、甲の監修を受けた編集原稿を印刷し、完成した成果物を甲が定める期日までに、甲の定める場所に納入するものとする。
 (掲載画像の提出)
第11条 乙は、各号で掲載された画像のうち、使用制限のないものについて、発行後速やかにデータを甲に提出するものとする
 (検査)
第12条 乙は、前条の規定に基づき委託された物件を納入したときは、甲の指定する検査員による検査を受けなければならない。
 (契約の変更)
第13条 甲は、必要があると認めたときは、乙と協議のうえ契約の内容を変更することができる。
 (遅延利息)
第14条 乙は、履行期限内に契約を履行できないときは、甲に対して遅延利息を支払うものとする。
2 前項の遅延利息の額は、履行遅延日数に応じ、契約金額の未済部分相当額に対し、政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)第8条第1項の規定に基づく率を乗じて計算した額とする。
 (契約の解除)
第15条 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当したと認めたときは契約を解除することができる。
(1)乙の責めに期すべき事由により、契約の履行期限内又は履行期限経過後相当の期間内に契約を履行する見込みがないとき。
(2)正当な理由がないのに契約の履行に着手すべき時期を過ぎても着手しないとき。
(3)契約の履行について不正の行為があったとき。
(4)甲の書面による承認を受けずに、契約によって生じる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させたとき。
(5)乙が組織又は集団の威力を背景に集団的又は常習的に暴力的不法行為を行う恐れがある団体の関係者または暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているもの(以下「暴力団員等」という)であると判明したとき。
(6)本契約に係る下請契約、業務の再委託契約、資材等の購入契約等(以下「下請契約等」という)の相手方が暴力団員等であることを知ったにもかかわらず下請契約等を解除しなかったとき。
(7)その他この契約書の条項に違反したとき。
2 甲は、前項の規定により契約を解除したときは、乙に対し違約金として契約金額の100の10に相当する額の支払いを求めることができる。
3 第1項の規定によりこの契約が解除されたときは、乙は、甲にその損失の補償を請求することができない。
4 甲は、群馬県政府調達苦情検討委員会(以下「苦情検討委員会」という。)から契約停止の通知を受けた場合は、契約の執行を停止することができる。
5 甲は、苦情検討委員会から契約を破棄する提案があった場合は、契約を破棄することができる。
6 甲は第1項の規定によりこの契約を解除したときは、乙に損害が生じてもその責を負わないものとする。
 (損害賠償)
 第16条 この契約の履行に関して発生した損害(第三者に及ぼした損害を含む。)は、乙が負担するものとする。ただし、当該損害のうち、甲の責めに帰すべき理由により生じたものは、甲が負担する。
 (危険負担)
第17条 乙は、検査を完了し、納入するまでの間に発生した損害を、一切負担しなければならない。
 (かし担保)
第18条 納入後1ヵ月以内に、完成した成果物にかくれたかしがあった場合乙は、甲の指示に従い、物品の交換もしくはそのかしによって生じた損害を賠償しなければならない。
 (暴力団等による不当介入があった場合の届出義務)
第19条 乙は、甲との契約に係る業務の遂行に当たって不当要求行為(暴力団員等からの不当な要求行為)を受けた場合は、その旨について、遅滞なく甲への報告及び警察への届出を行わなければならない。
 (個人情報の保護)
第20条 乙は、別記「個人情報取扱特記事項」に記載された内容を遵守し、業務上知り得た個人情報を適正に取り扱わなくてはならない。
 (契約の費用)
第21条 この契約の締結に要する費用は、乙の負担とする。
 (信義則)
第22条 甲及び乙は、信義を重んじ、誠実にこの契約を履行しなければならない。
 (疑義等の決定)
第23条 この契約に定めのない事項及びこの契約に疑義が生じたときは、群馬県財務規則(平成3年群馬県規則第18号)に定めるところによるものとし、なお疑義があるときは、甲と乙とが協議して定めるものとする。
 上記契約の締結を証するため、契約書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各1通を保有するものとする。
   平成24年4月1日
            甲   前橋市大手町一丁目1番1号
                群馬県知事   大 澤 正 明
            乙   前橋市古市町1丁目50番21号
                株式会仕上毛新聞社
                代表取締役社長 渡 辺 幸 男
【別 記】
     個人情報取扱特記事項
 (基本的事項)
第1 乙は、個人情報の保護の重要性を認識し、この契約による事務の実施に当たっては、個人の権利利益を侵害することのないよう、個人情報を適正に取り扱わなければならない。
 (秘密の保持)
第2 乙は、この契約による事務に関して知ることができた個人情報をみだりに他に知らせてはならない。この契約が終了し、又は解除された後においても、同様とする。
 (収集の制限)
第3 乙は、この契約による事務を処理するために個人情報を収集するときは、事務の目的を明確にするとともに、事務の目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段により行わなければならない。
 (利用及び提供の制限)
第4 乙は、甲の指示があるときを除き、この契約による事務に関して知ることができた個人情報を契約の目的以外の目的のために利用し、又は甲の承諾なしに第三者に提供してはならない。
 (適正管理)
第5 乙は、この契約による事務に関して知ることができた個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。
 (作業場所の特定等)
第6 乙は、上毛新聞社事業局出版部において、この契約による事務に係る個人情報を取り扱わなければならない。
2 乙は甲が承諾したときを除き、前項の作業場所から、この契約による事務を処理するため、甲から提供を受け、又は乙自らが収集し、若しくは作成した個人情報が記録された資料等を持ち出してはならない。
 (複写又は複製の禁止)
第7 乙は、この契約による事務を処理するために甲から引き渡された個人情報が記録された資料等を、甲の承諾なしに複写し又は複製してはならない。
 (再委託の禁止)
第8 乙は、甲が承諾したときを除き、この契約による個人情報取扱事務について、第三者にその処理を委託してはならない。
2 乙は、甲の承諾により、第三者にこの契約による個人情報取扱事務を再委託する場合には、甲が乙に対して求めた個人情報の保護に必要な措置と同様の措置を当該第三者に求めるものとする。
 (資料等の返還等)
第9 乙は、甲が別に指示したときを除き、この契約による事務を処理するため、甲から提供を受け、又は乙自らが収集し、若しくは作成した個人情報が記録された資料等を、この契約完了後、直ちに甲に返還し、又は引き渡すものとする。
 なお、法令等の規定により、保存期間が定められているものについては、当該保存期間終了後、直ちに甲に返還し、又は引き渡すものとする。
 (従事者への周知及び監督)
第10 乙は、この契約による事務に従事している者に対して、在職中及び退職後において、その事務に関して知ることができた個人情報をみだりに他に知らせ、又は不当な目的に使用してはならないこと、これに違反した場合は、群馬県個人情報保護条例により罰則が適用される場合があることなど、個人情報の保護のために必要な事項を周知するとともに、この契約による事務を処理するために取り扱う個人情報の適切な管理が図られるよう、必要かつ適切な監督を行わなくてはならない。
 (立入調査)
第11 甲は、必要があると認めるときは、乙がこの契約による事務を処理するに当たり、取り扱っている個人情報の状況について随時調査することができる。
 (事故報告)
