大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

ひわばあちゃん 夢の”森”

2010-05-13 | 日記
去年の12月、近隣のガーデンから届いた『ガーデニング教室』のお誘いに
うっかり乗った。3月まで9回。途中で飽きるに決まっている。
だいたい「ガーデニング」などに興味がない。なのに、なぜ・・・・
第一回の教室が自己紹介から始まったとき、やはり(場違いだ)とすぐに感じた。
街の奥様たちが自宅の庭を一層お洒落に作る目的で参加したのだ。
「あの~、わたし、うちの牧草畑を森に戻したいんです」と自分の口がうっかり
すべって、それまで奥様方の参加目的にニコニコと反応していた若い男性講師
の、い~さんは(はあ?あんた、何しに来た?) と急に目をそらせた(様な気がした)
そういえばここのガーデン、森を拓いて造っているし・・・・すっかり孤独になる・・・・
しかし、講義の後、三人の奥様とバチっと目が合い、お昼を食べながらお互いの夢を語ることとなる。
「いまマオイ山がどんどん開発されて家が建って・・・だからせめてここに、木を植えて、栗や山葡萄が豊に稔る
森にして、うっかりふらふら~~~~と病んだ人が死に場所求めて来たとしても、そこにあるもの口に入れたり
木漏れ日浴びてうとうとしてたら、心も体もむくむく甦って、スタコラ家に帰って幸せに暮しましたとさ。ってどう?」
『成るよ!!成る!!』三人が口を揃えて言った。(この言葉を聞くために今日ここへ来たのか?)
「でもね、このこと、ほんとは、絶対人前で言っちゃいけないことなんだ。うちの畑っていっても借りてるわけだし、
農地を森に戻したいなんて農民として後ろ指さされて追放かも」 おもわず余計なことを言ってしまって
これが長沼農協に知れたら大きなかぶは抹殺か島流し・・と小さな不安と大きな勇気が交錯し胸の奥が
打ち震える。 同時に腹の奥から(大ぼら吹きで、狼おばばの嘘つきひわのことなど誰も本気にはするまい)
自分の弱点が、胸の奥でゴーゴーと燃える壮大な夢を、今静かに包み込む立派な鎧に変身するのを感じた。
生きてる間に完成せずとも、この思いをこの場所の土や草木や小さな花に囁きながら暮そうと思う。