以下 akiraさんの「平凡な日常」より
http://akiran1969.iza.ne.jp/blog/entry/2350529/
ベストセラー「国家の品格」の著者で数学者の藤原正彦さんが週刊新潮に連載している「管見妄語」が面白い。身辺のことを中心にしたエッセイ風の文が多く、その軽快でユーモアに富んだ文章をいつも楽しみにしている。さすがは新田次郎、藤原ていを両親に持ち、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しただけのことはある。
そのなかで、たまに政治や経済に関する話題も取り上げてられるのだが、この時は本業の数学者の顔を見せ、極めて論理的かつ簡潔な文章で鋭い論評をする。最新号に掲載された「増税論という”物の怪”」という文はその一例なのだが、図やグラフを使わず、わずか1200文字くらいの短い文章で、政府、財務省、日銀の経済政策の怠慢と誤りを的確かつ鋭く批判してみせる力量には心底から感服する。
増税論という”物の怪”
政府は消費税を2010年代半ばまでに10%まで引き上げる方針という。理由は社会保障に関する財源十兆円あまり不足するからという。よくぞこういう考えがこういう時期に出るものだと感心する。社会保障費の財源不足いうが、デフレ不況が十数年も続いている今、財源不足は震災復興費を始め殆んどすべての部門にわたっている。お金に色はないのに社会保障を口にするのは国民に文句を言わせないための小細工だ。
(中略)
消費税上げが今許されないのは、無駄をほったらかしにしたままだからでなく、日本経済をどん底に沈めるからだ。
消費税を5%上げれば10兆円の税収増になるというのは算数的に一応正しい。
(中略)
1997年に橋本政権は、バブル崩壊後の不況から立ち直り始めた経済を見て、消費税を3%から5%へ上げた。この結果、3年後に消費税収は計算どおりに4.5兆円増えたが、法人税収と所得税収の方は合わせて7兆円も減ってしまった。財政は却って苦しくなったばかりか、現在に至るデフレ不況の発端を作ったのだ。
昭和恐慌時の高橋是清も、1993年のクリントン大統領も、増税どころか中低所得者への減税や公共投資によりデフレ不況を退治した。
菅内閣はなぜ歴史に学ばないのか。財政再建(借金を減らすこと)より景気回復が先なのだ。
日銀が国債や政府短期証券などを数十兆円規模で引き受け、政府がその金で東北を中心に全国で大々的な公共投資を展開し一気に景気を回復させる、というような荒療治をする絶好機だ。政府、財務省、日銀は毎年膨大な貿易黒字、経常黒字を生む勤勉な国民を15年間にわたりデフレ不況で苦しめてきた。そして今、消費税上げだ。日本はいつから物の怪にとりつかれたのだろう。
与謝野氏、一体改革結実「菅政権のためではない」
【単刀直言】
社会保障と税の一体改革の政府・与党案は、自民党時代からどうしてもやらなきゃいけないと思っていたことがようやく結実した。
小泉内閣の自民党政調会長時代に財政改革研究会を立ち上げ、将来は社会保障に充てるカネを消費税でやるべきだとの考え方を打ち出した。その後、福田内閣の社会保障国民会議と麻生内閣の安心社会実現会議では、少子高齢化に伴う社会保障改革の方向性を議論しただけで、税の一体的な改革案を取りまとめることはできなかった。
(以下略)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/516772/産経 2011/07/07
http://akiran1969.iza.ne.jp/blog/entry/2350529/
ベストセラー「国家の品格」の著者で数学者の藤原正彦さんが週刊新潮に連載している「管見妄語」が面白い。身辺のことを中心にしたエッセイ風の文が多く、その軽快でユーモアに富んだ文章をいつも楽しみにしている。さすがは新田次郎、藤原ていを両親に持ち、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しただけのことはある。
そのなかで、たまに政治や経済に関する話題も取り上げてられるのだが、この時は本業の数学者の顔を見せ、極めて論理的かつ簡潔な文章で鋭い論評をする。最新号に掲載された「増税論という”物の怪”」という文はその一例なのだが、図やグラフを使わず、わずか1200文字くらいの短い文章で、政府、財務省、日銀の経済政策の怠慢と誤りを的確かつ鋭く批判してみせる力量には心底から感服する。
増税論という”物の怪”
政府は消費税を2010年代半ばまでに10%まで引き上げる方針という。理由は社会保障に関する財源十兆円あまり不足するからという。よくぞこういう考えがこういう時期に出るものだと感心する。社会保障費の財源不足いうが、デフレ不況が十数年も続いている今、財源不足は震災復興費を始め殆んどすべての部門にわたっている。お金に色はないのに社会保障を口にするのは国民に文句を言わせないための小細工だ。
(中略)
消費税上げが今許されないのは、無駄をほったらかしにしたままだからでなく、日本経済をどん底に沈めるからだ。
消費税を5%上げれば10兆円の税収増になるというのは算数的に一応正しい。
(中略)
1997年に橋本政権は、バブル崩壊後の不況から立ち直り始めた経済を見て、消費税を3%から5%へ上げた。この結果、3年後に消費税収は計算どおりに4.5兆円増えたが、法人税収と所得税収の方は合わせて7兆円も減ってしまった。財政は却って苦しくなったばかりか、現在に至るデフレ不況の発端を作ったのだ。
昭和恐慌時の高橋是清も、1993年のクリントン大統領も、増税どころか中低所得者への減税や公共投資によりデフレ不況を退治した。
菅内閣はなぜ歴史に学ばないのか。財政再建(借金を減らすこと)より景気回復が先なのだ。
日銀が国債や政府短期証券などを数十兆円規模で引き受け、政府がその金で東北を中心に全国で大々的な公共投資を展開し一気に景気を回復させる、というような荒療治をする絶好機だ。政府、財務省、日銀は毎年膨大な貿易黒字、経常黒字を生む勤勉な国民を15年間にわたりデフレ不況で苦しめてきた。そして今、消費税上げだ。日本はいつから物の怪にとりつかれたのだろう。
与謝野氏、一体改革結実「菅政権のためではない」
【単刀直言】
社会保障と税の一体改革の政府・与党案は、自民党時代からどうしてもやらなきゃいけないと思っていたことがようやく結実した。
小泉内閣の自民党政調会長時代に財政改革研究会を立ち上げ、将来は社会保障に充てるカネを消費税でやるべきだとの考え方を打ち出した。その後、福田内閣の社会保障国民会議と麻生内閣の安心社会実現会議では、少子高齢化に伴う社会保障改革の方向性を議論しただけで、税の一体的な改革案を取りまとめることはできなかった。
(以下略)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/516772/産経 2011/07/07