第12 乙は、この契約に違反する事態が生じ、又は生じるおそれのあることを知ったときは、適やかに甲に報告し、甲の指示に従うものとする。
【支払計画書】
   グラフぐんま製作・発行に係る契約 支払計画書(平成24年度)
契約相手方  株式会社上毛新聞社代表取締役社長渡辺幸男
入札額    32,800,000
消費税     1,640,000
契約額    34,440,000
40ページ内訳:表紙I(カラー)4ページ、本文(カラー)24ページ、本文(モノクロ)12ページ
  号  /支払金額(支払額・各月出来高・支払額累計・出来高累計)/ページ(カラー(表紙含)・モノクロ・計
1/H24. 5月号/2,870,000・8.3%・ 2,870,000・ 8.3%/28・12・40
2/H24. 6月号/2,870,000・8.3%・ 5,740.000・16.7%/28・12・40
3/H24. 7月号/2,870,000・8.3%・ 8,610,000・25.0%/28・12・40
4/H24. 8月号/2,870,000・8.3%・11,480,000・33.3%/28・12・40
5/H24. 9月号/2,870,000・8.3%・14,350,000・41.7%/28・12・40
6/H24.10月号/2,870,000・8.3%・17,220、000・50.0%/28・12・40
7/H24.11月号/2,870,000・8.3%・20,090,000・58.3%/32・12・44
8/H24.12月号/2,870,000・8.3%・22,960,000・66.7%/28・12・40
9/H25. 1月号/2,870,000・8.3%・25,830,000・75.0%/28・12・40
10/H25.2月号/2,870,000・8.3%・28,700,000・83.3%/28・12・40
11/H25.3月号/2,870,000・8.3%・31,570,000・91.7%/28・12・40
12/H25.4月号/2,870,000・8.3%・34,440,000・100.0%/28・12・40
   計  /34,440,000・100%・34,440,000・100%
【グラフぐんま配送計画(24年度)】
種別/配布先/印刷会社配送分(件数・部数)/配送業者配送分(件数・部数)/広報課から配送(件数・部数)/備考
医療機関/22・30/-・-/-・-/-
 医院・病院/-・-/14・1,686/-・-/医師会経由
 歯科医院/-・-/8・873/-・-/歯科医師会経由
 接骨医院/-・-/1・200/-・-/接骨師会経由
農商工 農協/12・21/-・-/-・-/-
    農協/-・-/15・295/-・-/各JA経由
    商工会議所/商工会/-・-/2・61/-・-/商工会議所連合会、商工会連合会経由
金融機関 金融機関/2・3/2・247/-・-/群銀。東和
     銀行協会、信用金庫協会、信用組合協会/-・-/3・331/-・―/銀行協会、信用金庫、信用組合
     労働金庫/-・-/-・-/1・20/県庁B1ボックス→労働金庫県庁支店
理・美容、旅館など 理容院/-・-/12・1.600/-・-/各組合経由
          美容院/-・-/1・1,640/―・-/組合が指定した業者ヘ一括送付
      日帰り温泉施設/105・105/-・-/-・-/-
        宿泊施設等/28・74/-・-/-・-/-
     旅館(組合員)など/-・-/25・517/-・-/各組合経由
飲食店 飲食店/2・2/-・-/-・-/-
    飲食店/-・-/50・3,922/-・-/各組合経由
教育機関 県立図書館、教育事務所/-・-/6・927/-・-/県立図書館-公立図書館、教育事務所→教委→小中学校、公民館等、教委
     県立高校/-・-/-・-/83・83/県庁B1ボックス
     私立専修学校/57・57/-・-/-・-/-
     私立各種学校/34・34/-・-/-・-/-
     学校/49・50/-・-/-・-/-
市町村 市町村/-・-/35・962/-・-/-
その他関係機関 その他関係機関/-・-/2・46/-・-/配送業者→群馬労働局、栗生楽泉園
福祉施設 福祉施設、老人施設/283・284/-・-/-・-/-
郵便局 郵便局/335・336
県地域機関等 県地域機関等/-・-/-・-/132・118/県庁B1ボックス
     総合情報センター/-・-/-・-/1・50/-
        東京事務所/-・-/-・-/1・300/県庁B1ボックス
        大阪事務所/-・-/-・-/1・70/県庁B1ボックス
       名古屋事務所/-・-/-・-/1・65/県庁B1ボックス
       県警(警察署)/-・-/-・-/1・150/県警広報室へ持参
       公社事集団等/38・45/-・-/-・-/-
         県有施設/7・7/-・-/-・-/-
        国関係機関/37・38/-・-/-・-/-
県庁内 秘書課/1・6/-・-/-・-/持参
    企画課/-・-/-・-/1・3/持参
    議会/-・-/-・-/1・20/持参
    県民センター/-・-/-・-/1・23/持参(20部が有償頒布用)
    国際課/-・-/-・-/1・55/持参(取りに来る)
    広報課/-・-/-・-/1・378/広報課(報道20部、課内22部、保存用22部)、予備
    上記以外の庁内各課/-・-/-・-/102・145/県庁B1ボックス
    都道府県/-・-/-・-/46・46/県庁B1ボックス
その他団体 百貨店/3・3/-・-/-・-/スズラン(前檎,高崎)、高島屋
    その他団体/34・38/-・-/-・-/-
各委員会委員 県議会議員/50・50/-・-/-・-/-
       監査委員/2・2/-・-/-・-/-
       教育委員/5・5/-・-/-・-/-
       公安委員/-・-/-・-/3・3/県警本部へ持参
       人事委員/3・3/-・-/-・-/-
       選挙管理委員/3・3/-・-/-・-/-
       労働委員/15・15/-・-/-・-/-
個人 県議OB/35・35/-・-/-・-/-
   県民リポーター/87・87/-・-/-
   その他/21・21/-・-/3・3/-
    合計/1276・1,355/176・13,307/381・1,538
    合計 配送先数   1,833件
       配送部数  16,200冊
【落札決定書(案)】
 次のとおり落札者を決定した。
  平成24年4月  日
                 群馬県知事 大 澤 正 明
1 落札に係る特定役務の名称及び数量 県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務 1回につき16,200部を年12回発行(平成24年5月号544号から平成25年4月号555号まで)
2 契約に関する事務を担当する部局の名称及び所在地群馬県総務部広報課、群馬県前橋市大手町―丁目1番1号
3 落札者を決定した日 平成24年3月26日
4 落札者の名称及び所在地株式会社 上毛新聞社 群馬県前橋市古市町一丁目50番地21
5 落札金額 34,440,000円
6 契約の相手方を決定した手続 一般競争入札
7 入札公告をした日 平成24年2月10日
【企画課から広報課への平成24年開始前の契約手続承認通知】
                    (企)
   年度開始前の契約手続き(平成24年度)の承認について
                      平成24年3月19日
広報課長 様
                      企画課長
 貴職から申請のあった下記業務について、適当と認められるため承認します。
契約をしようとする事項/契約締結方法※1(入札・随意契約等の区分)/執行伺いの予定日/年度開始前の入札執行等が必要な理由/新規or継続※2/長期継続契約※3/備考
◆県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行に係る契約/一般競争入札(特定調達契約)/-/4月1日から業務が発生するため/継続/-/広報刊行物発行
