Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

解体への胸突き八丁

2007-06-28 | アウトドーア・環境
BASF社長ハムブレヒトがシュピーゲル誌のインタヴューに答えて、ベルリン政府のエネルギー・環境政策を非難したことが、大きな波紋を呼んでいる。

それは、来週火曜日からのエネルギーサミットへの向けて、核エネルギー全廃と環境規制の二股をかけた政策をとるベルリン政府が、現場の工業会に耳を貸さないならば、ドイツは非工業化の道を歩むしかないと批判したらしい。

それに応えて、SPDのガブリエル環境相は、CDUの顧問であるこの大化学工業の社長を、スターリニズム経済者と厳しく糾弾した。ブッシュ大統領のごとき過去からのマネージャーの主張であり、莫大なビジネスチャンスを潰し、二十年先の国民経済を落しめすとした。米国の産業家のニュービジネスを求める態度とドイツのそれとの大きな差を指摘する。

しかし、これは客観的に考えれば、ルートヴィヒスハーフェンのような場所で、一世紀以上も古い、化石燃料と材料からの中間材への化学工業を営み、悪臭と膨大なエネルギーと労働力を発散させていることが、そもそも特殊事情である。幾ら高分子材関連の収益が上がろうが、そのドイツ国内のプラント共にいつまでやっていけるか疑わしい。

EU憲法制定への今回のポーランドの ご て 問題自体が、シュレーダー前首相が現在も関与するロシア・西欧間のエネルギーパイプラインをポーランドを態々避けて敷設する事から、ポーランドが危機感をもって挑んだ事情がある。その結果、なだめ役となった英国とフランスがポーランドにどのような保障をしたかは明かされていない。また民族主義的な盛り上がりや、また戦略的にイラク派兵や迎撃レーダー基地で米国カードを使うなどする政権運営は、旧共産圏の特徴のようでもある。

その問題にも、エネルギー消費者としてだけではなく、エネルギー供給グループとしてパイプラインプロジェクトの当事者として係わるBASF社長が、こうした発言をして政権に揺さぶりを掛けた意味は大きい。既に、環境大臣がCDUの政権では環境問題は、蔑ろにされて出る幕が無かったと、SPDの政策を強調したことから、メルケル連立政権の次へと目線は投げ掛けられる。

現実問題として、2020年への段階的な排出量削減は、こうした歴史的な重厚長大産業において、ますます胸突き八丁となることは目に見えていて、さらなるプラントの解体と新技術によるアジア地域への移転が加速されることには間違いない。少なくともSPDは、従来型の労働市場の解体を認める必要があるのではないか。

EUの環境政策とドイツのそれを同調させることすら容易ではないのが事実であろう。
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