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もはや金融緩和バブルは崩壊直前?・・・トランプのスピード感

2018-12-25 06:39:00 | 時事/金融危機
 

■ 急落する株式市場 ■

米株を始め先進国の株式市場の下落が加速しています。それに比べ新興市場からの資金逃避が少ない様に見えますが、既に新興国から資金は引き上げられている。

日経平均は2万円割れ目前、ダウも2万ドルを睨んだ攻防になるでしょう。FRBの今年4度目の利上げを嫌気したと解説されていますが、利上げは「織り込み済み」のはずの市場が過剰に反応しています。

■ 長短金利の逆転 ■

アメリカで長短金利の逆転が起きていますが、多くのアナリストは「景気の先行きを不安視して」と説明しています。

本来、長期金利は短期金利よりも高いのが普通ですが、将来の景気が悪くなると予想される場合、長期金利は低くなります。一方、FRBが政策金利を淡々と上昇させているので、短期金利はジワジワと高くなっています。

実は長期金利の低下は、景気以上に投資環境んひとって不都合です。金利の安い短期で資金調達して、金利の高い投資で利益を上げていた市場ですが、長期金利が低下すると、利幅が圧縮されてしまいます。

■ 米国債金利の低下と長期金利 ■

長期金利の下落要因には、景気の先行き予測も影響を与えますが、米国債金利の影響も見逃せません。市場ではここに来てリスクオフ指向が高まっていますが、リスク市場を回避した資金は安全資産としての米国債に流入します。




米国10年債金利は10月、11月にピークを付けた後、最近は8月頃の水準まで急低下しています。これは株式市場の下落とリンクしています。株から米国債に資金が移動した。

本来、米10年債の金利は景気予測に左右されます。景気の先行き予測から米国債の金利が決まる。ところが、過剰流動性が支配する市場では、リスクが意識されると資金が過剰に米国債市場に流入して必用以上に金利が低下します。

長期金利は国債金利を指標としていますから、米国債金利が低下すると、それに引きずられる形で長期金利も過剰に低下します。

■ 長短金利差の縮小や、逆転に弱い金融緩和バブル ■


金融緩和バブルは、低利の短期資金を高利の市場で運用する事で維持されます。バブルが弾ける過程で、常に〇〇ショックが起こるとは限りません。

A) バブルが過熱し過ぎて、過度のリスクテイクが耐えきれなくなる

B) 長短金利差が縮小してポジションの解消が進行する

C) 低利の資金供給が減少して市場が縮小に向かう


リーマンショックはAタイプです。引き金は「低利の資金の縮小」ですが、レバレッジを掛けた過度なリスクテイクによって市場は一気に崩壊に向かいました。

今回のバブル崩壊はBとCの複合型になるかと思います。Bは現在進行中。Cは日欧の緩和縮小が顕在化する今後に発生します。これらの崩壊の過程は、比較的静かに進行します。株価がジリジリと値を下げ、ジャンク債金利がジリジリと上昇する。

どこかの時点で「最早、上昇はしばらく無い」と誰もが判断するハズです。ここから下落が加速し、相場が底抜けします。リーマンショックの様な急激な下落は起こらないかも知れませんが、下落幅は同程度になる可能性が有る。


■ 金融緩和には限界がある ■


「金融緩和の縮小によってバブルが弾けるのなら、緩和を継続すれば良い」と考える人も多いでしょう。しかし、既に日銀の資産は国債や株式やREITで十分に膨らんでいます。ECBも同様で各国の国債で資産は膨張しています。この様な状況で相場が下落に転じると、資産の棄損が大きくなり、下手をすると中央銀行が債務超過に陥る可能性が有ります。そうなれば通貨の信用が失われる。

だから、日銀と言えども、最近は国債の購入額をこっそりと減らしています。


■ FRBは何故利上げを継続するのか? ■

日欧に先立って緩和縮小に転じたFRBですが、来年中には利上げを停止すると予想されています。昨今の株安を鑑みて12月の利上げは見送るとの予測も少なく無かった。

しかしパウェル議長は淡々と利上げを継続しています。何故ならば、今利上げを停止すると市場が急速に加熱する可能性が有るから。

12月にFRBが利上げを見送れば市場はこれを好感して株式市場に再び資金が戻る事は容易に想像出来ます。しかし、それは「最後の饗宴」になる可能性が大きい。誰もが「最後の一儲け」と考えているので、相場は加速度的に上昇し、そしてどこかでバブルが一気に弾ける。

この様な〇〇ショックを避ける為、FRBは金利上昇によって市場に首をジワジワと締めながら、仮にバブルが弾けても、ショックの規模が小さくなる様に誘導している・・・。(悪い言い方をするならば、中央銀行は思う様にバブルを作り、思う様に潰す事が出来る)


ただ、それとて金利差の縮小という形で市場を不安定化させる要因にもなっています。


トランプは正義の味方か・・・シリア撤退の真意を妄想する

2018-12-25 04:44:00 | 時事/金融危機
 


■ シリアから撤退する米軍 ■

米軍のシリア撤退を巡り、マティス国防長官が辞任する事となりました。表面的にはトランプ大統領が撤退を主張し、軍がそれに反対した構図。

多くの陰謀論者は、「トランプは軍産複合体と戦っている」と妄想するでしょう。しかし、トランプの一存や思い付きで米軍の撤退が決まるハズは無く、裏にはもっと大きな何かが隠されていると私は考えています。

