Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

貴腐香るグランクリュ

2006-10-15 | ワイン
ワインを取りに行くついでに、グランクリュ・ワインの摘み取りをお邪魔する。一度、お客さん向けの摘み取りを楽しんだことがあるが、貴腐ワインになったトップランクワインの摘み取りを見学したのは初めてである。

10月14日現在で、既に三週の間に日常消費ワインやキャビネットクラスの摘み取りは終えていて、貴腐ワインの摘み取り作業に入っている。後八日もすると完了のようである。ドイツでも一級の醸造所であるため、熟練者によって手摘みで作業は行われている。

規模が大きくないので、トラクター二台で摘み取り籠を運ぶだけの小規模の摘み取りである。気温が低いこともあるが、それほど頻繁な運び込みはされず、寧ろ買物籠の大きさの入れ物が新鮮な葡萄の健康を保障しているようであった。ワイン蔵の方では、戸口を開けて早速のプレスを待ち構えている。

貴腐の生えたワインは、リースリング種本来の緑色の果皮から赤紫がかった葡萄色に変わっている。未だに緑色の未成熟の果実は残して、貴腐以外のがついたり果皮が薄く腐り状態になっているものは小気味良く地面に捨てられて行く。貴腐は、糖や酸や窒素を栄養源とすると同時に皮を水分が蒸発し易いようにする。乾し葡萄状態になると、内容物は凝縮して行き、糖とアロマ成分が強化される。

本年は、糖比重はそこそこに達しているが、夏の雨のため未成熟な葡萄が貴腐にならずにワインとしては収穫出来る量が限られるらしい。つまり、正しい凝縮作用が起こらずに、果皮が崩れたりしている様子である。

また貴腐の生える前の通常のワインやカビネットクラスは、健康でも糖価は低そうである。となると昨年度に比べ、高級品は質量共に、通常消費品は質が今一つとなるのだろう。自然食品であるから仕方ない。

ここで感心するのは、収穫量を減らす剪定は当然のことながら、狙いの房は膝元に集められ風通しなどが綺麗に図られている手の入れようである。手間暇をかけて少量高品質を問うドイツ最上位の醸造所に位置するだけの事はある。ワイン愛好家としては、早めに本年度産のワインの質を査定して、昨年度産のワインの購入計画を立てないといけない。

夕方のワイン畑には、二人のドイツ人の下、いつものように出稼ぎ者のポーランド語が響き渡っていた。緑色に残された葡萄も置いておけば糖価は上がるらしい。これが氷結するまで置いておけばアイスヴァインとなる。しかし、上の事情から本年度はシュペートレーゼで摘み取り終了である。
コメント (6)
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