Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

サポート無しの孤独な試み

2005-06-15 | 雑感
偶然だろうか、常連コメンテターさんのPC不調等の技術的トラブルに複数巡り合わせた。決してこちらからヴィールスを流布しているわけではないのだけれど。WIN95JAPとの孤独な戦いを思い出した。

このヒットソフトが出る大分以前からインターネットとは無関係に電話回線による大量データ交換の個人システム構築を目論んでいた。結局は、WIN95とISDNの利用で現実化することになる。当初は、ネットの転送容量や速度ゆえ、仲間内でも大量データの交換はデジタル電話線が使われていた。その後DSLへの変換で容量の増大が進み、携帯や衛星転送での可動性が加わり、技術的には当初の夢が殆んど叶っている。

そのような一般的なことを今更語る心算は無いが、日本語環境の構築は人一倍苦労した。独版WIN95をメインに使っていたのでは、ブローザーもメールも否欧州言語を使うことが出来なかった。また96年当時の汎用BIOSシステムとハードではダブルOSの構築も困難だったので、取替え式のHDを使って欧米語と日本語WIN95を分けて使った。後者は、主にプライヴェート利用だったのでこれで用が足りた。

二種類のOSに加えて読み込みが困難なISDNモデムの技術的欠陥があり、独版はショップに持ち込んでこれを解消した。しかし日本語版はOSソフトのヴァージョンが違い、また想定外言語のヴァージョンでサポートを受けることは出来なかったので、結局自分で解決しなければならなかった。

フロッピーを使ってフォーマットとインストールを試行錯誤しながら500回ほど繰り返した。少なくとも一回につき一時間以上かかっている。幾晩徹夜をしたことだろう。その後もOSが全く読み込めなくなる時限爆弾のようなバグが日本語版にあることを知らずに使い続けたので、毎年最低一度は、そのサブシステムのHDの全てを初期化して禊をした。これのみで300回ぐらいフォーマットとインストールを行ったろう。これ無しには、日本語は使えないと言う前提があったからこそプライヴェートとは言え敢行した。あとは何らかの不調や増設などでこれを行ったので、合わせて1000回以上はセットアップを行っているかもしれない。この回数では、その辺のコンピューターショップのお兄さんには負けない。

XPになってからは、マルチ言語の問題は当初から殆んど解決しており、他の小さなトラブルも修復機能が付いているのでデータを失うこともなく乗り越えている。LINUXをサブOSとして使おうと数年来考えているが、遊ぶ時間も余裕も無いので未だに実現していない。

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ドイツワイン三昧 第二話 '05

2005-06-14 | ワイン
名前
ブュッルクリン・ヴォルフ

場所
ヴァッヘンハイム

特記
現在の醸造親方は、代々当家に勤め四世代目である。ローマ人が栽培をはじめた粘土質の土壌のみならずワイン栽培に適さないとされていた砂地の土壌で偉大な業績をあげる。2001年から若い親方補佐が付いて、グランクリュワインの大成に向けて尽力されている。伝統的な醸造技術と現代的な生産管理の融合が見られ、独ワインの基準を押し上げている。

履行日時
2005年6月4日

試飲ワイン
2004年ヴァッヘンハイマー・ベーリックのリースリング辛口、
2004年ヴァッヘンハイマー・レッヒベヒェルのリースリング辛口、
2004年ヴァッヘンハイマー・ゴルトベヒェルのリースリング辛口、
2004年ヴァッヘンハイマー・ゲリュンペルのリースリング辛口、
2003年ルッパーツブルク・ガイツボールの辛口。

