人力でGO

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チェルノブイリを振り返る・・・福島と何が違うのか?

2011-05-05 08:30:00 | 福島原発事故
 



■ 「反原発」で「反LNT仮説」 ■

人力でGOは反原発です。
人力でGOは反LNT仮説です。


「おいおいそれは矛盾しているだろう」という突っ込みが聞こえてきそうですが、理由を説明します。

■ 「チェルノブイリ事故」の凄まじさ ■

デシウカバリーチャンネルが放送したチェルノブイリ原発事故の、素晴らしいドキメンタリーがアップされていたので紹介します。

http://shachoublog.net/nyu-su/cherunobuiri-douga.html

① チェルノブイリは福島の10倍の放射性物質を撒き散らした
② 炉が一瞬で崩壊した
③ 炉が崩壊したの冷却出来が不可能
④ 放射性物質が完全に露出していた
⑤ 軍がヘリコプターで上空か砂やホウ素、鉛を大量に投下し初期の封じ込めを行う
⑥ 地下から原子炉下にアクセスして、燃料溶融物が地下水に到達するのを防いだ
⑦ 最終的に高さ100mのコンクリートの巨大な建屋で封じ込めた

放射線の量と被曝の規模

① 初期消火の消防隊員は28人全員が急性放射線障害で死亡

② 原発敷地内の放射線量は2080(レントゲン/h)=20.8(Sv/h)・・・(急性致死線量は4Sv/h)
③ 軍の初動部隊は、この高放射線の中に投入された

④ ヘリコプターからの砂とホウ素の投下が行われる
⑤ ヘリパイの被曝量は1回の飛行で50~60(mSv)
⑥ 一日33回も飛行したパイロットも居た。作戦は二日間行われた
⑦ ヘリコプターパイロットは27人が急性放射線障害で死亡

⑧ 燃料の温度を下げる為、ヘリコプターから2400tの鉛を投下
⑨ この作戦に従事した600名のヘリコプターパイロットは全員生存していない

⑩ 石棺ん建設に先立ち、汚染された残骸を遠隔操作の機械で撤去するが、放射線で故障
⑪ 人力で高濃度に汚染された屋上の残骸を撤去
⑫ 鉛板の手作り防護服で一人10分でリレー形式で作業を行う
⑬ 屋上の放射線レベルは7000(レントゲン/h)=70(Sv/h)

⑮ 50万人が除染の作業に動員される

一方周辺の地域では

① 原発近傍のプリチャピ市の事故後1日目の放射線、100(レントゲン/日)=(41mSv/h)
② 事故後3日目に1000台のバスで4万3千人のプリチャピ市民を全員避難させた
③ 手荷物をまとめる時間は2時間
④ プリチャピ市は未だに廃墟である

⑤ キエフ(ウクライナの首都)では5月5日は例年通りメーデーが行われた
⑥ キエフは放射性物質に汚染されていたが、パニックを防ぐ為、公表されていない
⑦ ウクライナの書記長は妻子を連れてメーデーに出席
⑧ ウクライナの書記長は後日、自殺を遂げている

■ 過小評価される「チェルノブイリ」 ■

チェルノブイリ原発事故の死者数はIAEAの発表と、ソ連の主張、民間団体の主張で大きく異なります。

① ソ連の正式発表では事故の死者数は、原発の作業員と消防隊員の33人

② IAEAの非公開総会でソ連原子力相のレガソフは、死者予測を広島・長崎から類推して4万人と報告
③ IAEAはこの数字を受け入れず、4000人を公式発表とした
④ レガソフは後に自殺している

小児の甲状腺ガンや、妊婦の体調悪化、死産の増加などは、明らかに放射線の影響であり、近年、長期的な放射線の影響の研究が進められている。

■ 過大評価される「微量放射線の影響」 ■

一方、微量放射線の影響は過大評価される傾向にあります。

チェルノブイリ事故で撒き散らされた放射性物質の量は大量で、周辺地域に深刻な健康被害を現在ももたらしています。これは事実です。

一方、低レベルの放射能汚染の実態を過大に報道する番組もあります。
先日「阿修羅」にアップされていたNHKスペシャル「チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染」の内容をいくつか検証してみます。
(元画像は現在はアップされていません)

① ゼルジンスク村は泥炭地質で、放射性セシウムが溶出しやすい
② ゼルジンスク村お土壌の放射性セシウムは1,065(Bq/㎡?)
③ 牧草から検出される放射性セシウムは15,544(Bq/Kg)
④ 牛乳ではさらに濃縮されている恐れ
⑤ ゼルジンスク村の住人は汚染の高い地域の住人と同じ被爆量

ちょと待ったぁ!!!

