人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

トザツー(登山 + ツーリング)で大弛峠 と金峰山を制覇せよ!!

2020-09-24 08:37:00 | 自転車/マラソン
 



■ 自転車乗りの天国と地獄 ■

自転車乗りは、二つのタイプに大別されます。

1)レース派      ひたすらレースやヒルクライムの速さを追及する人達
2)アドベンチャー派  ロングライドやツーリング、ブルべなど遠くへ行きたい旅行系

現在の自転車業界は、ツールドフランスを走る様なレーシングバイクを勧める傾向が強い。カーボンの高級車は50万円を超える価格が普通で、パーツやホイールなどを交換するとさらに50万円が消えて無くなる。これはお店にとってはオイシイ商売です。

「最初はアルミで充分ですよ」と甘い言葉で誘い込めば一丁上り。男子は物欲と闘争心の塊ですから、カーボンバイクにビュバーーンと抜かれると、「オレもいつかはカーボンを買おう!」と物欲が膨らみます。「ヒルクライムでタイムが出ない・・・」とショップの店員に話せば「カーボンならもっとタイムが出ますよ」と誘惑される・・。こうして、多くの自転車乗りは「自転車沼」にハマる事になります。彼らは延々に幸せにはなれません・・・だって、エンジンは自分自身だから・・。パワーメーターを買い、室内トレーナーを買い、遠くのレースに参戦し・・・そして悟るのです。己の限界を。


一方、アドベンチャー系の自転車乗りは直ぐに天国に到達します。器材は安いクロモリ(鉄)の自転車で充分。軽さよりも、頑丈さや荷物の積載量が重視されます。コンビニ休憩中に自転車が倒れてもカーボンの様に破損する心配は皆無。高価なパーツよりも、より効率的なパッキングを重視しますが、バックの類は安価で長持ち。近場は自走で出かけるので交通費も掛からず、テントで寝れば宿泊費も安い。彼らは、アドベンチャーライドを始めたその日から天国を味わえますが、悩みは連休がなかなか取れない事。日本地図や世界地図を眺めては、ここに行きたい、あそこに行きたいと夢を膨らませますが・・・それすらも幸せな時間です。


ところで、私はと言えば、断然後者。元々、都会から離れる為のツールとして選んだのが自転車です。ランニングでは一日50Kmが限界です。これでは浦安から成田まで行けません。自転車ならば1日300kmは走れますから、本州を横断して日本海を見る事も可能です。


しかし、最近、自転車で山越えをしている時に「山が俺を呼んでいる」声が聞こえるのです。「こっちはもっと高いよーーーー。こっちはもっと眺めがイイよー!」って。簡単に天国を味わえるアドベンチャー系自転車ですが、さらなる天国がきっとあるハズ。

■ 「トザツー」初めました ■

自転車に乗っていると、土砂崩れの崩落個所に出合うシーンは少なくありません。そこを、自転車を担いで超えるとワクワクします。

自転車に乗ってヒルクライムをすると、山の反対側に降りたくなる事が有ります。そこで、登山道を自転車を担いで降りると、ワクワクします・・・。

こういう変態はMTB乗りに多いのですが、日本には古来「山岳ツーリング」という宗派が存在してる様です。ツーリング自転車の乗って坂道を登り、ダートに入り、道なき道を自転車を担いで超える・・・。自転車は乗ってナンボの「乗り物」ですが、担ぐと大きくて重い「荷物」に変わります。その荷物を担ぐ事に生き甲斐を見出す真性変態が少数ながら生息しているらしい・・。(ネットで検索すると痕跡が見つかります)

あるブログで「トザツー」(登山 + ツーリング)という呼称を見付けました。「山岳ツーリング」はカルト系の匂いがプンプンしますが、「トザツー」ならばカジュアルです。

出掛けに「今日は山岳ツーリングに行って来るよ」と家を出ると、帰って来るまで家の人は心配するでしょう。でも、「ちょっとトザツーして来る」と言えば、「あ、そう、気を付けてね」でおしまい。

■ 今時のトザツー ■

「山岳ツーリング」系の人達のスタイルは登山に近い。7分丈の登山用のズボンを履いている人が多い。

前回、それを真似て、9Kgのリュックを背負って「ロングライト + ヒルクライム + 登山」を試しました。



自転車と登山の両立・・・ヤビツから丹沢表尾根 人力でGO  09.15

結果は、ロングライドで尻が痛くなり、ヒルクライムで脚が攣り、登山で足が終わる結果となりました。アクティビティーのスタイルとしても「鈍重」で、私の好みからは少し外れます。

そこで、今回はUL(ウルトラ・ライト)に拘って装備とコースをチョイスします。カーボンロードバイクにバイクパッキングで荷物を積載し、トレイルランのバックパックに軽量登山靴を放り込みます。コンロの類は持って行きません。天気が悪ければ引き返す事前提で、雨具も自転車用の薄い物にしました。