◆県政写真誌「グラフぐんま」の配達委託業務/一般競争入札/3月19日/年度早々に業務が発生し、入札の公告期間が必要であるため/継続/-/同上
◆県政広報紙「ぐんま広報」及び「ぐんま県議会だより」の製作・発行の委託に係る契約/一般競争入札(特定調達契約)/-/4月1日から業務が発生するため/継続/-/同上
◆県政広報紙「ぐんま広報」の新聞折込配布に係る契約/一般競争入札(特定調達契約)/-/同上/-/継続/-/同上
◆ファックス借り上げ/随意契約/3月21日/年度をまたいで使用が可能にしておく必要があるため/継続/-/広報普及推進
◆県政広報「ぐんまちゃんの掲示板」の新聞掲載に係る契約/随意契約/3月19日/4月1日付け朝刊から掲載するため(休刊日を除き毎日掲載)/継続/-/継続/-/新聞掲載
◆FM県広報番組「あさナビPREF」の制作及び放送にかかる契約/随意契約/3月21日/4月1日から業務が発生するため/継続/-/ラジオ広報
◆FM県広報番組「ぐんま情報トッピング」の制作及び放送に係る契約/随意契約/3月19日/同上/継続/-/同上
◆FMスポットCMの制作及び放送に係る契約/随意契約/.3月19日/4月1日から業務が発生するため/継続/-/ラジオ広報
◆GTV県広報番組の制作及び放送に係る契約/随意契約/3月26日/同上/継続/-/テレビ広報
◆GTV県広報番組「ジャスト6県政ガイドコーナー」の制作及び放送に係る契約/随意契約/3月26日/同上/継続/-/同上
◆インターネット行政情報サービス/随意契約/3月21日/中央官庁及び他県の動向についてリアルタイムで情報収集する必要があり、年度をまたいで継続して使用が可能にしておく必要があるため/継続/-/広報資料収集
◆メール配信サービス「スパイラル・メッセージングプレース」の利用に関する契約/随意契約/3月19日/年度開始早々からサービス給付を受ける必要があるため/継続/-/インターネット広報
◆光高速インターネット接続利用契約/随意契約/3月21日/同上/継続/-/同上
◆インターネット接続固定性(特別ID)及びドメイン維持管理契約/随意契約/3月21日/同上/継続/-/同上
◆ストリーミングサーバのレンタル利用契約/随意契約/3月21日/同上/継続/-/同上
◆県政県民意識アンケート委託契約/指名競争入札/3月19日/年度当初に契約締結しなければ業務に支障を来すため/新規/-/一般広聴
※1一般競争入札、指名競争入札、随意契約、単価契約、プロポーザル方式、企画コンペ方式のいずれかを記入
※2継続の場合は、前年度の契約書の写しを添付(複写機や燃料等の単価契約を除く)
※3長期継続契約で行うものは「長期継続契約」欄に期間(5年以下)を記入
             担当:総務予算係 福田
             内線:2312
【平成24年度群馬県一般会計予算】
第1号議案
        平成24年度群馬県一般会計予算
 平成24年度群馬県の一般会計の予算は、次に定めるところによる。
 (歳入歳出予算)
第1条 歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ665,388,000千円と定める。
 2 歳入歳出予算の款項の区分及び当該区分ごとの金額は、「第1表歳入歳出予算」による。
 (債務負担行為)
第2条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第214条の規定により債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額は、「第2表債務負担行為」による。
 (県債)
第3条 地方自治法第230条第1項の規定により起こすことができる県債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、「第3表県債」による。
 (一時借入金)
第4条 地方自治法第235条の3第2項の規定による一時借入金の借入れの最高額は200,000,000千円と定める。
 (歳出予算の流用)
第5条 地方自治法第220条第2項ただし書の規定により歳出予算の各項の経費の金額を流用することができる場合は、次のとおりと定める。
(1)各項に計上した給料、職員手当等及び共済費,(賃金に係る共済費を除く。)に係る予算額に過不足を生じた場合における同一款内でのこれら経費の各項の間の流用
(2)第15款諸支出金各項に計上した予算額に過不足を生じた場合におけるこれら経費の各項の間の流用
  平成24年2月20日提出
               群馬県知事 大 澤 正 明
<歳 出>
 款 / 項 / 金額(千円)
1 議会費/-/1,538,033
     /1 議会費/1,538,033
2 総務費/-/35,036,878
     /1 総務管理費/10,676,743
     /2 学事法制費/10,964,998
     /3 広報費/565,891
     /4 徴税費/9,619,659
     /5 市町村振興費/1,704,071
     /6 選挙費/39,124
     /7 危機管理費/653,715
     /8 消防保安費/488,184
     /9 人事委員会費/163,473
    /10 監査委員費/161,020
3 企画費/-/2,688,811
     /1 企画費/636,263
     /2 国際戦略費/134,692
     /3 地域政策費/172,833
     /4 情報政策費/791,776
     /5 統計費/418,863
     /6 土地・水対策費/361,819
     /7 世界遺産推進費/172,565
<第2表 債務負担行為>
 事項 / 期間 / 限度額(千円)
◆県民駐車場等整理誘導業務委託契約/平成25年度から平成27年度まで/268,233
◆県庁舎空調自動制御装置更新工事請負契約/平成25年度/60,000
◆総務事務センター人材派遣委託契約/平成25年度/1,090
◆グラフぐんま製作・発行業務委託契約/平成25年度/3,173
◆群馬県ホームページ公開承認等業務人材派遣委託契約/平成25年度から平成27年度まで/14,952
◆住民基本台帳ネットワークシステム系サーバー機器等リース契約/平成25年度/8,766
◆住民基本台帳ネットワークシステム業務端末等リース契約/平成25年度から平成29年度まで/9,726
◆統合型GIS構築運用保守業務委託契約/平成25年度から平成29年度まで/47,860
◆庁内ネットワーク用パソコン等リース契約/平成25年度から平成29年度まで/275,028
◆消費生活協同組合の火災共済事業に対する貸付契約/平成24年度/100,000
◆小児救急医療電話相談事業委託契約/平成25年度から平成27年度まで/54,780
◆救急搬送支援システム運営委託契約/平成25年度から平成26年度まで/35,345
◆重粒子線治療養の融資に対する利子補給契約/平成25年度から平成31年度まで/3,409
◆失業者緊急教育資金融資の保証に対する損失補償契約/平成24年度から平成36年度まで/2,000
◆再就職者訓練委託契約/平成25年度/83,160
【予算額調書 平成24年度支出負担行為】
支出番号  7
関連情報  ―
所属    010500広報
取扱者   長岡
会計    01一般
繰越    0現年
処理日   H24/ 4/ 1
債務    24 000001  34,440,000
支出予定科目  款 02総務費
        項 03広報費
        目 02広報費
        事業
        節 13委託料
        細節
予算額   187,956,000
伺 額   ¥31,570,000*
変更前額
変更後額
残 額   55,594,667
相手方   0272549944-00 前橋市古市町1-50-21(株)上毛新聞社
内訳件数      1件
特例    0特例無し
内容    130003-03 グラフぐんま製作・発行
備考    グラフぐんま製作・発行
管理番号
注:契約額のうち5月号~3月号の金額です(H25.4月号は債務負担のためH25.4.1に作成します)。H24予算3,570千円 H25予算(債務負担)2,870千円。
**********

