
スイスは言語地域毎にそれぞれの隣国境界地域と文化を分かつ。葡萄の種も同じく、その分多様である。各地域共通の特徴は、急傾斜地で収穫されるため量が少ない事、労働集約型で海外での競争力は皆無である事。因って、ドイツの赤ワイン以上に海外へ出荷される事はない。値段や保護政策を度外視すれば、質は一様に高く、機会があれば賞味する価値あり。一般消費品の白ワイン・フェンダンなどは、アフタースキーのフォンデュの食間や登山後の冷えた喉越しが忘れられなくなる。赤もシオンの谷のガメやドールに限らずジュラ山系のノイシャテルやテッシンのワインは国境の外の地域のそれを越えた品質だ。
ファンダン/Fendant
レマン湖からビール湖、ヴァリス地方にかけて植生するシャセラ種という葡萄から出来る。特にレマン湖からシオンまでの谷のものがファンダンとして有名。きゅっと冷やして盃大のショットグラスで口中に投げ込むのが痛快。ぐっと暖まった部屋ではじめると食欲も増進。アプレスキーの始まりだ。
アプレスキー
スキーといえば、イエーガテー/Jaegerteeとグリューヴァイン/Gluehwein。前者は赤ワインとジュースと果実系シュナップスに砂糖とニッキとグローブを加え紅茶で割ったもの、後者は前者の原形でお茶の代わりにお湯を、シュナップスの代わりに柑橘類の皮を添える。これで下山準備完了。それでも体温が上がらなければ、シュナップス。一汗かいた後は、やはりビール。それも炭酸の多く入ったヴァイツェンビーアのクリスタルに限る。アフタースポーツの0.5Lグラス二杯、一リットルの消費は当たり前だ。