感想
2004年のリースリングは、他の醸造所と同じく、酸にレモン酸等の割合が高く、グレープフルーツ風味がする。つまりそのグレープフルーツの苦味と後味の灰汁の様なものの出方に注目する。一番斜面の上にあるベーリックはその地質から途中で引っかかる藁のような味の核があって、後味よりもそれが好みの分かれ目となる。実際にそれを良しとする者もいる。その斜面の下縁から始まるレッヒベッヒェルは、その味の核が時間的に頂点を造らずに広がっているので、中高曲線の芯のあるワインとなっていて、後味も自然に落ちていくので嫌味が無い。更にその下のゴルトベヒェルは、一口目から後味までがすんなりとして最も角が取れた印象を受ける。だだし、ここのワインには珍しく、翌日には詰まらないワインに成り下がっていた。その横の斜面の中間辺に、高名なゲリュンペルが広がる。雑色砂岩のために水捌けが良く、その分味が淡白になる傾向がある。このヴィンテージは、何時ものすっきり感が嬉しいが、偉大なものではなかった。ガイツボールに関しては今更言う事は無い。現時点でも十分に満喫できる。

総論
今回の2004年産は全てプリミエ・クリュに属し、2003年産はグラン・クリュである。後者の価格は、前者の倍する。上に挙げたワインを他のレヴェルのワインと比較しても仕方ない。最終的には好みの問題である。断っておかなければならないのは、辛口のワインであっても数年間は香りが落ちるまで熟成し続けて、香りが落ちて暫くすると再び偉大なワインへと尚一層と高みへと上がっていくのがここのクリュ・ワインである。つまり、気に入った特別なヴィンテージのワインが見付かれば、買い込んで8年以上寝かすことが出来る。その反面、他の醸造所も試みているようにヴィンテージによる質の差を著しく減少させている。毎年のように新鮮な良いワインが見付かるならば、偉大なワインをそっと寝かせて置くのもそれ程難しい事ではない。
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番外 ヘンデル 対 バッハ 

2005-06-13 | 文化一般
相継いで、バロック後期の二人の中部ドイツ人作曲家の手書き楽譜が発見された。偶然なのか、話題作りで打ち合わせたものかどうかは分からないが、バイエルンとチューリンゲンの其々ミュンヘンとヴァイマールの双方での会見合戦となった。

前者は、当地の図書館に保存されていたヘンデルのイタリアンカンタータHV97の曲<Crudel tiranno Amor>の楽譜である。比較的親しまれているヘンデルの作曲といえる。1899年に当館に寄与された芸術史学者フォン・リール氏の纏めた曲集が鑑定された結果、確認された。既に知られていたヘンデルの片腕のクリストファー・スミスの8つの楽譜に紛れて、非常に珍しい作曲家の手書きを特定するのは困難であったようだ。知られているソプラノ独唱と通奏低音付きオーボエの楽譜ではなくてチェンバロ伴奏版である。稀な作曲家本人によるレチタティーヴの書き込みというから通奏低音の研究に計り知れない意味を持つ。

後者は、バッハが当時オルガニストとして仕えていたヴァイマールの宮廷図書館火事の事後整理で見付かった。1713年と記された二面の唯一現存する自筆譜で、宗教学者Johann Anton Myliusの12節の詩に作曲した、未知の唯一存在する有節歌曲であった。直後の「狩のカンタータ」BWV208への創作過程への興味にも増して、アリアやリートへの発展の軌跡としての興味も大きい。

さて、大衆ジャーナリズムの手法を真似て、300年近くたった二人の作曲家に心ならずも競合してもらおう。演奏現場や演奏家により大きな関心と影響を与えるのは明らかに前者の発見で、音楽史家や研究家に仕事を与えるのは後者のそれに違いない。音楽産業界では、既にコンサートで取上げられる日時が決まっていたり、世界初録音されたりしており、遥かに後者のエンターテイメント価値が高い。

今月マドリッドで、ロートリンクの画家ラ・トゥールの絵画「手紙を読む聖ヒエロニスム」が見付かった。このように、古文書類のなかからや思いがけない場所からの新発見は不思議にも後を絶たない。だから研究家などが鑑定して広報して、試みる話題づくりにも、様々な思惑が垣間見えて面白い。
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疑似体験のセーラー服

