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ピラミッド型に見えるスンジャグスク
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山のやや中腹に築かれた石垣
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グスクの全景 ( 海側の山 )
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スンジャグスク ( 海に面した手前の岩山 )
スンジャグスクは、アーカル原の南に屹立する古生期石灰岩からなる山の中腹に立地する。
ここは標高60~70mを測り、古生期石灰岩のゴツゴツした露頭岩によって覆われていて、
居住区としては不可能な場所であり、当然のことながら水場もない。
地形測量で、等高線に平行して野面の石積みが二重にめぐっていることが確認されている。
石積みの高さは1~2m前後で、平面形態は山の頂上を取り込む形で半円形状をとっている。
グスクの縄張りを見ると石垣がただ単に囲いという性質のものではないことが一見して解る。
というのは、石積みが築かれた部分が緩傾斜面だけであり、
とくに傾斜が緩やかな部分は二重の構造がとられているのに対し、
絶壁の縁辺には全く石積みが認められないからである。
スンジャグスクの構造をよく見ると、自然の地形を巧みに利用して険阻な場所はそのまま活かし、
そうでない場所には石垣を一重あるいは二重に築いている。
全体的な縄張りが城的な性格を強く持って決定されていることがよく理解される。
したがってこのグスクの築城目的は宗教的なものであったわけではなく、
また古代人の葬所でもなかった。
結論から言えば、 「 逃げ城 」 的なものとして理解した方がより妥当な線と思われる。
グスク内からは遺物は出土していないことから、時代は俄かに決めがたい。
雑草が覆い尽くしていたこともあるが、カーシリヌ・ヌーチュヌガーで腕ほど太いハブに遭遇したため、
山に入るのは危険がともなうので入山はしなかったが、冬場に再度訪れたい島であり、グスクである。