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中央銀行はバブルを利用して世界を変革する・・・インフレファイターの素顔

2013-05-02 11:22:00 | 時事/金融危機
 

■ 中央銀行はバブルの製造機 ■

中央銀行が好景気を作る事は出来ません。
中央銀行は需要も雇用も作る事が出来ないからです。

中央銀行の出来る事は、従来であれば金利の操作で市中の資金量を調節する事であり、
最近の非伝統的手法においては、市中の資産を買い取る事で、市中の資金を増やす事です。

成熟した消費社会においては、需要の拡大は限定的です。
一方で発展した金融市場や資産市場を持つこれらの社会においては、
供給された低金利の資金を上手に市場運用すれば容易に巨利を得る事が可能です。

デリバティブやレバレッジといった最新の金融工学の発展は、
金融市場の拡大速度を飛躍的に加速させました。

その様な社会において過剰に供給された資金は
必ずや資産バブルを形成します。

中央銀行は容易にバブルを作る事が出来るのです。

■ バブルを黙殺する中央銀行 ■


サブプライムショックの直前、米住宅市場で明らかにバブルが発生していました。
多くの専門家が、住宅市場の過熱に警戒を発していました。

しかし、FRBのグリーンスパン議長は金利を放置しました。
結果的にアメリカでサブプライムローンが破綻し、現在に至ります。

何故グリーンスパンはバブルを放置したのでしょうか?
それは、アメリカの住宅バブルの時期にアメリカのコアCPIは
それ程上昇していなかったのです。

インフレ率はコアCPIによって算出されますから、
これが上昇していなければ、「インフレ」と判断されないのです。
コアCPIには株価や不動産価格は含まれません。
一般的に消費される材やサービスだけが対象になります。

サブプライムローンの破綻後、グリーンスパンはこう発言しています。
「バブルの最中にバブルだと認識する事は不可能だ」と・・・。

多くの人達がバブルを懸念していた時期に、
FRBだけがバブルを警戒していかったというのは不思議を通り越しています。

■ 現在のアメリカは完全にバブルだ ■

現在アメリカではバブルが再び膨らんでいます。
中央銀行がジャブジャブ供給した資金が株や債券市場に流入しています。

ダウ平均株価は市場最高値を更新し、
債権市場は前代未聞の低金利です(=債権高)。
さらにはジャンク債の金利も低下しています。
ジャンク債市場の過熱は、ダボス会議でGSの会長が警告を発する状況です。

一方で、昨年末からのアメリカの景気回復予測は完全に外れています。
3月の消費動向もかんばしく無く、雇用も改善していません。

■ 出口どころか、QE3の拡大に言及せざるを得ないFRB ■

米連邦準備理事会(FRB)は1日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)の報告で
「QE3をしばらくは継続する」と発表しています。
それどころか、「必要があれば緩和規模を拡大する」とまで言及しています。

はっきり言ってアメリカはかなりヤバイ状態です。

緩和マネーで膨らんだ市場を維持する為には大量の資金供給が必要です。
この資金供給が経たれた瞬間、資金の流れが逆転して
アメリカでバブルが崩壊するでしょう。

現在アメリカには黒田日銀が供給するマネーもどんどん流入しています。
これでも、市場の維持が難しいと言う事になれば、
そろそろゴールが近づいているのかも知れません。
出口の先は、地獄の窯の中でしょう。

■ 周回遅れの日本は、国内のバブルに浮かれている間にスッカンピン ■

日銀が緩和を拡大したばかりなので、日本の資産バブルは始まったばかりです。
日本人はこれから好景気(バブル)が来ると思っているので、
多くの方は、アメリカでバブルが危険域に突入した事には関心がありません。

こうして今回も又、多くの日本人が資産を失うのでしょう。

自分は投資なんてやっていないという方も、
銀行や生命保険各社が海外運用で大きな損失を発生させれば、
無関係では居られません。

さらに、アメリカのバブル崩壊は世界経済に瞬く間に伝搬し、
金融危機の第二弾が必ずや発生します。
世界の需要はリーマンショック後以上に落ち込み、
今ですら足腰の弱っている日本の外需産業は
突然の需要の「消失」で、経営が相当悪化すると思われます。

家電関係が何社か倒産する事も有り得ない話ではありません。

■ 中央銀行は意図的にバブルを作っている? ■


先進国において過剰な金融緩和がバブルしか作らない事は、
70年代以降のアメリカや日本経済を見ていれば自明の理です。

それでは、何故、中央銀行は何回もバブル崩壊という過ちを繰り返すのでしょうか?

私は中央銀行の役割はバブルの生成と崩壊の仕込みだと考えています。
バブル崩壊の時に何が起こり、それによって誰が利益を得ているのか?
そして、それが世界の変革にどう役立っているのか?

中央銀行の役割が単純に通貨の番人やインフレファイターで無い事
はおおよそ理解出来るかと思います。

■ バブルの崩壊によって変革される世界 ■ 

中央銀行はバブルの生成と崩壊によって、
世界経済によりダイナミックな変化を与えているとも言えます。

バブルの崩壊は、資金の流れを変化させ、
さらには、古い産業を淘汰する事で経済を次のフェーズへと進めます。

日本のバブル崩壊は新興国への技術移転を加速しました。
そして、それと並行してアジア通貨危機が発生し
アジアの国々の資本が欧米の支配下に置かれています。

これは完全に否定されるものでも無いと私は妄想しています。
世界経済に平穏が続いていれば、富はアメリカに集中します。
これを、よりダイナミックに世界に還元するのがバブルの役割では無いでしょうか?


私は世界の経営者が完全に私利私欲の存在だとは考えていません。
彼らは、確実に「世界大戦」を防いできた実績を持ちますし、
経済的に遅れていた地域の発展を達成しています。

私は来たるバブルの崩壊によって、どんな世界を作るのか興味深々です。
願わくば、自分や家族が露頭に迷う事が無い事だけを祈りながら・・・。