2005-06-12 | 歴史・時事

ドイツ第二放送のTVプログラムで1950年代の教育現場を再現した四回続きの放送があったようだ。17歳前後のティーンエージャーを集めて、2004年の一夏の思い出を作って貰おうと言う企画で、手法としてはビッグブラザーのような仮想状況下でのドキュメンタリーを通して人を描くと言うものらしい。そして集められた教師役たちは、当時生徒として実際にその教育を受けた教育関係者である。残念ながらTVをつける習慣がないので見逃した。ホームページなどや経験者の話を聞いて驚くことは、アデナウワー首相時代のドイツの教育風景である。開放の1960年代への最後の時代であったらしい。これほどまでの権威主義とは思わなかった。

ドイツ進駐後の統治者は、自国より優れた行政機構や教育システムには殆んど手をつけようがなかった。だから戦中を生き抜いた教師たちは、戦後も生徒を暴力まで使い権威に服従させたと言う。その権威や規律は、ナチスの幼年学校の教育理念を思い起こす。それにも拘らず、昨年ボーデンゼーに近い古城で寄宿生活を疑似体験した少年少女たちは卒業式に、そこからの解放を名残惜しんだと言う。

徴兵制度も無くなり、自由奔放な教育を受け、家庭の躾けもあまり省みられなくなっている今日のドイツ社会で、昨年辺りから囁かれた規律への回顧風潮を受けての制作である。視聴者に近過去を示し、思い起こさせ、それに戸惑う現代の少年少女を見せることで、所期の目的は達成しているのだろう。

昨晩からのヴァインフェストでこの辺りも賑やかだ。昨晩は涼しくても天気が比較的良かったので、若者たちで賑わった。舞台で歌われるリヴァイヴァルのネーナ等の曲に人並みが揺れる。臍を出し、至る処へピアスをして、刺青をして、至る所で食べ歩き、何も厭わない少年少女たちにも、権威や規律への潜在的な憧れがある。権威などは所詮滑稽でもあり人為的でもあるが、これや規律が無い所では自由を本当に謳歌出来ないものらしい。

 

参照:鋼の如く頑丈で、革よりも [ 生活・暦 ] / 2005-01-25

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平平凡凡のワイン蔵

2005-06-11 | ワイン
偶々、株式会社BASFのワイン蔵のサイトを見つけた。自社のゲストハウスやらレストランなどに加え、迎賓館や音楽会場なども貸すように意図されていて、イーコマースの中で財産運用をするような方針に変わってきている。サルファ剤の製薬バイエルやファインケミカル業界とは反対に化学中間物に重心が移って専門化していったので、どっちつかずに終始した同業者ヘキストのようなアヴァンテへの吸収による工場閉鎖は免れている。危機が叫ばれながらも堅調な業績で自社株の買戻しも進んでいるようだ。

重厚長大工業の遺物であるこうした施設を維持して削りながら進む姿に、時代の流れを感じる。さて、100年以上前に出来たこの蔵の目的は、社員会館や迎賓館などで出すワインの調達であった。そして客人だけでなく会社員の人数が多い分、消費量は大使館等のレヴェルを遥かに超える。

ワインの数々は、地元の名だたる造りワイン屋の一定地所の収穫を買い上げる事で、そのワインを独占的に扱う。昔は、恐らくそのような地所は化学肥料付けになっていたのではないだろうか。害虫薬も使わなくなった現在はそのような強い結びつきはなくなり種類も限定されて来ているようである。

だから、ここのドイツワインの特徴は、名門の手による可もなく不可もない製品と言っても許されるだろう。名門が決して特権的な品質を買い上げて貰う訳ではないことは至極当然である。しかしそれらのワインは、大いなる平凡を謳歌するこの大企業の殆んどの勤め人を見るようで面白い。平凡である事が、どれ程に偉大であるのかが分かってくると、ここのワインも違った味がするのだろう。それでも家庭では、特別なワインを飲みたいと思うのである。
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手かせ、口かせ、首かせ