目的地は大弛峠ヒルクライム + 金峰山登山


ULスタイルの「トザツー」に挑戦

<自転車装備>

カーボンロード   NEILPRIDE ZEPHER
ホイール      MAVIC・キシリウム・エリート + Panadonic グラベルキング28C
バイクパッキング  大型サドルバック + 中型フレームバック
シューズ      SPDシューズ
他         工具・空気入れ、  ボトルx2、 ツールボトル
ウェアー      夏用ウェア上下   長袖インナー  コンプレッションタイツ 

<登山装備>

ザック       トレラン用ザック(15ℓ?)
登山靴       ローカット、軽量登山靴
ミッドレイヤー   CRAFT ランニング用 フード付き ポリエステル裏起毛
ボトム       登山用長ズボン
防寒        ダウンベスト
雨具        自転車用(上のみ・ウィンドブレーカーとして)

<携帯食>     コンビニおにぎり x5
          エナジージェルx1、プロテインジェルx1、ミネラルジェルx1
          携帯スティック食x2
          Mag-on(マグネシウム系補給)x2
          ポカリ900mlx1 水500ml
          脚釣り対策用の梅酢(自家製)50ml


■ 決戦前夜 ■

大弛峠は、通り抜け出来る車道の日本一の標高2360mを誇ります。そこへ至る道の延々30km以上も登り坂が続く、日本屈指の超級山岳コース。自転車乗りの聖地の一つです。

金峰山は奥秩父の盟主とも言われる日本百名山の一つ。標高2599mながら、山頂付近は大きな岩がゴロゴロしており、「五丈岩」という巨岩が鎮座する人気の山。

今回はこの二つを同時に楽しむという「欲張り企画」です。


最寄り駅の塩山までは輪行します。実は浦安を始発で出ても塩山到着は8:14分になってしまいます。これは山登りを考えると遅すぎます。1500m付近の「廻り目平キャンプ場」にテント泊する事も考えましたが、荷物が重くなるのと、ヒルクライムが二別されてしまうので却下。

そこで、前日終電で大月まで行き、夜明けまでノンビリと甲州街道を塩山まで自転車で走る計画を立てます。急に思いついたので2時間の仮眠で22時過ぎに家を出ます。電車の中で充分眠る時間は有ります。

しかし、ルートをチェックしていた重大な問題点に気付きました。大月から塩山の間には、自転車乗りに悪名高い「笹子トンネル」が有ます。路肩が無い3kmのトンネルは相当に怖い。昼間の混雑時ならまだしも、夜間は大型トラックが高速で走行します。これはマジヤバイ。

トンネル回避としては旧道の「笹子峠」が有りますが、夜中に1000mの標高の峠越えもマジヤバイ。猪とか熊とか、この世ならざるモノとか、マジ怖い。

そこで急遽、立川で下車して始発を待つ事に。大月まで行っても良かったのですが、夜を過ごす場所が無い様です。さらに、立川からでも大月からでも塩山到着は変わらないので、東京に近い場所の方が始発の時間が早くなり、夜明かしの時間が短くなります。立川駅前のマックは24時間営業。開いてて良かった・・・。

店内は寒くて、登山用ウエアが活躍します。硬いスツールでは仮眠も出来ず、ブログの記事を書きながら時間を潰します。4時過ぎに店を出て、4:35分の始発の高尾行に乗ります。高尾、大月と乗り継いで6:22に塩山に到着。車内でオニギリ2個の朝食を済ませます。塩山駅では私の外にもう一人、輪行の方がいらっしゃいました。当然、行先は大弛峠でしょう。

大弛峠の登り口の途中、セブンイレブンで補給を済ませます。さて、いよいよヒルクライムパートの始まりです。時刻は7:26。


7:26 琴川ダムまで登って来ました。日本で一番高い場所にある多目的ダム。


笛川小学校・柳沢分校、日本で一番高い場所に有る小学校でしたが、今は廃校となっています。


「金峰山荘」。自転車乗りの間では有名な「ラスト自販機」の有る場所。通年、普通に人が暮らしている場所としては日本最高点とも言われています。



冬季ゲートを越え、後半戦です。正面に奥秩父の稜線が見え始めました。


時折、雲が晴れると、目的地の金峰山の五丈岩が見えます。


11:02 ヒルクライム終了です。トータルで3時間36分掛かりました。走行時間は3時間12分。

標高2360mの大弛峠まで約30km、獲得標高2000m、登山の脚を残す為、余裕を持って登って来ました。大弛小屋の自転車ラックに自転車を駐輪して、登山の装備に着替えます。登山靴に履き替えて、サイクルウェアーの上からズボンとミッドレイヤーを身に着けます。今回は水を忘れずに持ちます。


■ 登山パート ■


いよいよ登山パートの始まりです。金峰山までは片道4.2km、標高差250m程度ですが、朝日岳を越えるので、登りは500m程度でしょう。往復の標準時間は4時間半。既に11時を過ぎているので、五丈岩で遊ぶ時間と、帰りの時間を考えると、歩く時間は3時間で片づけたい所。軽装なのでちょっと急げば大丈夫でしょう。

ファミリーコースと思っておましたが、大きな石がゴロゴロ有る急な登攀もあり、なかなかハードなコース。前日の雨で泥濘も多い。写真を撮る時だけ立ち止まって、後はノンストップで金峰山まで歩きます。途中から、大弛峠に戻る人とのすれ違いが多くなり、朝日岳を過ぎた頃より金峰山に向かう人を追い抜き始めます。

軽装登山ですので、結局トレラン風になってしまいます・・・。ゆっくり歩くのって昔から性に合わないんですよね。学生時代は「標準時間x0.5」が行程タイムでしたから。基本、走れる所は走る!!