■こうして、入札の結果、落札者の上毛新聞と契約したとして、広報課内部で、次のように契約書が平成24年4月1日付で供覧されました。

**********
<供覧用紙>
ファイル基準 P-309
保存期間   長(30)・長( )10・5・3・2・1・1未
書目名    グラフぐんま契約(登録番号 105-2)
供覧終了   24.4.1
課長・塚越 次長・坂田 係長・富田 係員・-
発議者    白銀 三容子 H24.4.1
県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行に係る契約書について
標記の件について、別添のとおり契約を締結しましたので、契約書を供覧します。
広報課
【別添】
県政写真誌「グラフぐんま」の製作・発行に係る契約書(平成24年4月1日付当事者押印済み)
仕様書
グラフぐんま製作・発行に係る契約 支払計画書(平成24年度)
別記 個人情報取扱特記事項
**********

■ここで、はじめて仕様書が添付されました。本来であれば、入札告示の時に、仕様書は応札業者に対して事前に配布されるものですが、毎年、上毛新聞が受注して、朝日印刷工業が失注している関係で、仕様書がなくても、特に支障はないようです。

**********
仕様書
1 規格等
(1)規格 B4版変形40ページ
(2)印刷 オフセット印刷
   ・多色刷り・カラー28ページ
     表紙4ページ …NPIコートR40 135kg、四六判相当
     本文24ページ …NPIコートR40 90kg、四六判相当
   ・―色刷り・モノクロ12ページ
     本文12ページ …ハイアルファーR40 26.5kg、B2判相当
(3)掲載内容  表紙、かお、特集、県政の話題、明日を拓く、マイグループ、ちょっと昔話、トピックス、スポーツ、味・風土、ぐんま百名山、ぐんま風紀行、スケッチ散歩、ギヤラリーなど ※変更する場合もある
2 実施業務
(1)企画・監修              群馬県
  ・記事は、群馬県が企画し掲載内容の一部項目の製作内容は委託業者が企画案を提示する
(2)編集会議の実施            群馬県・委託業者
  ・製作内容については群馬県と委託業者で開く編集会議で決定するものとする。
   会議の開催日時・場所はその都度県が指定する。
  ・その製作内容は、県・委託業者など関係者で開く編集会議で決定する。
(3)取材・原稿作成            委託業者
  ・委託業者は、編集会議での決定に基づき取材・編集を行い、製作する。
  ・委託業者は、取材・編集の実施に当たり、県行政について相当の知識を有すると県が認める者をその責任者として選任し、常時、業務の統括に当たらせるものとする。
  ・原稿の作成は、県の指示に基づき、原則として独自の取材に基づき委託業者が原稿を作成(写真撮影、表紙の作成等を含む。)するものとする。
(4)写真撮影               委託業者
(5)レイアウト              委託業者
  ・委託業者は、編集会議での決定に基づく誌面編集案について、県の監修を受けなければならない。また、県は、誌面編集案に対して、修正を指示することができる。
  ・委託業者は、県との協議に基づく期日までに編集を行い、誌面編集案を作成、県に提出する。
(6)レイアウト              委託業者
(7)イラスト・カットなどの作成      委託業者
(8)広告の募集など            委託業者
(9)広告の審査              群馬県
(10)印刷                 委託業者
(11)梱包                 委託業者
(12)指定場所までの輸送・個別配送     委託業者
(13)県納入分の県庁県民センターでの販売  群馬県
(14)独自増刷分の県内書店等での販売    委託業者
(15)読者プレゼントの購入・配送      委託業者
**********

 これをみると、群馬県は編集会議で記事内容の企画案のごく一部だけを委託業者に提示し、業者が募集した広告がどこかを審査し、県庁県民センターでの販売だけを扱うほかは全て、上毛新聞社に丸投げをしていることが分かります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】

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知事公舎がラブホテルとして利用されていたと裁判所も認識していた大澤知事愛人公舎宿泊事件の第1回弁論

2012-07-11 23:49:00 | オンブズマン活動
■知事・大澤正明が、群馬県知事公舎を週末頻繁にラブホテル代わりに使っていた問題で、市民オンブズマン群馬は、週刊誌がこの問題をスクープした平成23年7月13日以降、大澤正明群馬県知事に対して、情報開示請求や公開質問状、それに知事公舎見学会の申し入れを通じて、真相解明と責任の所在の明確化、そして、再発防止策を追及してきました。その結果、公金の違法不当な支出が見られるため、住民監査請求を群馬県監査委員に行いましたが、監査委員の中に、知事・大澤と同じように不倫問題で女性の人権を踏みにじった人物がいたため、監査結果が歪められるのではないかと懸念しました。平成24年5月2日の監査結果は、懸念された通り、全て棄却とされたため、市民オンブズマン群馬のメンバー2名が同6月1日に、大澤正明知事に、知事・大澤から違法不当な支出ないし不当利得の返還を命ずるように、知事公舎ラブホテル化損害賠償請求を行いました。そして、本日、平成24年7月11日(水)午前11時から11時14分まで、前橋地方裁判所2階の第21法廷で第1回口頭弁論が開かれました。


知事と県職員のモラルを問う平成24年(業ウ)第10号事件の第1回口頭弁論が行われる朝の前橋地方裁判所の正面ファサードの様子。
■開廷にあたり、傍聴席には20名前後の傍聴者が集まりました。そのうち、被告群馬県の関係者が10名余りで、この問題に関する関心の高さを伺わせました。その他、原告を支援する住民らが3名、取材のためやってきたマスコミ各社(読売、上毛、朝日、毎日、共同通信など)の関係者が数名という構成でした。

 原告席には市民オンブズマン群馬の代表と事務局長が陣取り、被告席には、訴訟代理人と管財課職員2名が着席しました。開廷前に、ちょうど、県庁から裁判所に向かう際に前に2名の管財課職員が歩いていて、第21号法廷に入ったため、「おはようございます。ご苦労さんです」と声を掛けましたが、2名の職員は、こわばった顔のまま、こちらの方に目を合わせようともせずに、完全に無視状態でした。

 第21号法廷に張り出された紙には、「平成24年7月11日(水) 第21号法廷開廷表」と書かれており、本件事件について次のように記載がありました。

 11:00~11:15 第1回弁論 平成24年(行ウ)第10号損害賠償請求事件
 原告 鈴木庸 外
 被告 群馬県知事 大澤正明 代理人 新井博
 担当 民事第1部合議係
    裁判長 大野和明
    裁判官 佐伯和子
    裁判官 毛受裕介
   書記官 継田美貴

■午前11時きっかりに、裁判官3名が法廷に姿を現すと、全員起立して一礼をして、早速平成24年(行ウ)第10号知事公舎ラブホテル化損害賠償請求事件の第1回口頭弁論が開始されました。法廷内での当事者間のやり取りは概ね次のようでした。

 最初に裁判長が、原告らに向かって、2名の氏名を確認した後、原告側から訴状を陳述しました。陳述といっても、実際に訴状の全文を陳述したわけではなく、既に提出した書面の訴状を「陳述する」と言えば、法廷で全部読み上げたことになるのです。

 続いて裁判長が、今度は、被告の訴訟代理人に向かって、答弁書について促すと、代理人の弁護士が「陳述します」と言いました。その後裁判長が再び原告らに向かって、準備書面(1)と(2)が提出されていることを告げたので、原告側が「(それらについて)陳述します」と言いました。

 裁判長は原告側に向かって、今度は、「証拠説明書というものを普通、提出することになっているので、証拠書類の内容について、タイトルや日付、原本か写し、請求内容を簡単でいいから原告側から説明したものを出してもらい、被告側がそれについて反論してもらった方が分かりやすい」と訴訟指揮をとってきたので、原告側は「了解しました」と答えました。

 裁判長は、また、本件事件の問題点として、ラブホテル代わりに知事公舎が使用されたと言う話は理解できる。また衛生についても分かる。問題なのは、いちばん金額の大きい部分で、改修のため支出したというところであるので、原告側としては、公舎がラブホテル代わりに使われたということを主張したいのかどうか、ということの確認を原告側に求めて来ました。

