Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

広がるリビングからの視界

2017-10-25 | 生活
リビングに入ると視界が広がっていた。バルコンの外の木が切られていたからである。去年既に切り込必要を管理者に伝えていたが、今年の夏は、切られないままで、そのお陰もあって幾分は涼しく過ごせたと思う。しかしこれで強風の時も安心して過ごせて、そして何よりも新春になれば部屋の奥まで入って来る陽射しが待ち遠しい。

昨冬はそれで幾らかは燃料費が増えたかもしれないのだ。また夏頃になれば緑が茂るので、涼しさが感じられることだろう。そして春の新たな梢の芽生えが楽しみになる。鳥たちも姿が見えるようになるだろう。遠景のワイン地所もソファーに座りながらでも観察できるので、これも嬉しい。

昨年まではモニターが古かったので反射が激しく、背中から差し込む陽射しで仕事にならなかったが、新しいモニターでその問題は殆んど無くなったと思う。待ち望まれるのは陽射しだけだ。

そんな日常の綾だけでないことが描かれているのが、ヤナーチェックが作曲した漫画が原作のオペラ「利口な女狐の物語」である。一時間半強の短めの作品なのだが、それでも交響曲とは異なって全体の形を見通すにはそれなりの時間が掛かる。

今回はピアノ伴奏のヴォーカルスコアーしかDL出来なかったので、それを使っている。必ずしもスケッチに近い訳ではないが、少なくとも骸骨図は分かり易い。所謂音楽劇場のコレプティトーアと呼ばれるような人達が、歌手や合唱やバレー団の練習の時にピアノで弾く楽譜である。アシスタントの指揮者なども含めてこうした楽譜を扱いなれているとやはり楽曲へのアプロ―チの仕方も変わってくると思う。

最初は第一幕などは比較的単純だと思っていたが、繰り返して見ているうちに分からない動機などが出て来て、徐々に細かなところへと意識が移って来た。そして第二幕の女狐の愛の場面も中々手が込んでいて立派な作品だと気が付きだした。五連符などでチェコ語の語りのアーティキュレーションを整えたり、なんといっても婚礼の場の民族的な素材の効果など主題ととても深く係っていることも理解した。アルザスの作曲家ケックリンなどにも共通するモードの利用も聞き落とせない。

参考にオランダで上演されたオペラ制作のヴィデオを観た。それほどト書きなどに忠実ではないようだが、全体の流れは上手に捉えられていて、人生哲学ドラマになっている。昆虫や動物に対してなのでどうしても擬人的な扱いになるが、あまりに過ぎると想像力が広がらない。特に性器を強調して具象的に扱うとなると、どうしても受け取る側は観念的にしか考えない。如何にもオランダの風土らしいと言えば元も子もないかもしれない。

それ故に第三幕のフィナーレなどは、歌唱もあってリヒャルト・シュトラウスからヴァークナーのようになってしまっている。それなりに見応えはあったと思うが、指揮者の演奏実践と共に少し違うとも感じた。どうしても可成り細やかなところまで音化しないとその芸術性が曖昧になるような気がする。そこでどうしても2009年のミュンヘンでのキリル・ペトレンコ指揮の「イェーヌファ」のトレーラーを流して見たくなった。

また昨年安売りで購入したヤナーチェックを十八番としていたサー・チャールズ・マッケラス指揮の詰め合わせCDで「女狐」組曲を流したが、決定版である筈のヴィーナーフィルハーモニカ―との演奏が全くデリカットの無いものでこれはどうしようもないと思った。せめてロンドンのフィルハーモニカ―ぐらいと録音しておけば歴史的に評価されたのではないかと、残念に思われる。要するに管弦楽団にとっては可成り難しそうだ ― そのように考えていたら凄いヴィデオが出てきた、パリ管をマッケラスが振ったもので、これならばクリーヴランドとの比較対象になるかもしれない。
Leos Janacek - Het Sluwe Vosje

Leoš Janáček - La zorrita astuta (Orchestre de Paris, Charles Mackerras)

Leoš Janáček From The House Of The Dead, Sir Charles Mackerras

Trailer JENUFA – Conductor: Kirill Petrenko

Kirill Petrenko - Janáček: Sinfonietta


参照:
ハイナー・ガイスラーの訃報 2017-09-14 | 雑感
新たな簡単な課題を試す 2017-10-21 | アウトドーア・環境
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