2005-06-10 | 文化一般
ドイツ語の正書法についてとやかく言える筋合いでないが、巷の人間よりは気を使っている。自信がなければ必ずそのための辞書を紐解かなければならない。大抵は、新正書法に合わせたワードのオフィース・プログラムでチェック出来るのだが、疑問は十分に答えてくれない。その正書法の規則も何も疑問には答えるわけではないが、何らかの筋を与えてくれる。

今も使うが、ドイツ語独特の二つのS記号(ß)の使用も減った。基本的にはその前が短い母音の場合はSSと綴る事になったからである。以前の七ビット変換の電子メールなどでは、二重母音(Ä=AE, Ö=OE, Ü=UE)を含む特殊文字の制限は効果があった。マルチ言語のスイスでは全く使われないこれらの文字も、ドイツ語圏共同で決定した正書法では当然の事ながら残された。新しい名詞の動詞化による、「・・・する」言葉も制限された。また長い単語の分節法も、歌のアーティキュレーション宜しく、重要な改正点であった。

これらは、ある程度理解しやすいものであるが、必ずしも全てが受け入れられた訳ではなかった。この改正時に早くから反旗を揚げて、否応無しに新正書法に変換して三ヶ月も続かなかった新聞社もある。そして結局、一部が再修正されることになった。

改正から再改正は、子供や初学生のいる現場での混乱を招くだろうが、支持を得られない規約は意味を成さないので早めに修正した方が良い。反面、巷の人間はこれを教育されるだけで殆んど意思を持たない。そのような人達には、これは手かせにしか映らないものであろう。

先日見付けた、「葡萄泥棒はこうして罰せられる」の木像が面白かったので、再修正して掲載する。かせを嵌められて、口に葡萄を運ぶ事も出来ない。とどのつまり、口に何かを頬張れば物言う事が出来ず、正書法を知らねば物を書く事が出来ない。ベルリン統一後、家庭崩壊に伴うホームレスの少年少女が増え、さらに元々読み書きの出来ない移住者の子息も多く、ドイツの文盲率は文化国家としては十分に高い。
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アルコールならずアレルギー

2005-06-09 | 雑感
ここ暫く、夏を通り越して秋のように涼しく、水道から出る水がお湯のように温かく感じる。そしてまた咽喉がスッキリしないので、無性に一杯引っかけたくなる。ここ十年ほど、5月中旬からこの時期にかけて同じような経験をしている。咽喉の胡桃が膨らんだような感じで、乾くような詰まるような感じになるのである。これにはお茶も水も、あまり利かない。ビールやワインなどを流し込んで、この異物感を取り除きたいのである。

万難を排してグラスを傾けるとなるとアルコール中毒になる。咽喉の不具合で中毒になるのも詰まらないから我慢する。そう思うと余計に腫れぼったい感じがする。どうも、この咽喉の不具合はアレルギー性のものであるようだ。咽喉に花粉やチリなどが溜まるようである。軽い炎症を起こしているのかもしれない。

そしてこの涼しさは、この前の暑さに少食になっていた反動で、食欲を増進させる。食べると心が温まる。
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「証拠を示せ」と迫られて

2005-06-08 | 文学・思想
最近は、雑誌の評価番付けのような書籍が出版されている。ワインの世界も然り。雑誌でのお遊びは、髪結い床や歯医者などで待つ間にペラペラと捲ればそれで用が足りる。勿論、専門家筋には資料としての意味があるのだろう。しかし、ワインなどを点数で評価するなどは愚の骨頂である。

その評価法を系統化して、公平な数字を挙げる努力は敬意に値する。乗用車などの評価も、主観・客観評価の両方を峻別する。そして前者が感覚的、後者が理性的とは必ずしもならない。結局は、その示す意味を受け手が各々の経験に照らし合わせて、自分なりに咀嚼して初めて用に立つ。