■原告側は、最初、裁判長が何を言っているのかよく分からず、甲号証で提出した1~4までの証拠書類では不足していると考えて、群馬県に情報開示請求をして入手した文書を全て添付するのか、と勘違いをしました。

 全部の証拠文書を添付するとなると、相当時間がかかります。そのため、全部の書類を用意するにはコピーだけでも相当時間がかかることを告げたところ、裁判長は、引用している支出項目に係る文書のそれぞれについて、枝番を付けた上で、上述のように、証拠説明書としてリストを作成すればよい、と分かりやすく説明してくれました。

 このことからも、裁判長は、原告側から既に提出済みの訴状や準備書面(1)と(2)について、よく目を通している様子がうかがえました。そのために、本件事件の問題点の本質とも言うべき事項について、ズバリ確認のための質問を原告側にしてきました。

 原告側からは、公舎の目的外使用、つまり週末に頻繁に知事・大澤が県有施設をラブホテル代わりに利用していたことにより、施設改修についても当然指示が出ていたはずだが、知事・大澤は入居後、指示を出した覚えがない、と主張していること。となると、勝手に管財課が公舎を改修したことになり、この場合にも、管理規則上、違法不当な支出になること。だが、知事・大澤から指示が何らかの形で出たはずなので、まずはその事実関係を確認する必要があり、その後で、公務とは無関係にラブホテル代わりに使用するために費やした支出について、違法不当性を追求したいこと、を説明したところ、裁判長も原告側の主張をはっきり理解したようです。ついでに原告側は、監査委員がいかに役に立たない存在か、についても、強調しておきました。

 そして、裁判長は、知事・大澤がそうした指示を管財課に対して指示をしていることがはっきりした場合には、本当はラブホテル代わりに使用している実態を外から見られたくないために、そのような無用な改修をしたのかどうか、について、被告側にきちんと反論するように求めました。

 被告の訴訟代理人の弁護士は、まずは原告側が甲号証をきちんと出してもらうことが先決だと主張しました。しかし、裁判長は、原告側にはいちおう甲号証として枝番をつけて、違法不当支出にかかるそれぞれの開示資料のリストを証拠説明書で提出を求めましたが、それは単に形式上のことであり、被告側には、あらためて、改修の目的や効果として、ラブホテルとして使用していたかどうか、その根拠をきちんと示すためには、外部の目から公舎を遮ることを狙った改修なのかどうかがポイントであることを示唆しました。

■それでもなお、被告の訴訟代理人が怪訝な顔をしていたため、裁判長は非常に分かりやすい例えで、被告に説明しました。つまり、裁判長は、原告が例示した違法不当支出について、被告はその防御のために、公舎の改修工事はどのような規則に基づいて行われたのかを明らかにする必要があるとしました。その上で、しかし、書類などを出してもらっても、会計上の細かいところまでは、読み取れないため、誰でも見て分かりやすい情報として、工事写真のような証拠の提出を被告側に課しました。裁判長は、当然被告には撮影したものがあるはずなので、工事着工前(ビフォー)と、工事完工後(アフター)の様子が分かる写真の提出が必要であるという見方を示したのでした。このやり取りを聞いていた県の管財課の皆さんは、一層顔をこわばらせていました。

 それを聞いていた原告側は、「その件に関して一言言わせてもらいます。やはり改修工事が、公舎をラブホテル化するために、どのような目隠し効果等を発揮したのかどうかは、この問題が明るみに出た直後から、知事公舎の内部・外部見学を管財課に申し入れました。肉眼で様子を確認しないと、そうしたことは明らかにされないためです。しかし、管財課は、原告側のそうした再三にわたる知事公舎見学要請に対して、安全上のセキュリティ確保に支障をきたすという理由でことごとく却下しました」と裁判長に強くアピールしました。

 裁判長は、原告側の主張に耳を傾けた後、被告に向かって、BeforeとAfterを示す件数はせいぜい20ないし30程度だから、そんなに困難なことではないはずだ、として、まず公舎管理規則の運用について説明を出してもらってから、BeforeとAfterの証拠をだしてもらいたい、と言いました。

 これに対して、被告の訴訟代理人は、まだ、甲号証の引用は非常に膨大にならざるを得ないので、原告側からの甲号証の細かな証拠資料の提出が必要だといわんばかりに、縷々主張しました。しかし、裁判長は、住民であり納税者である原告側の県民にそこまで準備させるに必要なないと考えたのでしょう。裁判長は原告側に立証義務を課したことになります。裁判長のこうした訴訟指揮は、非常に理にかなった対応だと感じました。

 そして、次回第2回口頭弁論については、夏休みを挟んで、9月19日(水)午前10時30分から、今日と同じく第21号法廷で開催されることに決まりました。次回期日が決まると、全員起立して裁判官の退出を見送りました。

■法廷の外に出ると、マスコミ各社が待ち構えており、予め用意してあった裁判資料の写しを幹事社を初め、各社に配布して、解説をしました。おそらく明日の朝刊には、初公判が開かれたことが簡単に紹介されるものと思われます。

 一方、被告の群馬県側は、悲壮感さえ漂わせて、傍聴していた10名ほどの職員らと、訴訟代理人として依頼した弁護士が、第21号法廷に向かう廊下入口の左手にある待合室になだれ込むと、中から鍵をしてシャットアウトし、あれこれ善後策を打ち合わせている様子が部屋の外から伺えました。

 そして、オンブズマン会員が、マスコミの取材を終えて、外に出て車で裁判所を出ようとしたところ、被告の群馬県の職員らや訴訟代理人10名余りが、裁判所の入り口から歩道に出て、地裁前にある群馬会館に歩いて向かう光景が見られました。おそらく、食事を採りながらさらに詳細な打合せを行う模様です。


最大の危機に直面した群馬県総務部管財課の職員らが急きょ会合を開くために群馬会館に入るところ。

■それにしても、せっかく県民納税者でもある原告側から、「おはようございます」と挨拶されたら、会釈の一つくらい返せそうなものです。それが、公務員としての最低限のマナーだと思いますが、今日の群馬県管財課の職員らは、まるで北朝鮮の官吏のようにムスッと黙ったまま、無愛想な反応しか示さなかったことは誠に遺憾であり、残念に思いました。

 引き続きこの問題については、都度報告する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】



※参考資料<原告の準備書面(2)>
平成24年(行ウ)第10号 知事公舎ラブホテル化損害賠償請求事件
原 告  鈴木 庸、 小川 賢
被 告  群馬県知事 大澤正明

平成24年7月9日

原 告 準 備 書 面 (2)

