香川県が特区申請、かがわ遠隔ネット生かした安心の街づくり
2011年9月30日 提供:毎日新聞社
◇県民、一定水準の受給環境目指す
県は29日、国が創設した「総合特区制度」で、県内全域を対象にした特区指定の申請をした。特区構想の名称は「かがわ医療福祉総合特区~小豆島をはじめとする、かがわ遠隔医療ネットワーク(K―MIX)を生かした安心の街づくり」。香川が全国に先駆けて開発した全県的な医療ネットワークシステム、K―MIXなどの技術を活用し、少子高齢化が進む中、住む場所などに関係なく、県民が一定水準の医療・福祉を受けられる環境を目指す。【吉田卓矢】
同制度は、総合特区法に基づき、地域のニーズを踏まえた施策に対して、国と地方が直接協議しながら、国による規制緩和と財政支援、税制優遇措置などを実施し、国際競争力の向上や地域活性化に取り組む制度。第1回の申請締め切りは30日、早ければ年内に指定され、指定を受ければ、年度内にも具体的な計画を作成する。
県によると同構想は、「遠隔医療・医療連携」「救急・災害医療」「くすり・医薬連携」「福祉」の4分野からなる。
「遠隔医療・医療連携」では、昨年度までに県などが開発した「電子カルテ機能統合型テレビ会議システム」(ドクターコム)を利用。過疎地の寝たきり患者などを看護師が訪問看護した際、ドクターコムを使い、病院にいながら医師が遠隔で診断。その指示で看護師がさまざまな医療処置をする。医師法などでは、診察は対面でないとできないが、特区指定を受けることで例外となる。
医師の指示で、寝たきり患者の尿道への留置カテーテルの挿入と除去や、エコー検査などを看護師が実施することなどが想定される。「救急・災害医療」でもドクターコムを利用し、救急救命士法などで規制のある救急救命士の処置範囲を拡大。医師の指示を受けながら、点滴の輸液の管理や、点滴の針の挿入、除去などをできるようにする。
現在、小豆島などの病院から転院搬送する際、医師がフェリーなどに同乗しているが、特区指定されると、救急救命士だけで搬送可能なケースもあり、医師不足が深刻な島しょ部で、医師が島を離れる時間を短縮できるという。「くすり・医薬連携」では、国のガイドラインや薬事法などの規制を緩和。院内処方で対処していたへき地の診療所近くに、臨時薬局を設置し、院外処方を可能にする。
さぬき市の旧長尾町で、週2回だけ開いている多和診療所では、月約100枚の院内処方を出している。ただ、置ける薬に限りがあり、ジェネリック薬品への切り替えなどに支障があった。同地域にまず臨時薬局を設置し、院外処方を進めることが検討されている。
「福祉」では、介護保険法の規制を緩和。既存の介護サービスと医師しかできない居宅療養管理指導の複合型サービスを受けられる施設を整備する。
2011年9月30日 提供:毎日新聞社
◇県民、一定水準の受給環境目指す
県は29日、国が創設した「総合特区制度」で、県内全域を対象にした特区指定の申請をした。特区構想の名称は「かがわ医療福祉総合特区~小豆島をはじめとする、かがわ遠隔医療ネットワーク(K―MIX)を生かした安心の街づくり」。香川が全国に先駆けて開発した全県的な医療ネットワークシステム、K―MIXなどの技術を活用し、少子高齢化が進む中、住む場所などに関係なく、県民が一定水準の医療・福祉を受けられる環境を目指す。【吉田卓矢】
同制度は、総合特区法に基づき、地域のニーズを踏まえた施策に対して、国と地方が直接協議しながら、国による規制緩和と財政支援、税制優遇措置などを実施し、国際競争力の向上や地域活性化に取り組む制度。第1回の申請締め切りは30日、早ければ年内に指定され、指定を受ければ、年度内にも具体的な計画を作成する。
県によると同構想は、「遠隔医療・医療連携」「救急・災害医療」「くすり・医薬連携」「福祉」の4分野からなる。
「遠隔医療・医療連携」では、昨年度までに県などが開発した「電子カルテ機能統合型テレビ会議システム」(ドクターコム)を利用。過疎地の寝たきり患者などを看護師が訪問看護した際、ドクターコムを使い、病院にいながら医師が遠隔で診断。その指示で看護師がさまざまな医療処置をする。医師法などでは、診察は対面でないとできないが、特区指定を受けることで例外となる。
医師の指示で、寝たきり患者の尿道への留置カテーテルの挿入と除去や、エコー検査などを看護師が実施することなどが想定される。「救急・災害医療」でもドクターコムを利用し、救急救命士法などで規制のある救急救命士の処置範囲を拡大。医師の指示を受けながら、点滴の輸液の管理や、点滴の針の挿入、除去などをできるようにする。
現在、小豆島などの病院から転院搬送する際、医師がフェリーなどに同乗しているが、特区指定されると、救急救命士だけで搬送可能なケースもあり、医師不足が深刻な島しょ部で、医師が島を離れる時間を短縮できるという。「くすり・医薬連携」では、国のガイドラインや薬事法などの規制を緩和。院内処方で対処していたへき地の診療所近くに、臨時薬局を設置し、院外処方を可能にする。
さぬき市の旧長尾町で、週2回だけ開いている多和診療所では、月約100枚の院内処方を出している。ただ、置ける薬に限りがあり、ジェネリック薬品への切り替えなどに支障があった。同地域にまず臨時薬局を設置し、院外処方を進めることが検討されている。
「福祉」では、介護保険法の規制を緩和。既存の介護サービスと医師しかできない居宅療養管理指導の複合型サービスを受けられる施設を整備する。