客観的評価への信奉と言うような態度があり、そのような学徒から屡「証拠を示せ」と迫られて、たじろぐ。新奇な発想がなければ、既成概念の積み重ねの上に未来は開けないのだが、これは思考の共有化や効率化とは相容れない。

欧州統一のマクロな経済観などが文化人から示され、またはそのような文化人が否定法で現状の危機を訴えても、客観的な証拠を求める巷では、その影響は限定される。予測以外には近未来を現出させる事など出来ないのに拘わらずである。

ワインの化学分析等を自己の経験と照らし合わせて、その質の客観評価を展開出来る人はワインの通人である。そういうオピニオンリーダーの主観評価こそが客観的な意味を持ち合わせている。巷で必要とされるのが、そのような評価である。これは点数システムでは提供されない。
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BLOG 対 旧マスメディア

2005-06-07 | 歴史・時事
EU憲法批准への国民投票での否定的な帰結が話題となっている。フランスの農業保護貿易への傾向やオランダの自主独立への意思は政治スローガンのようなもので、投票者の思考を十分には表していない。特に投票前のマスメディアの解析・予想を交えたその風潮と投票の結果との間に大きな差異が見られたという。

マスメディアの乖離といわれるものかもしれないが、ネットの影響、それもBLOGの影響が改めて確認されたようである。報道規制時においても、同じ言語を使う国境外からの放送やその分析はネットを通じて転送される。注意しなければいけないのは、公共的なマスメディアで無視されているような、ネオナチからナショナリスト、コミュニスト、アナーキストからファンダメンタリストまでの、あらゆる否定的意見はネットの中でグツグツと煮え滾っている。しかしこのような思想の違いよりも社会層や教育の差が「見解の相違」を形作っているとしており、民主主義の根幹への関心を呼び起こしている。

熟慮よりも短絡、変動より安定、近未来よりも現在などをキーワードとすると、マスメディアは情報の質や量の確保と同時に、これらの傾向にある巷の声を十分に扱わなければいけない。世界的にポピュリスムと言われる政治手法が興隆している所以である。そして、文化人とか学識経験者と言われるようなオピニオンリーダーは、ネットでより強い声を発しなければいけない。今後はBLOGの声の分析無しには、国民投票結果は読む事が出来ないと言う。ネットに正しく反映されている「統一欧州などは有りえない」と言う巷の声に、旧来のマスメディアはどのように対応していくのだろう。
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電子メールに偽りあり

2005-06-06 | 雑感
拝啓 金融機関 様

以下の電子メールを昨日受け取りました。これは、Pishing (Password fishing)メールのようです。何らかの対応が出来ますでしょうか。

引用始め

お客様各位

私共のオンライン送金業務が更に安全になりました。これをお知らせする事をお喜び申し上げます。

残念ながら乱数票の使用に関わらず、大変多くのお客様の口座への不正アクセスが確認されております。

現在のところ乱数票の不正利用方法は分かっておりません。不正の告発とお客様の金銭を保護するために、乱数票から続き番号を取り除く決断を致しました。私共のサイトをお訪ね頂き、手順に従い下さい。この空欄にお客様の未使用の乱数を挿入して頂きます。

注意!その乱数は二度と利用してはいけません。もしその乱数を使用されますと不正アクセスと見做され、口座の取引を事情説明の終わるまで即刻閉鎖させて頂きます。

ドイチェ・ポスト銀行

Message-ID: <4009421117897757@107.190-183-adsl-pool.axelero.hu>
From: Postbank DE
To: Postbank Kunde
Subject: Warnung der Banksicherheitsdienst hinsichtlich der Internet - Misstaeter



お客様各位

私共の担当の幾つかのメールアドレスは使われておりません。それゆえ、ドイツェ・バンクのサーヴァーはお客様のメールアドレス確認のお手紙をします。下のリンクにある手順に従って、アクセスのための詳細を記入して下さい。

