・・・私は仕事の中で関連した学問は鉄の加工についてのものでした。
戦後日本の経済を支える為に、産業の基幹として、産学共同で鉄の研究がおこなわれてきました。
その中で私は自動車用鉄の加工の研究開発に長く従事しました。
「うどん打ち」
・・・話は変わりますが、うどん打ちと鉄を加工するというのは全然似てないようですが、とてもよく似た作業なのです。
鉄を加工するために1000度くらいに加熱すると鉄が伸びたりする様子は粘土細工と良く似ていて、私が鉄の新しい加工方法の研究をするときは英国製の油粘土を使って加工方法を研究していました。
・・・テレビでよく麺棒でうどんを練ったものを延ばす作業が出てきます。
あれを見ていると、1000℃くらいに熱した鉄を加工用の丸い太い棒状の工具で、長く伸ばす加工をするときに、どれくらいの力を加えたら、どれくらいの割合で鉄が伸びるのか、コンピューターで予測できるように計算式を作っていたことを思い出します。
うどんもまったく同じ加工の法則で伸びるはずですから。
うどんを麺棒で麺棒を回転していく方向に早く伸ばすための工夫は理論的なものが幾つかあります。
麺棒は細い棒と太い棒ではウドンの塊の伸び方が違う。
法則として √(麺棒の半径/うどんの厚み)と比例してうどんは幅方向に伸びる。
① 上の式から、麺棒の細いものを使うと、うどんの塊を棒を回転する方向に良く伸びるので、うどんを延ばす時は、一般に細い棒を使うのだと思います。
② 小麦粉を打ち粉にして、練った固まりに良くまぶして伸ばすと、下の台とくっつかない効果もありますが、打ち粉することによって麺棒の回転方向に良く伸びる性質があります。
鉄も丸棒の工具で加工する時は潤滑して加工すると工具の回転方向に良く伸びます。
③うどんを回転方向だけでなく幅方向に広げて薄くしたい時は太い麺棒を使い、麺棒の表面をざらざらにしてうどんを延ばすと回転方向と直角の幅方向にうどんはよく広がって薄くなっていきます。
④麺棒の太さが細いと回転方向にうどんが良く伸びるのは、上に書いた式に示すように、伸ばしたうどんの厚みと麺棒の径との関係なので、伸ばしたうどんが段々と薄くなっていくと相対的に麺棒が太くなっていくことと同じですから、うどんが薄くなっていくと、回転方向に伸びにくくなって幅方向に伸びて広がっていきます。
・・・ちょっと判りにくかったと思いますが、昔仕事として、やってきたことをふと思い出しました。