大変遅くなりましたが、リクエストがあったので2018年春アニメのベストの発表です!!
第一位 『ヒナまつり』
『ヒナまつり』より
インテリヤクザの家に突然、超能力少女がやってきた・・・。たったそれだけのネタから、シュールな笑いと、熱い涙が溢れ出す作品です。文句なくのベスト1。
とある「組織」が超能力少女達を養成し、何か重大な任務を働かせているらしい・・・。ヒナは突出した能力を持ちながらもバカな為、空間移動できる不思議なカプセルの詰められて捨てられます。カプセルが出現した先は・・・インテリヤクザの新田の部屋。突然現れた14歳の超能力少女に驚く新田ですが、彼女を養い中学生に通わせるハメに。世間知らずで、おまけに人間的感情が希薄なヒナが、周囲の大人や同級生と関わる事で、徐々に人間性に目覚めてゆく、心温まるお話です。・・・・ウソです。
いわゆるコメディー作品ですが、その笑いが秀逸。「人の思い込み」のズレが生み出す笑いを最大限に増幅させて爆笑を生み出すテクニックは原作を褒めるべきですが、アニメでは絶妙なテンポのボケ&ツッコミで捧腹絶倒間違い無し。それなのに、なぜか心が温まる。79歳の母が大笑いしながら次回を楽しみにしていた作品です。これを見て笑えない人は・・・たぶん居ません。
監督は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』の及川 啓監督。『やはり・・』でも「丁寧」な演出で良い仕事をされていましたが、今期は『ウマ娘 プリティーダービー』とに作品が放映され、そのどちらも丁寧な仕事ぶりは健在です。
第二位 『ウマ娘 プリティーダービー』
『ウマ娘 プリティーダービー』 より
第二位も及川 啓監督作品。
女の子に擬人化された競走馬の育成ゲームの宣伝用アニメですが、『ラブライブ』と同様に、アニメの出来が非常に良い!!
ウマの耳と尻尾が生えた美少女が競馬場を駆け抜ける・・・そんなシュールな作品ですが、普段アニメなんか見ない競馬ファンも夢中にさせました。何故なら、「往年の名馬が勝負したらどの馬が勝つのか」と言う競馬ファンの夢のレースが見られるから。小ネタも含めて実際のレースや、競走馬のトリビアが詰まっています。これもファンにはたまらない。
JRAの名CM「夢の11レース」にウマ娘を重ねた動画がアップされていたので紹介します。
主人公は武豊をダービージョッキーに導いたスペシャルウィーク。北海道の田舎から上京して来た彼女には二人の母親が居ます。生みの親と、育ての親。育ての親との「日本一のウマ娘になる」という夢を実現するために、彼女はウマ娘が集うトレセン学園に入学します。そしてレースで見たサイレンススズカの走りに憧れ、彼女と走りたいと心に誓うのえです。
実は実際のスペシャルウィークも出産時に母馬が亡くなります。ばんえい競馬の牝馬に育てられますが、この馬が気性が荒かった為に人間に良く懐いた。そんなスペシャルウィークの人懐っこさがアニメのキャラクターとして見事に生きています。
一方、憧れのサイレンススズカは実際には「大逃げ」の俊足馬でした。武豊が騎乗してからは、スタートから先行し、そのままリードを広げて逃げ切りゴールするレース展開でファンを沸かせます。しかし、1998年秋の天皇賞で前脚を複雑骨折し、局予後不良と診断され安楽死となります。このレース、後続を大きく引き話す展開で、府中競馬場のカメラがワイド一杯まで画角を広げてようやく先頭から最後尾を画面に収められた。そんなスペシャルウィークの圧勝を誰もが疑わない状況で骨折。本来なら騎手もろとも転倒して後続を巻き込んでもおかしく無い状況で、サイレンススズカは馬場の外周に移動し、骨折した脚をかばいながら立ち続け騎手を守りました。武豊はその夜、初めて泥酔するまで飲んだと語っています。そして、その後もしばらくはサイレンススズカの事は一切インタビューで語らなかった・・。
アニメではサイレンススズカは骨折するものの、再起して再びレースに復帰します。「し、サイレンススズカがあの時死ななかったら・・・」という競馬ファンの夢が実現します。
JRAがスポンサーになってもおかしく無いゲーム&アニメですが、馬主の承諾無に企画が進んだ為に、一部の馬主が馬の使用を許可しないという事態に。その為に、ディープインパクトなど有力馬が一部抜けてしまうというオチが着いてしまいました。それでもレースシーンの細かな再現に競馬ファンを夢中にさせる作品です。
ところで私は競馬ファンではありません・・・。実家の近くには地方競馬場があって、同級生には厩舎の娘さんが居る様な環境で育ちました。西風の日には、街中に馬糞の匂いが漂う。だから「競馬=馬糞の匂い」。ただ、大学の親友達が競馬ファン(レースよりも競走馬ファン)で飲み会で良く馬の話をしていたので、有名競走馬の名前や、記憶に残るレースの話は耳に残っています。今回、この作品を観ながら、実際のレースの映像をYoutubeで探して、ニワカ競馬ファンを楽しみました。
第三位 『若おかみは小学生』
『若おかみは小学生』 より
本当は1位でも良い作品です!
