Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

まるで夏の打ち上げ花火

2020-08-15 | 文化一般
ルツェルンからの生中継を聴いて、時差で映像を観た。93歳で祝祭管弦楽団デビューを飾る指揮者ブロムシュテット、足取りも快調で元気そうだった。自宅から交通渋滞さえ避ければ十分も掛からないだろう。その指揮に慣れている嘗てのリーダーだったゲヴァントハウス管弦楽団のコンツェルトマイスターのブロイニンガーが出てくると想像していたが、若い二人が勤めた。まずそれで音楽的な成果は出ないと思った。

案の定、出てくるなり、コンツェルトマイスターに握手を求めて、それを受けてしまったので大笑いになり、ご本人はべそをかいていた。93歳でも緊張し過ぎたか?一緒に登場した共演するピアニストのアルゲリッチも80歳という事で話題になっていた。先日も中継で突然ショパンの葬送ソナタを弾きだして、台所の私まで吃驚したが、流石に技術的には傷があっても音楽自体はとても良かった。中継に呼ばれていた若い女流指揮者は緩徐楽章での色彩感は咳の無い会場を包んだと表現していたが、そのイントネーションもしっかり弾き分けていた。

因みに会場は一つ空けたぐらいの所謂チェス盤配置で、欠席者や売れ残り、また二人組などで凹凸があったが最上階までギッシリ入れていた。その代りマスクを演奏中にもさせるという蛮行で、殆どがロッシュなどのスポンサーの関係者だと思うが、よくも我慢しているなと思った。私など比べる程でもない額の寄付をして、招待されていて、マスクをしなければいけないとなったら怒り狂ったと思う。よくあることでそれほど何もしていない奴ほど喧しいのだ。

日本で圧倒的な人気の指揮者ブロムシュテットに関して、明らかに勘違いしていた評論家が出ていた。ここでもおなじみのマルコ・フライだが、どうも93歳で重苦しいテムポの指揮をすると考えていたようだ。この人はキリル・ペトレンコの初日本公演にも取材に出かけていて、いいものを書いていて、まだ若い声をしている。それもスイスで書いていてルツェルン在住のブロムシュテットの音楽を知らない。なんとも情けない。それゆえにその軽い足取りをと何か完全に間違っていて、新校訂版のベートーヴェンのハイティンク指揮やアバド指揮と比較してより感じ入っているので、もうこの人は駄目だと思った。老人がそわそわと落ち着かなくて、話しも相手の話す内容を聴きとれずにどんどんと一人で進んでしまう肉体的な問題や心理的にも我慢が出来なくなることが分かっていなくても、少なくともベートーヴェンの音楽の和声やその構造ぐらいは音楽学を学んだというなら理解しておいて欲しい。駄目な学徒だけならまだしもプロとしていい加減なことを書くならば社会的な責任を取らなければいけないだろう。

個人的には、ブロムシュテットの指揮はもう仕方がないと考えていて、音楽祭が手頃なところで手を打って、お客さんも喜んでならばそれで結構だと思う。しかし玄人はしっかりせい。流石にもう一人の女流指揮者は言葉を選んでいた。しかし興味深かったのは、「まるで打ち上げ花火のような」演奏だったというのは、とても良かった。これには私も一票入れたい。アルゲリッチの演奏も大きいが、スイスでこのような発言がなされたのは特記しておきたい。アルゲリッチの娘がデュトワという名でマネージャーをやっていて舞台袖でウロウロしていると聞いて、なるほどアルゲリッチもスイスでとても長いのだと納得した。もしかすると国籍もとっているのかもしれない。

少し涼しくなったので朝食にメットを食した。所謂ソーセージの中身でそれ専用のラインでミンチにしてあれば生で食せる。世界でも稀な豚肉の生食いである。薄くスライスした玉ねぎとフランスで購入してあったクンメル、塩胡椒で朝食とした。あまり体調の悪い時や暑い時には食欲が湧かないが、久しぶりで大変美味だった。



参照:
生の味付けのうまさ 2014-10-22 | 料理
注目する親子関係 2020-07-07 | 文化一般
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