Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

発育・成長・老化の中で

2004-12-19 | 数学・自然科学


医学的な考察をと言いたいが残念ながらその生物・医学の素地が無いのでカモミールティーを飲みながら適当にお茶を濁してみる。「男性医」の概念と免疫反応への考察、引いてはその自然治癒力の発想が面白くてアンチ・エージング書を借りてきて時々読んでいる。決してハウツー本ではないので其れほど多くの新情報は含めれていない。それだけに現在の臨床内科の視点が垣間見えて面白い。勿論免疫学や内分泌学の最新の視点が網の目のように織り込まれる。例えば普通は疾病ではない「肌乾燥・皺」、「腰痛・骨粗鬆症」、「老眼」、「脱毛」や「物忘れ」など典型的な老化現象を内科的に検討する。性ホルモンの作用を発育・成長・老化の中で捉える。栄養素としての食物も其の摂取の有効性を挙げるのではなくて、必要な栄養素として挙げる。また一般に行われているホルモン治療や投薬等の対症的な方法もその有効性と留意点を纏める。ストレスの影響と抵抗性も免疫学の見地として扱われる。専門内科医としての立場を逸脱しないのが良い。外科が臨床の花形である事に異論は無いが、内科的な思考態度は、最も医学らしい体系の中での観察と推論の自然科学者としての立場を良く示している。

其れに比べ病理学や薬学の方は遥かに遺伝子工学的な発想が席巻しているのかもしれない。残念ながらそこでは「木を見て森を見ず」の議論が横行していて、さらに倫理という大きな壁が立ちはだかり抽象的な議論を難しくしているようだ。それゆえに天下の宝刀である遺伝子による議論になると、逆に先入観念をもって結論が出される例が多いようである。合衆国の多くでは、人種別の新薬のスクリーニング試験が実施され新薬の認可基準にもなっている。社会・経済的な背景を鑑みた処置ではなくて、遺伝子上の人種別の差異が根拠となっているようである。しかしこの根拠は、遺伝子学の見地から個人差に比べ人種差を云う意味が無いとして否定されている。これなどは、非科学的な研究者という子供に遺伝子工学という武器を持たせて遊ばせているようで大変危険な状況を示している。脳神経学などの一流研究者にも似たような傾向が見られ、其の積み重ねられた研究成果に関わらず十分に客観視出来るだけの位置に到達していない。臨床内科のような研究の体系化へは、その技術的進展だけでなくある程度の時間と歴史と選ばれた才能が必要なようである。



参照:
<Mens sana in corpore sano> [ 数学・自然科学 ] / 2004-12-31
現代人の断食 [ 数学・自然科学 ] / 2005-02-11
コメント (15)
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