日本の健康診断、見直しを 病気予防への注力提言 OECD、包括政策促す
2019年2月7日 (木)配信共同通信社
経済協力開発機構(OECD)は7日までに、日本人は健康診断を受ける機会が多いが、本当に費用に見合う効果的なものなのか、項目や頻度を削減する余地はないのか見直すべきだとの提言をまとめた。一方で、日本ではまだ喫煙率が高いことや、女性の飲酒量が増えていることに懸念を示し、健診に偏ることなく病気予防のための包括的な政策を取るべきだと指摘した。
厚生労働省の平野公康(ひらの・きみやす)専門官は「日本は科学的根拠に基づき健康診断などを進めている。だが報告書は参考にし、今後に生かしたい」としている。
日本は乳幼児の時や学校、会社で受ける法定の健診に加え、自治体が行う骨粗しょう症や歯周病検査、人間ドックといった任意の健診もあるが、報告書は「項目や実施方法がばらばらだ」と指摘。無駄な検査や不要なエックス線被ばくなどが生じている可能性があり「健診を提供する側、お金を出す立場、受ける人も含めて必要性を検討してはどうか」と提案した。
日本のがん検診は、年齢や頻度、方法が自治体や職場の間で統一感がないため、国の指針に従い一律に実施、登録して検査の質を向上させるべきだとした。
フルタイムで働く人は必要以上に検査を受ける機会がある一方、無職やパートタイムの人の健康管理が見過ごされがちだとの不平等にも注意を向けるよう促した。
提言によれば2016年時点で日本人の平均寿命は84・1歳と加盟国平均より3年以上長く、肥満率やアルコールの消費量も平均を下回る。
だが男性の喫煙率は30%とOECD平均より高いことや、女性の飲酒量の増加傾向を問題視。健康問題の深刻化を防ぐため、たばこ規制や屋内禁煙の強化、酒を販売できる場所や時間帯の制限など、的を絞った対策を取るべきだとした。
※健康診断の評価
病気の早期発見や予防を目的に行う健康診断だが、経済協力開発機構(OECD)は、国内外の研究を広く集め、効果や問題点をよく検討すべきだと提言。健診結果のデータは各機関に分散したままにせず集積し、政策評価や研究に生かすことが必要だとする。1月には医療を科学的に評価する国際組織「コクラン共同計画」が23万人のデータから「健康診断に死亡率を下げる効果はない」との解析結果を発表している。