■ もはやシリアに対外戦闘の国力は無い ■

アメリカや、それに使役されているイスラム国の目的はアサド政権の打倒と、米傀儡政権の樹立によるシリア支配でした。その目的はロシアによって達成していません。

一方、長引く内戦でシリアの国内は荒廃し、軍事施設も破壊されている為、最早シリアに対外戦闘を遂行する軍事的な余裕は有りません。仮に中東でイランとサウジアラビアが衝突する事態が起きても、シリアがイランに付いて積極的に戦闘を行う可能性は低い。

■ 中東で戦争が発生した場合、米軍が駐留していると不都合? ■

私はリーマンショック後の金融緩和バブルは、金融システムの破壊と通貨の信用危機をもたらすと妄想していますが、ドルの信用が揺らいだ時に、ドルの信用を担保する為に中東で戦争が発生すると考えています。

アメリカはシェールオイルでサウジアラビアを抜く、世界最大の産油国になっていますから、中東での混乱の影響は少ない。むしろ、原油価格の値上がりはシェールバブルを継続するには好都合です。

原油価格が値上がりすれば、石油を買う為に多くの国がより多くのドルを必要とし、ドルの価値が上がります。ニクソンショックで金兌換制度を停止した際にドルの信用を守ったのも、中東戦争によるオイルショックでした。

いずれにせよ、仮に中東でイランとサウジアラビアが衝突する様な事態になった場合、シリアに米軍が駐留していると、状況が複雑になります。シリア軍は米軍を足止めする為に、米軍と交戦する可能性は否定出来ません。

アメリカとしてはサウジアラビアを支援して、イランを徹底的に叩いておきたい所ですが、シリアやアフガニスタンに戦力が分散していては何かと不都合が生じます。

■ イラン VS サウジアラビア の戦争を予想する ■


どうせ当たらないとは思いますが、イラン-サウジ戦争の妄想など・・・。

2020年某月、サウジアラビアのムハンマド皇太子が暗殺されます。サウジアラビアはイランの仕業だと主張し、イランにミサイルを撃ち込みます。これに対して、イランはミサイルで報復すると同時に、ホルムズ海峡の封鎖を宣言し、海峡を通過するタンカーに威嚇の砲撃を仕掛け、海峡に機雷を敷設します。

世界の世論はイランはケシカランという方向に傾きますが、国連安保理ではロシアと中国の反対により、国連軍の派遣は否決されます。そこで、アメリカは有志の多国籍軍を編成してイランへの攻撃を開始します。

トランプ大統領はツイッターでこう呟きます。「無法者のイランに鉄槌を下す時が来た。テヘランのならず者達に神の裁きが下るだろう! イェイ!」


沖合の艦艇から大量の誘導ミサイルがイラン国内に発射され、軍事施設や政府施設が破壊を試みます。しかし、ロシアが配備した迎撃システムも有効に稼働し、破壊は限定的になります。

一方、開戦後にイスラエルはハマスとヒズボラを牽制する為に軍事行動を開始し、レバノンとガザ地区に侵攻します。これに対して、ハマスとヒズボラは大量のロケット弾をイスラエルに向けて発射します。

シリア、イラク、カタールなどは、サウジアラビアとイスラエルを「悪魔の遣い」と誹謗しますが、国内防衛を優先して、直接戦闘は避けます。

ここで戦闘は膠着状態となりますが、米軍主体の多国籍軍は地上軍をイランに投入します。これに対してイラン革命防衛軍や、イスラム過激派の一部が応戦します。アメリカとの経済的な関係が最悪になっている中国も「義勇軍」がイラン国内で戦闘に参加します。ロシアは正面戦闘は避けますが、軍事顧問をシリアに送り込んで、革命軍やゲリラを支援します。

さらにロシアの支援でイランはは飛行禁止区域を設定して、制空権を多国籍軍に与えません。プーチンはこう発表します。「アメリカは国連決議に反してイランに侵攻している。これは許されない。ロシアはイランの飛行禁止区域の防衛に本気で協力する用意がある。ちなみに「本気」と書いてマジと読む!!」

開戦直後にアメリカは自衛隊の派遣を要請します。安倍政権は国会で「ライフライン防衛法」を強行採決します。「我が国のライフラインである中東の石油を守る事は、防衛行為の一環であると考えます」「我が国のライフラインを守る為に戦う同盟国であるアメリカを支援する事は、集団的自衛権の範囲内だと考えます」・・・こうして、航空自衛隊と海上自衛隊は主に物資輸送を、陸上自衛隊は兵站路の警護を担当する事になります。


テヘランを目指す多国籍軍の地上部隊ですが、十分な航空支援が得られない状況で進軍は思うようにいきません。長く伸びた補給路はゲリラ攻撃に晒されます。ロシアや中国から支援を受けたイランの抵抗で戦闘は成果も無く長引きます。


一方で、原油価格の上昇でインフレ率が上昇した西側諸国では厭戦機運が高まって行きます。そろそろ和平を結ぶ頃合いでは無いかとの社説が新聞で載る様になります。そして、トランプがツイッターでこう呟きます。「戦果は充分にあった。我々はイランに勝利した! イェイ!」。


多国籍軍はテヘランを陥落させる事も出来ずに撤退を始めます。後には米国と、中露の対立が残ります。こうして、新たな冷戦時代に突入し、世界は多極化の時代を迎えたのです。



世界の目がイランに集まっている裏で、イスラエルはハマスとヒズボラを徹底的に叩いたとさ・・。



・・・という妄想に耽っています。