前橋地方裁判所 民事第1部合議係 御中

原 告  鈴木 庸   印
 同   小川 賢   印

 平成24年7月4日付の答弁書に関して、次のとおり陳述する。

第1.被告の資格について

 平成14年の地方自治法改正により、地方自治法第242条の2第4号に規定する住民訴訟(いわゆる「4号訴訟」)の構造が抜本的に改正され、従来、職員が個人として被告となっていたものが、首長等の執行機関等が被告となるように改められた。
 本件請求では、原告らは、この改正された地方自治法に基づき、地方自治法第242条に定めた手続に沿って、知事・大澤の違法・不当行為により群馬県のこうむった損害を補填するよう住民監査請求を行った。その結果、原告らの請求が監査委員により全て棄却されたため、執行機関である群馬県知事の大澤正明を被告とし、「違法な財務会計行為を行った長又は職員に対する損害賠償請求、あるいは、違法な財務会計行為の相手方に対して不当利得返還請求をせよ」とする内容の請求を行う「義務付け訴訟」を行っているものである。
 したがって、本件請求の根拠とする第242条の2第4号には、被告の群馬県知事大澤正明が、相手方の知事・大澤を対象に、第243条の2第3項にもとづき、被告が、監査委員に対して事実の有無を監査させて、賠償責任の有無及び賠償額を決めさせて、その決定に基づき相手方に賠償を命じることを求めることができることも含まれるが、既に群馬県の監査委員が全く監査をするつもりがなく機能不全状態にあることが、原告らの前置した住民監査請求の手続の過程と結果で明らかになった。そこで、原告らは被告の群馬県知事に対して、本件請求を行ったものである。
 本件請求に関連して看過されてならないことは、相手方である知事・大澤の知事公舎の恒常的な目的外使用について、群馬間の実施機関の長以外の職員らも従来からその事実を承知していたにもかかわらず、長年にわたり、知事・大澤の目的外使用を黙認していた上に、知事・大澤が公舎施設を目的外使用し易くするための便宜をも図っていたことである。
 このことに関連して、知事・大沢の知事公舎目的外使用の証拠写真とともに、関連記事が週刊新潮平成23年7月13日発売号に掲載された(甲1 監査請求書別紙 事実証明書の(1)参照)が、発売当日の朝、県職員と思しき相当数の人物らが、前橋駅前の売店や同市内の書店や書籍売り場で当該週刊誌を買い占めるという所業に及んだことも、こうした背景をうかがわせる。なお、この件について、知事・大澤は原告らの公開質問状(甲1 監査請求書別紙 事実証明書の(3)参照)に対して回答書(甲1 監査請求書別紙 事実証明書の(4)参照)で、「そのような事実は承知していません。もちろん指示等もしていません」と否定しているが、状況証拠から見ても、週刊誌の買占め行為が組織的に行われたことは事実であることを示唆している。
 こうした知事・大澤の為した違法不当行為は、知事・大澤の指示によるものか、或いは職員らが自発的に行っていたものか、住民監査請求をもってしても、その実態が明らかにされなかった。
 このことについて、原告らは、前者、すなわち、群馬県の実施機関の長の指示を受けて、長以外の職員らが違法不当行為に加担したものと考えている。いずれにしても、原告らは本件請求を通じて、このことを明らかにする所存である。そのために、原告らは訴状に、被告として群馬県知事大澤正明を明記した。
 しかしながら被告は答弁書で、被告として恣意的に「群馬県」とだけしか記載していない。これでは、「群馬県の長である知事」のことなのか、それとも「群馬県の長以外の職員」のことなのか判然としない。よって、被告に確認を求める。(第4 求釈明(1)参照)

第2 答弁書「第3 請求の原因及び原告準備書面(1)に対する認否、反論」に示された被告の主張概要に関する反論等。

1 「2 同第2の(1)について(公舎の目的外使用)」について

(1)住民訴訟の要件不備
 被告の主張を全て否認する。
 被告は「2 同第2の(1)について(公舎の目的外使用)」で、本件請求が住民訴訟の要件を備えていないと主張し、その理由として『本件では損害も不当利得も該当する余地はない』とし、『違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得・・等』に該当しない」ことを挙げている。原告らは、本件請求が、知事公舎という財産の違法・不当な管理に関する事項でもあると考えているが、被告は相手方の為した行為が、本当に第242条の2第1項第4号に該当しないと判断しているのか、そうであれば、詳しく理由を明らかにされたい。(第4 求釈明(2)参照)

(2)目的外使用との主張について
 被告の主張を全て否認する。
 被告(実施機関の長、或いは長以外?)は、群馬県公舎管理規則を都合よく解釈して縷々釈明しているが、県民の常識としては、①知事公舎は県有施設であること、②その知事用に公金を投入して整備された施設に、公舎管理規則に定めのない、県に勤務していない非職員(=知事・大澤の愛人)を恒常的に週末にたびたび宿泊させる(週刊新潮平成23年7月13日号によれば、2010年(平成22年)だけで30回、2011年(平成23年)は既に13回は泊めた、と指摘あり)という行為が、公舎管理規則に合致する行為であるとは、常識のある県民の誰ひとり思いもよらないことであろう。
 なお、被告は、「本件では、知事が公舎に居住していることは明らかであり」と主張するが、実際には相手方の知事・大澤は、平成23年5月の会見で、知事公舎について「大きすぎる」との立場を示し、「知事公舎は週に1、2回しか使っていない」と明かしていた。また、週刊新潮発売日の平成23年7月13日の会見では「今後について廃止も含め第3者委員会を設けて検討したい、と語っていた。このことは、知事・大澤が、知事公舎に単身で居住する動機としては、週末に自宅に戻らず、愛人と過ごすことしか脳裏に浮かんでこないため、という見方も成り立つ。すなわち、知事・大澤にとって、知事公務で公舎に居住する必要性については常日頃、自問自答していたため、こうした発言に繋がったと言える。
 また、家族ではなく、愛人と二人だけで過ごすには、たしかに知事・大澤の言うとおり、知事公舎は「大きすぎる」のであろう。何しろ、することが限られるからだ。
 このことから、被告のいうとおり、知事・大澤は、公舎に居住(ただし、殆どが週末の1日、2日だけで、しかも単身でなく愛人と一緒に居住)していたことがあることは確かであり、少なくとも、平成23年7月7日の午後から翌8日の午前に掛けて、愛人と一緒に居住していたことは、自ら会見で認めている。公私混同もここまでくると明らかに意図的であり、長以外の職員らもこのことを知らないわけがない。
 被告は、相手方の知事・大澤による群馬県公舎管理規則の目的外使用について、「その使用形態が目的に沿っているかどうかは、知事が居住に供しているかどうかで判断される」と、この重大な問題を意図的にはぐらかしているが、被告の主張は失当である。なぜなら、群馬県公舎管理規則では、第二条(定義)において「公務の円滑な運営をはかるため、県に勤務する職員の居住に供する目的を持って設置した施設をいう」と定めており、非職員は家族、使用人以外を除いて、居住できないことになっている。この点について、相手方の知事・大澤は、宿泊させていた愛人とされる知人女性について「家族同様の付き合いをしている」という趣旨のことを平成23年7月13日の会見で述べている。しかし、家族同様の付き合いをしている関係をいくら強調したところで、家族や使用人とは本質的に異なる。また、宿泊させていた愛人とされる知人女性については、当時、知事・大澤が運営する社会福祉法人明光会の特養老人ホームで幹部を務めていたとされるが、その場合でも、管理規則にある“使用人”と見なすことは困難である。
 したがって、被告の「上記規則第8条第1項で禁止されている行為に該当する事項すら存在しない」という主張は失当であり、同条第1項第2号に定める禁止行為である「職員と生計を一にするもの以外の者(使用人を除く)を同居させること」に抵触することは明らかである。ついでに言えば、上記規則第4条には、居住資格が明記されており、知事・大澤の愛人に居住資格のないことは明らかである。
 同条第2項では「前項の規定に違反した使用者については、知事又は地域機関等の長は、公舎の退去を命じることができる」と定めてあり、実際に、本件で被告が、知事・大澤に対して公舎の退去命令を出したのかどうかは確認されていないが、知事・大澤が平成23年7月31日をもって、公舎を退去したことは事実である。
 このことからしても、被告も知事・大澤も、知事・大澤の為した行為が、上記規則第8条で禁止されている行為に該当する、と認識していたことは明らかである。
 また、「2010年(平成22年)だけで30回、2011年(平成23年)は既に13回は泊めた、と指摘あり、と報道された行為が事実であれば、公舎を恒常的にラブホテル代わりに利用していたことになり、上記規則第8条第1項第3号の「転貸し、又は目的外に使用すること」に違背することは明らかである。