ドイツェ・バンク

From: Deutsche-Bank <-BurneyCarline@5gnqu.deutsche-bank.de->
Subject: Deutsche-Bank

引用終わり

pfaelzerwein拝


一日に複数桁のスパムメールを受け取るが、プロヴァイダーのメーラーを使っているので全てダウンロードする前に消去している。同時に世界中の未知の人からのメールも受け取っているが、嘗てメールで被害を受けた事は無い。それでも、こうして詐欺未遂のメールを受け取ると、その手口は巧妙になっており被害も出ている事が予想される。勿論、被害を防ぐ啓蒙などは出来るが、しかしこれらの被害はシステムを構築したサーヴィス提供者に少なからぬ責任がある。その活動は自動引き出しなどは当然の事、オンラインバンキングにも依存しており、それらの危険なサーヴィスを排他しては業務が成立しないからである。これらのメールを、熨斗を付けて本当の銀行の方へ送りつけた。

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本物のワインと贋物のワイングラス

2005-06-05 | ワイン
既にワイングラスについては述べた。ワインを愉しむグラスを求めるとして、容易には結論を出していない。新奇なデザインの足の無いグラスを「試して」みた。そこで触れられたリーデル社のO-シリーズの偽物もしくはプロトタイプである。といっても、棚から落ちて割れた安物のワイングラスから製作してみただけだ。足だけが折れて木っ端微塵になり、上部のチューリップ部は無傷だった。捨てるのは惜しいと言っても流石に足が無いと立たない。そこでスコッチの木のコルクキャップを接着した。

こうして、贋物を作って試してみると面白い。先ず分かったのは、赤ワインではさして問題がないのだが、白ワインだと足がない分、持つ手の温かみがワインの温度を上げて宜しくない。特に夏場は使い物にならない。予め想像出来ない事ではないのだが、実際に試してみなければ実感出来ない良い事例である。

ワインの適温で思い出したが、コルクを開けて翌日に飲むワインの質について先日意見交換をする機会があった。これは、通常のワインの指南書には書かれていないと思うが、時間を経た、空気が入り過ぎたワインの質についての考察である。ワインによっては、十分にエアーリングをしても、酸化が始まった翌日の方が柔らかく飲み易くなると言う事実がある。そこで失われたものを審査する事で、そのワインの組成に迫るという観察方法である。ワインが時を経ることで熟成するとすれば、この急激な酸化やアルコールの蒸発による喪失の観察に意味があるように考えられる。

大まかに言えば、質の高い内容のあるワインほど翌日の飲み残しは美味しい。飲み残しの方が当たりが柔らかく、飲みやすい事もある!ボルドーだけでなくリースリングでも、これは重要な判断基準である。例外は殆んど無い。始めから口当たりが良い廉価なワインで、翌日も遜色ないものが存在すれば是非お知らせ願いたい。それは凄くお買い得ワインであるからだ。少なくとも料理酒に格下げされる事なく二日間楽しめるだけでも偉大なワインであり、価値が高い。



参照:
グラスに見るワインの特性 [ ワイン ] / 2005-04-28
リースリング用のワイングラス [ ワイン ] / 2005-04-19
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時計仕掛けのオイスター

2005-06-04 | テクニック
知人にぜんまい仕掛けの腕時計を集めている者がいたが、その機械趣味の一端を最近理解出来る。普段は車移動なので、腕時計をすることも無く、それを全く使っていない。それでも年数回のお出かけに、腕時計を身に着ける。その時、電池式のそれは既に針が止まっていて役に立たない。だから、貸し金庫まで行って腕時計を出してくる。ぜんまい式なので、勿論電池を買う必要は無い。

懐中時計から腕時計へと進んだのは、100年前にフランケン出身のドイツ人商人ヴィルスドルフが、ロンドンでスイス時計会社ロレックスの前身を起こしたときから始まる。当時は、羨ましがられたどころか、男がブレスレットをするということで笑いものになったようである。しかしクロノメーターとして正確さが認識された頃から状況が変わってきたようだ。その後の貝を意味する防水のオイスターや自動巻きのパーペチュアル、さらにカレンダーにガラスのルーペが付くデートジャストで一気に高級時計の地位を確立した。