金峰山の山頂には12:55分に到着。1時間31分掛かりました。登山道、結構混んでました。




11:24 登山開始です



前日の雨で泥濘も多い。稜線は大きめな石がゴロゴロしている場所も有ります。


キノコの季節ですが・・・これは如何にも毒キノコ・・・。


11:45 朝日峠に通貨


12:12 朝日岳


12:44 金峰山 到着。山頂付近は標高2500m越え。ハイマツ帯です。シャクナゲも生えています。


大きな岩がゴロゴロしています。フィールドアスレチックの様で楽しい。石の鳥居みたいな所を潜れば山頂は直ぐ。


12:55 山頂の標識に到着します


■ 五丈岩、楽し過ぎます ■

山頂から少し下った所が広場になっていて、その先に五丈岩がそそり立っています。何人かの人達がナンチャッテ・フリークライミングにチャレンジしています。

当然、私もチャレンジしましたが、中段で引き返します。ガンバレば上まで登れますが、怪我をしたりしたら社会人的にマズイ。Goproの絶好の映像チャンスですが、ストラップを持っていないので、クライミング中の撮影は出来ませんでした。(家に帰って速攻でポチっとなしました)

しかし、金峰山、楽し過ぎます。山体は蔵王権現を祀る山で、五丈岩はご神体でも有りますが、フィールドアスレチックの乗りで、皆さんクライミングのチャレンジしています。頂上まで到達した人には拍手が起きてました。

ちょっと遊んだ後はオニギリを食べて、山頂付近の眺めを写真に収めます。日本百名山の一つ、瑞牆山が雲の晴れ間に見えます。花崗岩が侵食された峻嶮な姿には迫力が有ります。今度は瑞牆山に登ろうと心に決めます。




霧の向こうに五丈岩が現れます



五丈岩の高さは15m。チャレンジしたくなる高さです。実は五丈岩は山岳信仰のご神体。山伏がこの岩の上で修行をする姿も見られるとか。登ると神罰が下りそうでも有りますが・・・



頂上まで到達した人には、やんやの拍手が送られていました!!


風化した花崗岩が中国の水墨画の様な山容を作り出す瑞牆山。日本百名山の一つです。



山頂からの景色は、流石は2500m級の山です。丹沢や奥多摩とは一味も二味も違います。(丹沢表は関東大震災の崩壊で、結構似たような景色も有りますが)


■ ULは速い! ■

山頂で遊んだり、お昼を食べたりして1時間程度を過ごし、13:35分頃に帰路に付きます。

登り返しがキツイだろと思っていた朝日岳の山頂付近は、「あれ、急登はどこだっけ」という感じで難なくクリアして14:51分の大弛峠の駐車場に戻って来ました。

帰りの時間は1時間16分。

トータルの歩行時間は往復で、2時間47分でした。標準行程時間の半分の2時間15分を目標としていたので、ちょっとオーバーしました。

ヒルクライムで脚を使った後なので、後半、脚が攣りそうでヤバかったですが、マグネシウムのジェルが効いたのか、どうにか切り抜けました。



14:51 駐車場に戻って来ました。前を歩く親子連れが速かった。5歳位の男の子のルート取りが的確で、山道に慣れている感じ。ママに伺ったら、よく山に連れて来るとの事、ママも速かったですよ!!

駐車場に着いたら、速攻で自転車乗りにジョブチェンジです。上は自転車ウエアに薄手の自転車用の雨具をウィンドブレーカーとして来ます。下は登山ズボンの裾を捲るだけ。この恰好で、そのまま電車に乗る予定。

実は大弛峠の難関は下り。なんせ30kmも下ハン握りっぱなしですから。今回はフロント38tのシングルなので、緩斜面でスピードが出ません。しかし、ブラインドカーブが多いので、その方が安全です。

1時間程度で塩山の街中に戻って来て、14:30頃に高尾行の普通電車に滑り込みます。お土産を買う時間が有りませんでした。この電車を逃したら、塩山温泉で汗を流そうと思っていましたが、そうすると帰宅が21時頃になります。

電車の中でウツラウツラしながら、浦安到着は20時頃。


始めたばかりの「トザツー」ですが、私的にはUL(ウルトラライト)の装備で、スピード重視の行程が性に合っている様です。

ただ、そうなるとULのレインウェアが欲しくなります。後、これから紅葉シーズンの掛けて、フリースのミッドレイヤーも欲しいところ。トレランザックもボロボロでバックルが割れてしまってりうので新調したい所。


・・・・結局、物欲は満たされる事無く、アドベンチャー系ライドも物欲地獄に繋がっている事を実感しました。