2 「3 同第2の(2)について(公舎の改修について)」について

(1)改修工事の必要性
 被告の主張をすべて否認する。
 答弁書では、被告の訴訟代理人がまだ実情をよく認識していないようなので、あらためて、原告らは次の点を指摘しておく。
 群馬県公舎管理規則第8条第1項で禁止されている行為に該当する事項として、同条第1項第1号に「構築し、改築し、若しくは模様替えをし又は工作物を設置すること」の定めがあり、ただし書きとして、「第1号及び第2号に掲げる行為で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものは、この限りでない」とある。
 このため、原告らは、知事公舎の改修について、知事・大澤が入居届を出した入居予定日の平成18年12月1日以降に構築、改築、若しくは模様替え又は工作物を設置したことが、知事の許可を受けたのかどうか確認すべく、被告に対する情報公開請求、知事・大澤に対する公開質問状、そして、現地調査のための視察会申入れを通じて、事実関係を確かめようとした。しかし、結局、知事・大澤が秘書課を通じて管財課にそうした改修工事を命じた経緯があったのかどうかの確認はできなかった。
 また、被告である知事・大澤本人も、公開質問状への回答のなかで、「知事公舎に係る改修工事は、公舎管理上の必要性から県(管財課)が行ったものであり、私が入居してから、改修の指示をしたことはありません」と回答しており、目隠しフェンスの設置工事等、公舎の具体的な改修工事に関する原告らの公開再質問状への回答の中でも、「書類の有無は承知していません」とか「詳細は承知していないので、担当課に確認してください」と述べるばかりで、結局、知事・大澤が被告から、知事公舎の改修の許可を受けたのかどうか、確認はできなかった。
 確認ができていないため、原告らとしては、知事公舎の改修は群馬県公舎管理規則に基づく手続を踏まえていないと判断せざるを得ない。
 そもそも、知事公舎は、「県が公務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもって設置」(上記規則第2条)されたもので、その居住資格として「公舎を使用することができる者は、県に常時勤務する職員(知事が特に認めた場合は、この限りでない)で公務の円滑な運営を図るため居住の必要があるものに限る」ことになっている。
 知事・大沢が、愛人に公舎を使用することを特に認めていたのかどうか、管財課にそのような指示が出されたのかどうか、少なくとも原告らに開示された資料にはそのような証拠文書がないため、原告らは事情が分からない。被告は、この点について、どのように認識しているのか、明らかにされたい。(第4 求釈明(3)参照)

(2)「(2) 原告準備書面(1)について」
 ①について、被告の主張を全て否認する。
 被告が、原告らの監査請求について、1件以上の期限徒過を理由に、大部分の支出について、無効を主張しているが、原告らは、被告や知事・大澤とその指示を受けた長以外の職員が為した全ての情報を入手できたわけではない。限られた情報をもとに、乱訴のそしりをできる限り回避すべく、ぎりぎりまで時間を掛けて、情報収集や収集した資料の分析と評価に努めた上で、真相の追及と責任の所在の明確化をはかるために、監査委員に対して住民監査請求をしたものである。その結果、監査委員の中に知事・大澤と同様に倫理観の欠如した監査委員が関与していたため、原告らの監査請求は、結局、門前払いの形で棄却されて、強引に幕引きをされてしまったのである。
 よって、原告らが平成19年までの支出行為に対して住民監査請求を行ったのには、正当な理由があり、原告らには請求の利益がある。
 ②について、被告の主張を全て否認する。
 前項で述べたとおり、知事・大澤は、原告らの公開質問状への回答のなかで、「知事公舎に係る改修工事は、公舎管理上の必要性から県(管財課)が行ったものであり、私が入居してから、改修の指示をしたことはありません」と回答しており、群馬県公舎管理規則第8条第1項により、知事の許可なく為された増築、改築、模様替え、工作物の設置は全て違法・不当であり、これらの改修工事に費やした費用は損害として回収されなければならない。
 ③について、被告の主張を認め、次のとおり訴状を修正する。
 被告の「訴状のP5の(3)の上には、支出項目No.19からNo.29までについて返還を求めるとあるが、蒸気準備書面はこれと合致していない」との指摘については、原告の準備書面(1)で示した支出の内訳が正であり、これにより訴状の「支出項目No.19からNo.29」の部分の後に、「No.30、No.31-3~6、No.32-5~10及びNo.33-1~2」を加える。(第5 訴状の訂正を参照)