そして現在、再びぜんまい時計市場が復興しているのは面白い。行きつけのイタリア料理屋などに行くと親爺が「質の良い偽物」がないかと寄って来る。中国に輸入、通関完了するスイス時計の五分の二が偽者と言う。クオーツ全盛期には、機械式などは無用と考えられていたの思い起こすと、現在の状況を予測していた者はそれ程多くは無いだろう。

宝石や金を見せようとする成金趣味や、偽者でも良いからという伊達者ぶりに較べ、精妙な職人仕事への憧憬は、商業的なイメージによる洗脳とは違う。それは、フェラーリやロールスロイスなどの超高級車への 関 心 とも較べられるかもしれない。しかしどちらかと言えば、労働集約型の製品に対する畏敬の念に産業革命以前の家内工業への郷愁が混じった気持ちと言った方が正しいだろう。それでも、身に着けることによるステータスシンボルの誇示と支配欲と言う、飼い馴らされた動物の欲求である事には相違ない。
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ブラック・バードの歌の世界

2005-06-03 | 文化一般
クロウタドリ(Turdus merula)と云う、この鳥を確認出来た。中欧でもっとも良く見かける鳥の一つである。鳴き声は別として、その姿は馴染みがある。ツグミ族の黒スラッシュである。英国などでは、広い芝生で餌を拾うこの姿が年中見られる。雄は黒く黄色い嘴と目の縁を持ち、雌は茶系である。先日ブラック・キャップと推測した声の主もこのブラック・バードだったようである。

この一般的に知られている鳥と先日の囀りの主が何故合致しなかったかと云うと、その鳴き声の多様性に理由があったようだ。つまり、彼らは学習力があり、物まねをして、だんだんとレパートリーを増やしていくという。しかし、メロディーの反復は殆んど無く、その楽節はパターン化しており、一定の形式を有しているようである。

この囀り名人の歌も作曲家オリヴィエ・メシアンによって採譜されて、オルガン曲だけでなく、二台のピアノのための「アーメンの幻想」の第5曲「天使たち、聖者たちと鳥たちの歌のアーメン」にもブラック・キャップとともに使われている。様々な専門分野で、この鳥の歌は研究対象となっている。例えばこれを、相対主義の中で「鳥の美学」として捉える研究者の書籍の引用をもってクセナキスの作曲の価値と平行させて論じる数学者のお嬢さんがいる。しかしこれらも人間の聴覚の、または音響分析の視点からの 距 離 を 置 い た 客 観 として認識すべきもので、鳥のまたはクセナキスの音響世界の現象の実態を表さない。

昨日、訪問先の向かいの家の屋根に見かけたのは30CMを優に越す巨大なものであった。その囀りは、精妙さも無く、繁殖慾丸出しの調子ぱっずれの声を張り上げるオペラ歌手のようで浅ましかった。視線を下へ移すと、病的に腹の出た親爺がゴミ出しに家から出てくるのを見かけた。当にハンス・ヴァイディッツの描いた人間皮袋そのもので、歩行も困難となっていた。図らずも生きたグロテスクを観察した。

この何処でも見かけるブラック・バードを、ドイツではアムゼルと呼ぶ。



参照:
マルティン・ルターのグロテスク [ 文学・思想 ] / 2005-03-03
プァルツのムシクイ族 [ 音 ] / 2005-05-31
囀りましょうか? [ 女 ] / 2005-06-01
切妻のドアをそっと開け [ 文化一般 ] / 2005-02-15
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薹が立つ前に

2005-06-02 | 料理
白アスパラガスを食べようと思って、前回と同じ八百屋で物色していると、前回と同じ価格€3.90で大分太いのを見つける。三割以上太いが、地面が堅いのかどれも少し曲がっている。その先も太く、少しふてぶてしい。

