Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

我楽多のリースリング

2004-12-13 | ワイン
高級リースリングワインを開ける。2002年の辛口なので、人間ならば成人したところと云えるだろうか。名門出の育ちの良さとその身に着けた躾と物腰が其の年齢よりも遥かに成熟を感じさせる。色と云い、香りと云い決して侮れない。其の色は、フィルンのアウスレーゼのような銀杏の黄色の様に鈍く輝く。その香りは、衣服に這う生活臭の下に仄かなフェロモンが漂う様に奥深い。酵母の使い方に特徴があると以前に書いたが、それぞれが強く主張する各々の味の要素を均衡させる巧みに感心させられる。それは、四代に亘り同じワイン醸造蔵に仕えた、この職人の家系の秘儀とは云えないだろうか。独立せずに永く歴代で奉公するという封建時代でもない今日、極々稀な例だろう。

これは、毎日部屋から望める有名な斜面ゲリュンペル(我楽多)から収穫されたワインとしては決して過去十年間の上位を狙えない。しかし砂岩質の本来はワイン栽培に適さないこの斜面の果実から粋を集めて醸造されたワインは、ラインガウなどのより条件の整った一級の斜面のワインと十分に比較できるだけの個性を有する。ワイン蔵を今週にでも見学する約束を四代目の片腕のマイスターとした。現在は、地下蔵で醸造中の樽の澱抜きをしているらしい。見学自体は全然珍しくはないが、何かの秘儀を目の辺りに出来るかもしれないという密かな期待に、小学校の遠足のように今から興奮している。
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