3 「4 同第2の(3)について(公舎の衛生費等の支出)」について
(1)被告の「(1) 認否」について
 被告が「② 平成20年2月以降平成22年3月まで自己負担ゼロとの主張を否認する。毎月16,700円を支払っている」と主張するが、原告らの開示情報の分析結果によれば、平成19年12月1日に入居以降、知事・大澤が公舎利用料として月額19,496円(平成22年4月1日以降は月額19,490円に変更)を支払っていたことは確認できるが、公舎利用に係る自己負担額について、平成22年3月以前ははっきりと確認できない。このため、被告は、それまで、きちんとした公舎利用料の自己負担分の取り決めが為されて居なかったことを踏まえて、平成23年4月1日付けで管財課長に「公舎利用料の調定について」と題する簡易回議書を起案・決裁させている。((甲1 別紙 事実証明書(14)公舎利用料の調定について参照)
 原告らの調査によれば、電気代については、少なくとも平成19年10月以降、知事公舎の電気料金は100%群馬県が負担しており、これが平成20年3月まで継続している。このため、知事・大澤が平成19年12月1日から入居予定していたが、実際には平成20年2月1日頃から入居したとも言われている。電気料金の県側100%負担は、平成20年3月まで続いているのは確かである。このほか、ガス代、上下水道代、電話代、インターネット代が、平成22年3月までの間、被告と知事・大澤との間でどのような負担割合で処理されたのかは判然としない。これらの期間において、上記の公舎利用にかかる自己負担分が、もし被告の言うように毎月1万6700円であったとすれば、この期間においても、公金による知事・大澤の目的外使用にかかる知事公舎の利用経費の過剰補填が行われていたことになる。
 また、平成20年2月1日頃からの知事・大澤による実質的な知事公舎の利用開始以降、知事・大澤が、目的外使用を行っていたことについては、目隠しフェンスや植栽にかかる改修工事等の支出状況から、事実であると推察されるに足りる蓋然性がある。
 本来、平成22年3月以前の公舎利用料の公金による過剰な補填(公舎利用者への違法・不当な利益供与)についても、被告は、知事・大澤に対して返還請求をすべきところ、本件請求では、平成22年4月1日付の管財課長による「公舎利用料の調定」にかかる決定(甲1 別紙 事実証明書(14)公舎利用料の調定について参照)に基づき、同日以降分のみ、本件請求の対象としたものである。
(2)被告の主張について
 全て不知ないし否認する。
 知事公舎が知事の公務の円滑な運営を図るために知事の居住に供する目的をもって設置した施設であることは、群馬県公舎管理規則の目的にも書かれている。したがって、私生活の場として、知事公舎の一部利用は、他県の場合、たとえば新潟県の知事公舎などでも認められている。
 群馬県の場合、本来の知事公舎(知事・大澤が公約で廃止を言い、当選後、前任の小寺前知事が平成19年8月31日に退居後、平成20年2月4日に用途廃止され、平成20年3月21日に公共施設のあり方検討委員会で廃止について検討され、同年4月24日に検討結果として解体で答申され、その後、夏にかけて解体された)には、前知事が家族と同居していた。
 また、知事・大澤が、前知事が使用していた知事公舎に住むことを嫌い、それまで副知事公舎として使用されていた大手1号町1号公舎に目を付けて、そこを愛人と居住するために改修させた今回の知事公舎については、そこに今日中した歴代の副知事のうち、小寺弘之(昭和61年4月1日~平成3年7月31日)は家族5名と同居しており、女屋覚元(平成3年12月30日~平成7年10月7日)は家族1名と同居しており、高山昇(平成8年1月1日~平成15年10月10日)は当初家族3名で途中から家族2名と同居していた。ところが、元・管財課長だった高木勉(平成17年11月9日~平成19年8月3日)から、単身で居住するようになった。
 当時、小寺前知事のもとで県総務担当理事だった高木勉は、平成17年10月17日の県議会で、それまでの副知事2人制を全会一致で否決した上で、ただ一人の副知事として承認されたが、おそらく、前知事と県議会との確執から、長期にわたって副知事職には留まれないと判断したらしく、また、出身が子持村だったため、家族の同居はしなかったものと推測される。
 このように、歴代の副知事はいずれも公務をこなすため、副知事公舎に家族随伴で居住するケースが多いが、副知事公舎として、「広すぎる」こともなく、問題なく使用されてきたと思われる。ところが、平成19年7月に知事が代わった途端、群馬県の管財課が、知事・大澤の指示もなく勝手に知事公舎に目隠しフェンスを張り巡らしたり、前知事の小寺が長年居住していた本来の知事公舎を解体するにあたり、庭にあったサンゴジュを、隣接マンション側に目隠し用として移植したりした。おそらく、前知事時代に重用された管財課OBの高木勉の人事の激変ぶりを目の当たりにした管財課としては、新知事にゴマをする必要があると痛感したとしても、無理はない。
 それにしても、群馬県の知事公舎の場合、本来、長年にわたり知事公舎として利用されてきた本来の知事公舎が、知事・大澤が就任後、耐震強度不足等を理由に解体されたのである。知事・大澤自身も、平成19年の知事選では、「知事公舎は要らない」「自宅からエコカーで通勤する」と言って当選を果たしていたのである。知事・大澤は平成19年7月に当選後、公約に則って、それまで知事公舎として使われてきた本来の知事公舎の解体を早速命じたが(実際の解体は平成20年夏だったらしい)、奇妙なことに、副知事用の公舎だった大手町1号公舎から平成19年8月3日に、元・管財課課長だった高木勉副知事が退去後、同8月に茂原璋男副知事が入居予定だったところ、知事・大澤は、平成19年9月、群馬県南西部を襲った台風9号の被害を契機に、迅速な危機管理対応のためと称して、大手町1号公舎(旧・知事公舎)の入居を決め、浴室などの大改造を命じたのである。このように、在来の知事公舎を壊しておきながら、副知事公舎を愛人との居住専用の知事公舎にしたて、多額の公金投入による改修を行うなど、矛盾した施策による公金の無駄遣いは到底許されるものではない。
 しかも、知事・大澤は、太田市内の自宅から家族を呼び寄せることもせず、当初から同居者「0」として大手町1号公舎(=知事公舎)への入居届を出し、セキュリティの充実と称して、目隠しフェンスや隣接マンションからの人目をはばかる為の植栽工事など、愛人を居住させるためのプライバシー対策を当然の改修だと不思議にも思わず、知事公舎で逢引を重ねていたのである。こうして、知事・大澤は、公務の円滑な運営とは名ばかりの週末の不倫業務に精を出していたのである。このために支出された費用は、本来、被告が、知事・大澤に対して、全額負担させるべきものである。
 被告は、「これは群馬県公舎管理規則第9条に規定している『特別の事情』に該当するものであり、手続き上何ら問題はない。他県でも同様にしているのが一般的であり、群馬県でも歴代この方法がとられている」と主張するが、同第9条に定める「特別な事情」として、知事・大澤が必要と認めた場合に相当するのかどうか、原告らには確認のしようがない。
 しかも、原告らの平成23年12月19日付の公開再質問状の質問(17)で、原告らはこの自己負担分の根拠について知事・大澤に質したところ、平成23年12月26日付の回答で、知事・大澤は「自己負担額の設定根拠は承知していません」という見解を示してきた。
 このことから、被告の言う同規則第9条ただし書きの「ただし、特別の事情があって知事が必要と認めた場合は、県が負担する」という説明に理由がない。もし、知事・大澤が、目的外使用として、愛人を居住させた際の光熱費等について、事前に「必要と認めた」証拠があれば、どんな内容なのか、それを確認する必要がある。(第4 求釈明(4)参照)
 さらに、被告は「その金額は一般的な家計調査等の数値を基準として算出されたものである」として、数値の合理性を強調しているが、どのような数値をもとに算出したのか、原告らはそれらを確認する必要がある。(第4 求釈明(5)参照)

第4.求釈明
(1)被告は、答弁書の被告として恣意的に「群馬県」とだけしか記載していない。これでは被告が「群馬県の長である知事」のことなのか、それとも「群馬県の長以外の職員」のことなのか、あるいは両方なのか、判然としない。よって、被告に具体的に確認することを求める。
(2)原告らは、本件請求が、知事公舎という財産の違法・不当な管理に関する事項でもあると考えているが、被告は相手方の為した行為が、本当に第242条の2第1項第4号に該当しないと判断したのか、詳しく理由を明らかにされたい。
(3)知事公舎は、「県が工務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもって設置」(群馬県公舎管理規則第2条)されたもので、その居住資格として「公舎を使用することができる者は、県に常時勤務する職員(知事が特に認めた場合は、この限りでない)で公務の円滑な運営を図るため居住の必要があるものに限る」ことになっている。知事・大沢が、愛人の公舎居住を特に認めていたのかどうか、原告らは知らないが、被告は、この点について、どのように認識しているのか、明らかにされたい。
(4)被告の言う群馬県公舎管理規則第9条ただし書き「ただし、特別の事情があって知事が必要と認めた場合は、県が負担する」という説明の理由付けとして、知事・大澤が、目的外使用として、愛人を居住させた際の光熱費等を含め、事前にどのような「特別の事情」があり、「必要と認めた」のか、原告らはそれらを確認する必要があるので、証拠等を示して明らかにされたい。
(5)被告は「その(自己負担分の)金額は一般的な家計調査等の数値を基準として算出されたものである」として、数値の合理性を強調しているが、どのような数値をもとに算出したのか、原告らはそれらを確認する必要があるので、証拠等を示して明らかにされたい。

第5 訴状の訂正
 訴状のページ5/9の下から14行目、「支出項目No.19からNo.29」の部分の後に、「、No.30、No.31-3~6、No.32-5~10及びNo.33-1~2」を付け加える。

以上




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