人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

房総縦断・自転車の旅ー4

2008-07-20 03:38:18 | 自転車/マラソン
一路館山を目指す自転車の旅もいよいよ終盤、
走行距離120kmを超えてくると、30km/hでの走行はキツくなります。
そろそろ首や肩のあたりが辛くなってきます。

お花畑で有名な和田町を過ぎ、
道は297号、410号と変わり、千倉の街に入っていきます。
途中、海底ケーブルの中経所があったりして、
いよいよ房総半島も先端に近付いてきた予感。

千倉市街に入ると、何処からとも無く祭囃子が聞こえてきました。
しばらくすると、前方にお祭の山車が見えてきました。
どうやら今日は、千倉の祭の日のようです。
大人達が引く山車に、笛や太鼓の子供達が乗っています。



こんな山車が、各町会ごとに繰り出していて、
いろいろな山車に出会います。
ジュリアナ東京よろしく、(古いかな)
ウチワを振り振り腰をくねらせる子供を載せた山車まであります。
道端に自転車を止めて、しばらく見学していると、
隣のオバサンが話しかけてきました。

「何処から来たの?」
「津田沼です。」
「エ、私の弟は津田沼に住んでるんだよ。」

世の中、広いようで狭い。
ちなみに、祭は土日の二日間。
昨日土曜日には、神輿も出て盛大に盛り上がったそうです。

・・・しかし、この山車、どこかで見たような・・・
そこはかと無い、デジャブを感じながら、
オバサンの教えてくれた海沿いの道はと、国道を離れます。
すると、眼前には昔絵葉書で見たような房総の海が広がります。



ここからはひたすら、潮風を浴びながら海沿いを南下。
(大丈夫か、自転車はサビないのか?)
それなりに疲れた頃に、とうとう最南端の野島崎に到着。



千葉県在住30年余りにして始めて来ました、千葉県の最南端。
岩の上によじ登り、海を眺めます。
多分、この先がアメリカ・・・。
・・・って、日本中、太平様を望めば、みんな一緒か・・・・。




さあ、ここからは一気に館山を目指します。
多少の登り下りの後、道端に変な建物を発見。
白浜フラワーパークの食堂のようだけど・・・。
アレ・・・先ほどから覚えていたデジャブの答えが見つかりました。
3年ほど前に見た「帰郷」という日本映画のロケ地がこの辺一帯だったのです。



西島秀俊 演じる青年が、
ふとしたきっかけでの女の子を連れて、
母親を探して回るというロードムービーです。

その中で、主人公達が立ち寄るのが、この変な形の食堂。
中に入ってみると、映画そのものの光景でした。

店の人に、「ここ、映画のロケで使っていませんでしたか?」とたずねると、
「この間は、広末涼子の「出来ちゃった結婚」を撮ってたよ、
 以前はこの先で、ビーチ・ボーイズのロケをずっとやってたし。」との事。

それにしても、この食堂も客は私一人きり。
南房総一帯の観光施設の経営は大丈夫なのだろうか?
だいたい、昭和40年代に出来たと思われる各施設は、
中途半端な異国情緒を漂わせて、何処も時代から取り残された感じ。
この、なんとなく脱力した感じが、私は好きですが・・・。
「乗務員用食堂」なんて所が別室にあるくらいだから、
平日は観光バスがオバサン達を満載して訪れるのかも知れません。

そんな勝手な心配をしながら、再び車上の人に。
フラワーパークのちょっ先で、410号線は山道に入っていきます。
不思議な事に、山道で登り下りを繰り返すうちに元気回復。
また、ペダルを漕ぐのが楽しくなってきました。
きっと、海と平坦な道に飽きてきていたのでしょう。

海を離れ10kくらい走ると、とうとう館山市街へ突入。
館山って以外と大きな町ですね。
商店街もあるし、大型スーパーもあるし。
そうこうしているうちに、駅に到着。

時間は午後3時。
午前5時に家を出てからちょうろ10時間。
距離は157km。
100マイルにはちょっと足りないけど、ここで私のプチ旅行も終了です。

さて、自転車の前輪を外して、
輪行バックに入れて・・・入らない。
そりゃそうだ、娘が以前、ツールド・ジャパンの子供の部に出たときのバックでは、
大人のバイクはちょっと納まる訳もない。
まあ、辛うじて、自転車が隠れる感じにして、
無事改札をクリア。



特急電車の一番前のシートに自転車を強引に立てて、
一気に津田沼に戻ります。
10時間の行程を、1時間半で・・・・。

イヤーそれにしても、自転車って意外に遠くまで行けますね。
それに、電車や車の旅と違って、
旅に連続感があって、とても楽しい。
いろいろな人とも触れ合えるし、

さて、今度は何処を目指そうか。



(追記)
映画「帰郷」は多分2005年の公開。
新宿武蔵野館で単館上映されていました。

萩生田宏治監督作
<出演>
西島秀俊 片岡礼子 守山玲愛
高橋長英 光石研 相築あきこ 吉行和子

再婚する母親の結婚式で郷里に帰った主人公は、
以前付き合っていた女性と再会します。
すると、彼女には小学生の女の子が居て、どうやらそれが自分の子らしい。
翌日、複雑な気持のまま、その子を預かると、
なんと、母親は蒸発してしまいます。
そこから、女の子の記憶をたどって、二人のたった一日の母親探しの旅が始まります。

房総の風景を背景に。淡々と描かれるロードムービです。
近年、「ゆれる」や「天然コケッコー」など良作が多い日本映画。
その中でも、特に好きな映画です。