追跡:島大病院カルテ問題 業務外閲覧、どう防ぐ 倫理研修やシステム改修 /島根
2018年11月22日 (木)配信毎日新聞社
出雲市で今月あった殺人事件で、島根大学医学部付属病院(出雲市塩冶町)の関係者96人が、搬送された被害者の電子カルテを業務外で閲覧していた。事件や災害で病院に運ばれた人の容体を取材するにはプライバシーの観点から高い壁がある。一方で、多くの医療関係者が業務と関係ない被害者のカルテを見ていた二重基準に驚かされた。島大病院の医の倫理が問われている。【山田英之】
「ご家族に多大な迷惑をかけ、さらなる心痛を負わせることになり、深くおわびします」。井川幹夫病院長は今月13日、記者会見で椎名浩昭副病院長らとともに頭を下げた。
病院によると、被害者を扱わないはずの病棟で電子カルテを見ている人物を確認して不審に感じた看護師の連絡により発覚した。
内部調査によると医師、看護師、薬剤師、事務職員ら247人が、事件発生の今月5日から3日間に計312回閲覧。5日161回、6日118回、7日33回と閲覧が集中していたため、不適切なケースが含まれているとみて7日午後からアクセスを制限した。それまでの間、2000人以上が被害者の電子カルテを見られる状態だった。
247人のうち96人が「業務外」と答えたが、あくまでも自己申告のため、院内に設けた調査委員会でさらに精査して、処分の手続きを進める。
「診療・業務に関係ない目的のために患者の情報をみだりに閲覧してはならない」との内部規定があるにもかかわらず明るみになった業務外のカルテ閲覧。病院側は具体的な閲覧理由を明らかにしていないが「倫理観が欠けていた」と謝罪している人もいるという。
病院は問題発覚後、出雲キャンパスの病院職員全員にメールで注意喚起した。職業倫理や個人情報保護の意識を高める研修の充実や閲覧システムの改修によって再発防止を誓う。井川病院長は「安心して診療を受けてもらえる体制をつくり、信頼される病院になるよう努力したい」と話している。
2018年11月22日 (木)配信毎日新聞社
出雲市で今月あった殺人事件で、島根大学医学部付属病院(出雲市塩冶町)の関係者96人が、搬送された被害者の電子カルテを業務外で閲覧していた。事件や災害で病院に運ばれた人の容体を取材するにはプライバシーの観点から高い壁がある。一方で、多くの医療関係者が業務と関係ない被害者のカルテを見ていた二重基準に驚かされた。島大病院の医の倫理が問われている。【山田英之】
「ご家族に多大な迷惑をかけ、さらなる心痛を負わせることになり、深くおわびします」。井川幹夫病院長は今月13日、記者会見で椎名浩昭副病院長らとともに頭を下げた。
病院によると、被害者を扱わないはずの病棟で電子カルテを見ている人物を確認して不審に感じた看護師の連絡により発覚した。
内部調査によると医師、看護師、薬剤師、事務職員ら247人が、事件発生の今月5日から3日間に計312回閲覧。5日161回、6日118回、7日33回と閲覧が集中していたため、不適切なケースが含まれているとみて7日午後からアクセスを制限した。それまでの間、2000人以上が被害者の電子カルテを見られる状態だった。
247人のうち96人が「業務外」と答えたが、あくまでも自己申告のため、院内に設けた調査委員会でさらに精査して、処分の手続きを進める。
「診療・業務に関係ない目的のために患者の情報をみだりに閲覧してはならない」との内部規定があるにもかかわらず明るみになった業務外のカルテ閲覧。病院側は具体的な閲覧理由を明らかにしていないが「倫理観が欠けていた」と謝罪している人もいるという。
病院は問題発覚後、出雲キャンパスの病院職員全員にメールで注意喚起した。職業倫理や個人情報保護の意識を高める研修の充実や閲覧システムの改修によって再発防止を誓う。井川病院長は「安心して診療を受けてもらえる体制をつくり、信頼される病院になるよう努力したい」と話している。