先ず剥き加減だが、これは太い分コスコスとせずに大らかな気持ちで対処出来る。少し捩れたりしている分、立体的な見通しと手の運びが要求される。しかし、これも上の理由から神経質な心配などはことさら必要ない。頭も太いので、切り込み方が考えどころである。それも幾分青みかかっていて葉緑素の片鱗を見つけ、堅くさえなっている。上等の商品と較べると、この辺が違うのだろう。

さて、調理の方はレシピーにもあるように煮汁にバターを落とす。こうして沸騰点降下の塩に加えて沸騰を調整する事が出来て、弱火で温度を保つことになる。勿論、後で使う煮汁のスープの質にも影響する。これらの利点と反対に鍋の洗いを困難にしたり、食事が高カロリーになるだけでなく、塩だけで煮る場合と較べると味覚が大味になるなどの欠点が認められた。

味の方は、その煮方の影響もあるのか、以前のものに較べると風味が少なく詰まらない。既に味が沁みているので溶かしバターのソースも今一つシックリと乗らない。更に頭の部分には旨味も少なく、寧ろ苦味さえ感じる。幹の太い部分の方が美味だが、新鮮な味わいにかける。原因として、バターを入れて煮た事に加え、気温が高くなり過ぎて太い分、凝縮した旬の味が足りない。後三週間ほどの間に、この傾向を覆すシュパーゲルを見つける事が出来るだろうか。本当に美味いのは出始めで、これからは薹が立ったものしかみつからないのだろうか?



参照:シュパーゲル祭り [ 料理 ] / 2005-05-24

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囀りましょうか?

2005-06-01 | 
気温が高いとどうしても息があがる。憎くは思わぬ乙女が薄着で幾分挑発的なのは良いのだが、囀らないからといってもよそよそしい態度を取られるとどうしても気になる。ダークな髪のナーデャは、細面の小作りの美人である。その長い髪を揃えて結った額から顎にかけての面長の造作がこざっぱりとしている。白いパンツと生地感のある切り詰められたトップは、165センチ足らずのコンパクトな姿態を強調する。

セレナータなどといって鳥が囀るように、女の窓の下で男が思いを歌う南国文化がある。作曲家モーツャルトは、放蕩貴族のドンジョバンニにそのオペラの中でカンツォネッタを唄わす。ここで面白いのは、唄いかけられる女性は舞台には一切登場せずに、男は殆んど無指向に木の上の鳥のように囀る。これは、タイトルロールの「高貴な性格」を良く表している。鳥の囀りを解析するのと同じく、その「歌の本意」を理解しようとする事は可能である。しかし、それとその歌声(鳴声)の実態は同一ではない。そのズレが、その本質を探ろうとする人間の究極の欲望を刺激する。核がその周りに囲まれていて何時も定まらないように、痒いところには決して手が届かない。複数の劇の登場人物に迫れば迫るほど、このような達観した視点しか持ちえない。こうして古典的芸術のバランスが保たれる。このような客観的な視点というのは、古典的な定点観測や一つに定めた方法では得られず、洞察力の助けを借りなければいけない。

清清しく冷えた未明の白みかけた空気に、雄の囀りに答え交わす多数の雌の地鳴きとの呼応が充実した立体空間を作って響き渡る。その掛け合いは、其々が違った場所から其々の方法で、合いの手入れたり、装飾したりするのだが、中には綺麗に共鳴したりするのが出てくる。このような呼応は、それ自体が面白いのであって、それはその意味するところを理解しようと試みる事とは違う。だから、乞いもせぬのに乙女を巡ってライヴァル面して立ちはだかる若い衆が妙に気になりだし、これもまた面白い。



参照:
プァルツのムシクイ族 [ 音 ] / 2005-05-31
達人アマデウスの肖像 [ 音 ] / 2005-01-19
コメント (2)
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