小学生の間で長年ベストセラーとなっている青い鳥文庫の『若おかみは小学生』。マンガ化もされていた様ですが、満を持してのアニメ化。日曜の朝の子供向けの作品ですが、これが大人が観ても十分に面白い。いや、下手なNHKの連ドラよりも、余程面白い。
交通事故で両親を亡くしたオッコ(関織子)は祖母が経営する旅館に引き取られます。悲しみを表に出さない健気なオッコの前に表れたのは男の子の幽霊。彼、ウリ坊はオッコのおばあちゃんの幼馴染。ふとした事故で死んでからは、ずっとおばあちゃんを見守っていたと言います。成り行きで若女将となる事を決意したオッコですが、色々と失敗ばかり。しかし、前向きな性格と、アイデアで、失敗を挽回し、お客さん達は満足して宿を後にします。
この作品、とにかく「話の筋」が良い。児童文学の特徴でもありますが、シンプル故に、ストーリーの推進力が非常に強い。だから、実質12分の時間の中で、しっかりと物語が進行します。これは昨今のアニメは是非参考にして欲しい。脚本の横手美智子の上手さでもあるのですが、絵作りも基本に忠実です。シーン展開のさらりとしたモンタージュの挿入などにも手慣れたものを感じます。
「この後は若おかみは小学生!始まるよ」というオープニングが聞こえると、家内も観に来るので、誰が観ても面白いハズ。
実は9月には映画も公開されます。こちらは脚本は『おじゃ魔女どれみちゃん』シリーズや『ガールズパンッアー』の吉田玲子、監督は『茄子アンダルシアの夏』の高橋希太郎。PVが公開されていますが、私、絶対に映画館に行きます。
『若おかみは小学生』映画版 PV
第4位 『ヲタクに恋は難しい』
『ヲタクに恋は難しい』より
何かと「イケてない」「暗い」イメージを持たれがちな「オタク」。しかし、最近の若い世代の「オタク」は「勝組」の中にも多い。ガチオタの美男美女の二組のカップルのオタク生活をカジュアルに描く作品ですが、「あるある」ネタ満載で、私が観ても楽しめます。
オタクが「特別」な存在で無くなった現在に、出るべくして出て来た作品ですが、ただ・・・イケてないオタクが観たら・・・「弾けろ、リア充ども!!」と叫びたくなる事必至。
第5位 『ゴールデンカムイ』
『ゴールデンカムイ』より
日露戦争後の北海道が舞台。日露戦争で数々の窮地を生き延びた「不死身の杉本」は戦士した親友の妻の治療費を稼ぐ為に北海道で砂金堀をしています。そんな時に耳にしたのがアイヌの黄金の在りかを示す入れ墨の噂。網走刑務所を脱獄した囚人達に彫られた入れ墨を合わせると、黄金の所在が分かるという・・・。囚人を追う杉本だた、ヒグマに襲われ絶対絶命のピンチ。それを救ったのはアイヌの少女のアシリパ。彼女の父は黄金強奪犯に殺され、黄金を奪われたと言う。二人は行動を共にし、囚人達の行方を追いますが、軍を始め、様々な輩が彼らのライバルとして立ちはだかります。
囚人達を含めキャラ立ちも良く、話の骨格もしかりしているので楽しめる作品ですが、とにかく、前半のアイヌの風習をアシリパさんが説明する下りが興味深い作品です。同和問題同様にアイヌ民族の問題はアンタッチャブルが空気が流れていますがから、アイヌ文化は日本の中ではだんだんと風化しつつあります。北海道ではかつてはアイヌ文化を観光の目玉にしていましたが、今でもリゾートを前面に押し出しているので、今の若い方はアイヌの存在すら知らない方も居るはず。そんな今だから、ある種のタブー感が薄れて、エンタテーメントとしてアイヌ文化を扱う事が出来る様になったのかも知れません。「オソマ」というアイヌ語が我が家で流行っています。
第6位 『デビルズライン』
『デビルズライン』より
鬼と呼ばれる吸血鬼が存在する世界。鬼は厚生労働省に管理され、世間から隠されていますが、人並み外れた身体能力を持っています。そんな鬼の犯罪を取り締まる為に、公安5課には鬼の捜査官が配置されています。
真面目な女子大生の平つかさは、鬼の事件に巻き込まれます。その捜査を担当した鬼の捜査官の安斎は、つかさの身を案じてつかさを個人的に警護しますが、二人の間にはいつしか好意が芽生えてゆきます。鬼と人との道ならざる恋に戸惑う二人ですが、つかさの一途な思いに・・・。そんな中、鬼を排斥しようとする組織が行動を起こし、安斎も公安5課も窮地に立たされて行きます。
『東京喰種』よりも、ストレートにラブストーリー色が強く、私は好感が持てました。障害が多い恋は見ていても萌えます。家内と一緒に毎週キュンキュンしながら観ていました。
第7位 『踏切時間』
『踏切時間』より
踏切を待つ間の、ほんの短い間の会話劇ですが、「心の声」をモノローグとしてダ漏れされるというアニメや漫画の特徴を見事に生かした作品。微妙な関係の相手との会話では、人は心の中で様々な会話のシミュレーションや妄想を巡らせますが、それと実際の会話とのギャップが面白い。
第8位 『ひそねとまそたん』
『ひそねとまそたん』より
岡田磨里が脚本、樋口真嗣が総監督という異例の組み合わせですが、実写映画の企画が流れた事から、二人で何かアニメを作ろうと始まった企画の様です。
細部は面白いのに、全体がボケている作品の典型で、「伝えたいメッセージ」の無い作品のが陥りがちなパターン。ただ、EDが秀逸だったのでランクイン。
『ひそねとまそたん』ED
第9位 『ピアノの森』
『ピアノの森』より
かつての映画版よりもキャラクターもストーリーも原作に忠実で、原作ファンとしては大満足ですが、3話までが急ぎ過ぎたかな。演奏シーンの気持ち悪いCGさえ無ければ1位でも構わないのですが・・・CGが・・・・。アニメをあまりご覧になられない方に勧めるならば、今期はこの作品一択です。
以上、だいぶ遅くなってしまいましたが、18春アニメのランキングの発表でした。