■ 無限国債は成立するのか ■
MMT理論が成立する様な状況では「無限国債」が成立するはずです。
1) 政府は赤字国債を大量に発行し続ける
2) 間接的、或いは直接的に中央銀行が国債をファイナンスし続ける
3) 国債の最後の引き受け手の中央銀行は無限に通貨を発行出来るので国債は無限に発行できる
4) 日銀は政府の子会社なのだから日銀の資産である国債は政府の負債と相殺される
ネトウヨの主張を延長すると「無限国債は成立する」となりますが、彼らとて、こんなに都合の良い事が現実に起きるとは信じていないでしょう。(一部の方を除いて)
上のループが成立する為には「インフレ率が十分に低く、金利が抑制されている」事が絶対条件になります。
日銀の国債買い入れは市場を通して行われますが、その過程で日銀は民間に大量の円を供給しますから、円が巷に溢れれれば、通常ならば通貨の価値が減少してインフレが発しします。
■ 日本の低成長が支える異次元緩和 ■
先の記事にも書きましたが、日本の成長率はゼロ近傍に張り付いています。これは少子高齢化の影響が大きいのですが、結果として日本国内の金利を押し下げ、国内での投資機会を減少させます。
国内金利が低下すると、相対的に海外の金利が高くなります。金利3%の米国債は、為替リスクを考えるとあまり魅力的な商品とも思えませんが、それすらも魅力的に見えてしまうのが現在の日本の国内金利です。
こうして、日銀が異次元緩和によって民間に供給した大量のマネーの多くは、海外に流出します。(リスクを取り得る一部のマネーは、日本株や国内の不動産に流れ込みプチバブルを形成しています。)
■ 金融危機が発生すると極端に円高に振れる ■
異次元緩和による円の増加と、円キャリー取引の発生によって円は実力以上に円安になっています。リーマンショック後にアメリカも一気にマネタリーベースを拡大したので、現在の為替水準はもっとドル安円高で良いハズです。
リーマンショック以降、市場がリスクオフになる度に、為替市場は円高に振れますが、円キャリートレードの手じまいで円高バイアスが掛かる所に、市場の関係者の思惑も絡んで、円高が加速します。
■ 次なる金融危機で壊滅的なダメージを受ける日本 ■
仮に、リーマンショック級の金融危機が発生したならば、再び急激な円高が一時的に発生するハズです。為替ヘッジの想定以上に円高が加速すれば、内外金利差など簡単に吹き飛んで、日本の海外投資は大きな含み損を抱える事になります。
私は次なる金融危機で日本の金融機関は危機的状況に陥ると妄想しています。ゆうちょ銀行、農林中金を筆頭に、地銀なども経営危機に陥る可能性が高い。
GPIFのダメージも相当なものでしょう。
■ 株価下落で債務超過に陥る可能性が有る日銀 ■
海外資産を持っていないので安泰と思われる日銀も、国内株の下落で下手をすると債務超過に陥る可能性が指摘されています。日銀は最後の買い手として、日本株を高値掴みしていますから、大幅な下落で含み損が拡大します。
■ 為替市場で円の下落が始まり、インフレが加速する ■
日本国内の金融機関の経営がガタガタになり、日銀も大量の含み損を抱えるとなると、さすがに為替市場で円高を維持する事は不可能になるでしょう。
ここで急激に円安が加速して、1ドル150円を超えて来ると、原油をはじめとした輸入品の価格が上昇して、日本国内のインフレが加速します。
■ フリーランチは存在しないと世界に示す日本 ■
円安を止める為には金利を上げるしか方法がありませんが、財政赤字を積み上げた日本で金利上昇は命取りになります。
この段階にもなれば、国民は銀行も政府も信用できなくなりますから、銀行から預金を引き揚げ様とするハズです。ここで、銀行はシャッターを開ける事が出来なくなります。
多分、事がここまで進む前にIMFが救済に乗り出すハズです・・・。これが異次元緩和の結末だと私は妄想しています。
尤も、次なる金融危機でドルや他国通貨の信用がどれだけ保たれているかは疑問なので、世界中の通貨の価値が等しく棄損すれば、最悪のシナリオは回避出来るかも知れませんが・・・。