Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

貴い葡萄房の作為

2006-10-20 | ワイン
摘み取りの済んだ斜面の一角だけに貴腐葡萄が大切に残されている。もしかすると明日にでも摘みとられるかも知れない。

地面に捨てられた朽ち行く葡萄は発酵して、斜面にそよぐ秋風はいくらか鼻につく腐敗臭を運び、実を奪われた抜け殻のような葡萄の生命力の衰退は一面を覆う。

夏時間でまだ明るい夕方の太陽は、じわじわと傾きかける。色づきはじめた葉々は、老いた緑の葉の間に見え隠れする。

中秋の夕刻。斜面上部から萎びた葡萄の房へと、山城の影は長く尾を引く。








貴腐の生えた葡萄は、密集することなく思い思いに間隔を開けながら枝にぶら下がる。貴い愉悦の営みに耽り、ひっそりと息づき、脈打つ、その房々。あたかも芋虫が草木を巻き込むかのように、細い枝などを張りつける作為的な様相はなんとも面映ゆい。










参照:
貴腐葡萄の収穫モーゼルだより
新月過ぎの葡萄の精 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-10-10
コメント (6)
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