日本の牛乳の暫定基準値は、200(Bq/kg)です。番組ではジェルジンスク村の牛乳の汚染値には言及していませんが、牛乳で生物濃縮されるならば、かなりの高濃度の汚染が予想されます。この値は日本の暫定基準値よりも高い事が予想されます。住人は牛乳以上に野菜や水から、放射性セシウムを、20年以上も摂取している事になります。



上の図は、チェチェルスク村の健康障害が免疫細胞の異常ではないかと指摘する内容の時示された図です。チェチェルスク村の事故当時に最大放射線量は100(μSv/h)。番組制作時の放射線量が0.75(μSv/h)です。チェチェルスク村の住人は、地元の野菜や食材を食べて暮らしています。現在でこそ0.75(μSv)の汚染ですが、事故当時の一年間の平均放射線量を仮に最大値の1/5の20(μSv/h)とすると、内部被爆まで考慮すると年間被爆量は350(mSv/年)となり、福島の避難地域外と比較してもかなり高いレベルの汚染である事が分かります。チェチェルスク村の住人は、ほぼ食料は自給ですから、事故当時の被爆の影響は無視できないレベルです。

「NK細胞がチェチェルスク村の住人は、非汚染地域の住人よりも異常値が多い」と説明されています。

よーく図を見て下さい。正常値以下の人も居ますが、正常値以上の人も居ます。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は免疫細胞ですから、NK細胞の増加は、「免疫力向上」のはずです。NK細胞は癌細胞を溶解する働きがあるので、NK細胞の増加は癌への免疫力が向上している証拠と言えます。(癌細胞が発生している証拠でもありますが)

このグラフが正に、放射線ホルミシス効果を裏付けるグラフでは無いでしょうか?

尤も、NK細胞の減少している人も居ますので、チェチェルスク村の放射線が全ての人の健康を促進しているとは言えません。いずれにしても、このデータをNHKと全く逆に読むならば、「チェチェルスク村の様に、食物を通して放射線に長期間内部被曝する地域でも、放射線による免疫向上効果が確認された」となります。

そもそも、NK細胞の減衰や増加の要因が、放射線だけなのか、その他の因子による影響なのかも不明です。

■ 事故処理に当たった作業員の脳細胞の死滅をマウスで実証する ■

番組では、事故処理に当たった作業員の脳細胞が死滅して、記憶力や思考力、運動機能が低下している事を伝えます。能のCT画像を見ると、大脳皮質や脳幹部に近い細胞が死滅しています。

マウスに作業員が被曝した量と同僚の放射性物質をエサに混ぜて与え、脳への影響を調べる研究が紹介されます。



9512(Bq)というのが、投与された放射性セシウム137の量です。多分、体重による補完を掛けていますから、マウスの体重を100g、人間を70Kgとすると、人間では6,665,400(Bq)となります。

ちょっと待ったぁ!!!

これは大変な量の被曝だと思います。
チェルノブイリ原発事故の作業員は、前段で紹介した様に、甚大な被曝をしています。
その甚大な被曝によって脳細胞が死滅する事に疑問はありません。

しかし、番組はゼルジンスク村など、比較的汚染が少ないといわれていた地域での健康被害に触れた後(日本の基準で見ればバリバリの汚染地域です)、高い放射線に被曝した当時の作業員の現在の健康障害を紹介しています。

これは意図的で無いとしても、問題があります。
視聴者は低線量の被曝でも、脳障害が起こると勘違いしているに違いありません。
さらに、マウスの被爆量を示しながら、人間の被爆量を明らかにしていません。
単なる不注意かディレクターの知識不足の結果でしょうが、示威的に行われていたとすれば大問題です。

■ 「事故」を過小評価し、「放射線」を過大評価する ■


IAEAが「チェルノブイリ事故過小評価」している事は明らかです。
① チェルノブイリの「事故による被害」の重大性が明らかになる
② 原子力発発電所への反発が強まる
③ 新規原子力発電所の建設が出来なくなる

一方でLNT仮説を採用する放射線防護の分野では、IAEAはICRPに従って、非常に厳重で保守的な基準を採用しています。
様は、「微量放射線の影響を過大評価」しているのです。


① 微量放射線には明らかな実害が無い
② 原発建設の妨げにはならない
③ 「対策を講じている」という安全神話さえ流布すれる
④ LNT仮説は原発の高コスト体質を固定化して、利益をもたらす源になる

原子力行政は世界的に歪んだ構造をしています。


但し、子供達の甲状腺ガンや、妊婦、胎児に対する影響は不明な点も多いので、最大の安全を確保する様に心掛けて下さい。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (azuki)
2011-05-05 12:44:30
こんにちは。
私は最近ネットで、例のNHKの番組を見たのですが、おどろおどろしいBGMや、意図的な構成に何だかぁ。。。と、思いました。
友人は、この番組でさらに、福島原発の放射能がいかに危険か熱弁してましたが。。
私はど素人の知識しかないですが、何もかも鵜呑みに信じるのはよくないなぁ。まず、冷静に考えてみよう。という事を学んだ気がします。
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Unknown (人力)
2011-05-05 14:33:57
azuki 様

私は専門化ではありませんので、間違いもあるかと思います。ただ、疑いの目を持って見ると、なんだか色々と問題がありあそうな番組でした。
NHK特集は、記事にするにあたり、もう一度見ようと思ったら消去されていたので、簡単なメモ書きから記事を起こしたので、多分間違いや勘違いもあるかと思います。
ただ、「世間で言われている程放射線は危険で無いかもしれない」という目で見ると、報道されている事の違った側面も見えて来るような気がします。
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