Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

1953年のクラシック

2006-09-02 | アウトドーア・環境
前夜は、白ワインとペストソースで盛り上がる。翌日のザイルパートナーや順番が決まり、尚且つ他のパーティーに先行されてはいけないと言うことで、遅れずに岩峰の取り付きへと向かう事が確認される。そうした幾らかの緊張感が酔い心地にさらに心地良い。充分にアルコールも入り温度も高く、我々の小屋の戸口は開け放たれたままの就寝となる。寝転がっての馬鹿な笑いが何処までも山肌に響いただろう。子供の遠足の様に何でもない事が無性に可笑しい。

長閑な朝にごそごそと起き出して準備を始める。朝食も充分に摂り、急ぎ足で取り付きへと向かう。北壁なので若干暗く、あまり乾いた感じはしないが、実際に登り始めると湿り気も無く快適である。課題に集中して行く時の緊張感がなんとも快い。

各々の者が其々に異なる経験しか持っていないので、なにを経験したかも各々によって其々違う。色々と経験を駆使して柔軟に対応して行くが、核心部のルート選定と空中への突出感は瞠目すべき体験である。少年期のようにアドレナミンの突出は感じないが、集中力の高まりはなんとも嬉しく素晴らしい。

1953年に初登攀されたと言うのは驚きである。なぜならばそれほどに困難でもなく、それまで取り残されていたのが不思議だからである。この山域自体が幾らか小振りとはいえそれまで見捨てられていた筈はないのだが、他に1980年代に拓かれたルートもあるので驚きである。あまりに遅く拓かれたクラッシックなルート取りは今後とも印象に残るだろう。結局、引き続き登る予定の岩峰の登攀は断念されたが、各々は計り知れぬ経験を積み、掻き集める事が出来たであろう。

午後は、各々更に小さな岩壁を登り、プログラムは終了する。流石に夕食は、地下倉から運ばれた白ワインが次から次へとが空けられて、〆て10リッター程飲まれる。お互いに反省点などをチクル。今後の課題と出来るだろう。各々自身が最も分かるべきものでもある。若いパートナーが、登りきる早々、「何も言ってくれない」と怒っていたが、そうか不安だったのか。しかしこのチクリで、何よりも自分で見て体験したもの、その醍醐味を理解してくれただろう。習うより、慣れろ、真似ろ、盗め、考えろである。

こうして、二食付宿代の34ユーロの四泊分136ユーロに、当日の昼飯とワイン二リッターを加えて、168ユーロとなる。170ユーロを支払うと財布に残りは20ユーロとなった。
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