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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「グリーン・バブル」は起きるのか?

2009-04-23 10:13:00 | 温暖化問題
■景気は回復しているのか?悪化しているのか?■

新聞やインターネットを読んでいると、
「景気は底を打ちつつある」という論調と。
「まだまだ経済は崩壊の途上である」という論調に分かれているように思います。

「景気は底を打ちつつある」という論調は、
「好況・不況はある意味、消費マインドに影響を受けるのだから、
イケイケドンドンの中国やインド、あるいは楽天的なアメリカの
消費マインドが回復すれば、自然と景気は回復する」
といった、楽天的な幻想をあえて流布して景気を刺激しているように感じられます。

一方、「まだまだ経済は崩壊の途上である」という論調は、
「戦後世界経済を牽引してきたドル機軸体制のシステム疲労は修復不能であり、
BRICS諸国の経済も未熟な現在において、景気の早期回復は望めず、
BRICSの台頭を阻害するドル機軸体制の緩やかな崩壊と共に、
世界経済は多極化に推移しながらゆるやかに回復する。」
という、いたって科学的な判断に立脚しているように感じられます。

■「バブル経済」は利益の時間移動■

「バブル経済」はある日突然、予想もしていない所から膨れ上がります。
原動力は「利益」や「欲望」で、トリックは「富の時間軸上の移動」です。
例えば、短期金利と長期金利の利ざやを利用して、未来の富を現代に引き寄せたり、
時価会計を利用して、未来の富を実態以上に膨らませて見せます。

当然、未来が現代を支え切れなくなった時、
あるいは想定された未来が「現在」となった時、バブルは弾けます。
バブルが弾けた後の調整は、「富の縮小という痛み分け」で収束しますが、
その際に、「幻想に投資した資金」は既に誰かに掠め取られた事に気付きます。

「バブル経済に永続性が無い」ので「投資した時点で、実は元本は割れている」。
結局、あてにしていた利益が、未来に戻る過程でバブル経済は崩壊します。
そして、また新たなバブルによって利益のポンピングが再開します。

■「実態経済」は利益の空間移動■

一方「実体経済」は利益の空間移動によって展開します。
基本的には、太陽エネルギーを原動力にした生産と消費のサイクルです。
途上国が一次産品を生産し、工業国が加工し、消費国が消費する。
付加価値が高まる過程で、富が生じ、本来は消費国が対価を支払います。
利益は商品の対価として発生し、商品と共に空間を移動していきます。

本来、消費国である国も生産によって富を生み出していれば、
このサイクルは資源が続く限り永続性を保ちます。
しかし、現代のアメリカの様に、生産の伴わない消費を続けていれば、
このサイクルはいつか破綻をきたします。

アメリカは金融という商品を使って、世界の稼いだ利益をアメリカに還流させ、
この巨大なサイクルを回してきましたが、
本来金融は利益の偏在を空間的に解消して経済を活性化させるもので、
実体経済においても重要なファクターでした。

しかし、アメリカは「お金でお金を稼ぐ」という時間軸での金融を推し進め、
結局実体経済以上の消費を重ねる事で、実体経済の循環を損ねてしまいました。

■金融は悪では無く、時間を越えて事が崩壊を招く■

金融」は経済の循環の為には必要ですが、
「時間を越えた利益のポンピング」が、経済に悪影響を及ぼします。
これとて、バブル崩壊という調整局面で調整されますが、
行き過ぎた「ポンピング」は「恐慌」を引き起こします。

「恐慌」も永遠に続くわけではありませんので、
低成長の貧乏状態をあえて甘受していれば、
利益の時間的調整は終了するはずです。

■戦争による調整■

しかし、人間「貧乏はイヤ」です。
ですから、無理にでも「利益を奪う」行動に出ます。
第二次世界大戦までは、足りない富は「空間的に強奪」して解決して来ました。
戦争の過程で、古いシステムや既得権も解体再構築され、
経済の生産性が高まるというオマケも付いてきました。
スクラップ・アンド・ビルドが経済を活性化もさせました。

第二次世界大戦までは、国家単位での富の移動が目的で戦争が起こりました。

■儲けるのは企業か?国家か?■

グローバリゼーションによって、企業活動の範囲が国家の枠組みを超えた現代、
より多くの富を望むのは、はたして国家でしょうか?企業でしょうか?

マイクロソフトははたしてアメリカの企業なのでしょうか?
マクドナルドやコカコーラは?
トヨタは?キャノンは?

結局、現代においては大規模な戦争は企業活動を阻害こそすれ、
助ける事はありません。
例外は軍需産業と、復興に関わる基幹産業くらいなものです。

そこで、今回の金融バブルの崩壊が「恐慌」を招いたとしても、
世界はその調整に「全面戦争」という手段は取れない情況にあります。

■「グリーン・バブル」と地域紛争■

現在、もし戦争が起きるとしたら、その原因は各国が進める「グリーン・ニューディール」政策でしょう。
アメリカは既に製造業が壊滅状態ですから、もしオバマ政権が真剣に「グリーン・ニューディール」政策を推し進めるならば、そこから利益が生じなければなりません。
要は「グリーン・バブル」を発生させる必要があります。
「クリーンエネルギー」は化石燃料や原子力よりもコスト高ですから、
それを反転させる必要があります。

原油高、原子力高が必要です。

原油高は中東戦争で簡単に引き起こす事が出来ます。
原子力高は原子力開発の制限と、増殖炉などの技術開発の中止で実現できます。

あれ?もう準備は済んでいるのでは??

■とってもあぶない「グリーン・バブル」■

結局、原油高によるデメリットよりも、「グリーン・バブル」のメリットが上回れば、
中東戦争などという事態も起こらない訳では無いという事です。

さらに、「二酸化炭素の排出権取引」が実現すれば
新興工業国の利益は、先進国にかすめ取られるという付録も付いています。

しかし、二酸化炭素は減りません。
「クリーン・エネルギー」が非効率だからです。
昨今の自動車や家電の省エネ補助金を取ってみても、
早期廃棄による資源の無駄使いを考慮すれば、少しも二酸化炭素は減りません。

まして、自動車の売り上げが回復したり、
高速道路の割引で交通量が増えれば、二酸化炭素は増加します。
結局、誰も本気で二酸化炭素を減らす気はないのです。

そもそも、「二酸化炭素による地球温暖化」論の根拠事態が怪しいのですから・・・。

■「グリーン・バブル」は起きない■

環境に考慮したら、低成長が一番です。
田舎に住んで、自給自足の様な暮らしをして、
洗剤も使わず、化学肥料も使わず、ひたすら環境負荷の低い暮らしをする。
車にも乗れません、現金収入が無ければ、電気代も払えません。

勿論、私達はそんな暮らしには戻れません。
人間は我慢がキライです。

ですから、多分、「グリーン・バブル」は起きないでしょう。
経済発展の方法としては、あまりにも制約が大きく、リターンが少なすぎます。
「クリン・エネルギーブーム」は80年代にアメリカで発生しましたが、
結局バブルには至らず、終焉を迎えています。

多分、次のバブルは思わぬ所からポッコリとまた膨れ上がるのでしょう。
意外とオーソドックスに「食料」と「資源」あたりかもしれません。
そして、又一時、「未来の富」を吸い上げるのでしょう。