■ アメリカ合衆国と国民 ■
中央集権の強固な日本人には理解し難い事ですが、アメリカ合衆国は中央集権と地方分権の微妙なバランスで成り立っている国です。
清教徒をはじめアメリカに殖民した人々は、原住民の土地を奪いながら、開拓を進め、村を作り、街を作り、そして州単位の自治組織を作っていきます。さらに州が集まる事で、ヨーロッパからの独立を勝ち取ります。こうしてアメリカ合衆国という連邦国家が誕生しました。
ところが、各州や国民は連邦政府を手放しで信頼していた訳ではありません。アメリカ合衆国憲法は連邦政府の横暴から国民を守る為の憲法で、政府の暴走に対しては国民が銃を持て対抗する権利が保障されています。
日本人からは分かり難いのですが、アメリカ国民の銃の所持は独立の証であり、彼らの権利の象徴なのです。
■ 連邦準備制度やドルの成立に絡む不正 ■
中央銀行制度に関してもアメリカ国民は懐疑的でした。連邦政府の力が過度に強まるのを恐れた議会は、中央銀行の設立に反対する議員も多数おり、アメリカ合衆国は1913年にウィルソン大統領がオーウェン・グラス法に署名するまで中央銀行がありませんでした。
それまでは、各銀行が金準備を背景に独自にドルを発行していましたが、1907年にロンドンで手形引き受け拒否が発生して、アメリカの決済システムが混乱した事を受け、中央銀行設立への機運が高まりました。
このオーウェン・グラス法の成立は、多くの上院議員が休暇に入る12月23日に抜き打ち的に署名されました。
アメリカの連邦準備制度は、連邦準備制度理事会と12地区に分割された連邦準備銀行により構成されています。連邦準備銀行は民間の銀行が出資して設立された100%民間の銀行で、株の53%を日本政府が持つ日銀などに比べ、政府からの独立性の強い制度となっています。
連邦準備銀行の出資者は、ユダヤ系の銀行家達である事から、連邦準備制度の発足をしてアメリカ合衆国を大陸のユダヤ系資本家たち(ロスチャイルド)が乗っ取ったと考える人々も少なくありません。
■ リバタリアンとティーパーティー ■
アメリカの中間選挙で注目を集めた「ティーパーティー」は、ボストン茶会事件にちなんだ呼称ですが、「TAX ALREADY ENOUGH = もう税金は充分だ!!」の略とも言われています。
アメリカには連邦政府発足当時から、連邦から独立する事を目標にする「リバタリアン」という勢力が存在します。大西洋を単独横断したリンドバーグの父親も、リバタリアンの議員でした。
リバタリアンはヨーロッパによるアメリカの支配を嫌い、連邦政府は外交と防衛に専念すべきという「小さな政府」を主張しつづけています。
共和党の一部にリバタリアン派の議員がおり、ロン・ポールはその代表的存在です。
ティーパーティーで名を馳せたサラ・ペインは保守派の議員で、連邦からの独立などは望んでいません。彼女を後押ししているのは軍産複合体であり、彼女は「強いアメリカの復活」を主張して、保守派の庶民の支持を集める為に、ティーパーティーというシステムを利用したに過ぎません。
■ ロン・ポールがFRBを監視する小委員会の委員長に ■
冒頭の写真は、アメリカの真の独立派「リバタリアン」の頭目であるロン・ポール議員です。彼は以前よりFRB不要論を唱え、リーマンショック後もFRBを査察する法案を議会に提出しています。
そのロン・ポールが下院の「国内金融政策小委員会」の委員長になった様です。
<WALL STREET JPOUNAL より引用>
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_158501
米連邦準備理事会(FRB)の解体に意欲を燃やす共和党テキサス州選出のロン・ポール下院議員が、先の中間選挙の結果、来年から共和党が多数を占めることになる下院で、米国の中央銀行にあたるFRBを監督する小委員会の委員長に就任することになった。
リバタリアンの同議員はこれまで連邦準備制度の廃止を求める法案を提出したほか、「FRBはいらない」と題する本の上梓し、2008年の大統領予備選に出馬した際には一定の支持も獲得した。
国内金融政策小委員会の委員長への就任は、その上部組織となる下院金融サービス委員会の委員長に就任するスペンサー・バッカス議員(共和、アラバマ州)が9日発表した。国内金融政策小委員会の委員長には、11期目のポール議員が候補になっていたが、共和党指導部は別の議員を選ぶのではないかとの噂も流れていた。
ポール議員は先月、米議会の新聞に対し、同小委員会にFRB関係者を召喚する意向を示していた。
<引用終わり>
FRBはリーマンショック後、銀行の不良債権を買い上げ続け、そのバランスシートはパンパンに膨れ上がっています。さらに今後、量的緩和の第二段で6000億ドルの資金をばら撒く予定です。
FRBが買い上げたMBSなどの不良債権をまともに時価評価すれば、FRBが債務超過にお陥っている可能性はかなり高く、ロン・ポールはこの点を追求していくものと思わせます。
■ 州政府から破綻する合衆国 ■
ヨーロッパでPIG’sの財政危機が再度取りざたされていますが、ギリシャやポルトガルの経済規模などカリフォルニアに比べれば微々たるものです。
カリフォルニアは現在でも世界第10位の経済規模を有しています。
そのカリフォルニアが再度、財政破綻の危機に瀕しています。アメリカの州政府の発行する債券はBABというシステムによって、その利息分を連邦政府が補填する事によりAAAの格付けを有していました。
しかし、BABが廃止される事となり、アメリカの州債のリスクがにわかに急上昇しています。11月に地方債の債務保障を行う(モノライン)アムバックが倒産して不安定になっていた州債市場にさらなるショックが襲い掛かっています。
連邦政府はFRBが6000億ドルもの資金を国債買上げで供給し、その一方で州政府の債権の安全装置は外されてしまいました。
リバタリアンならずとも、連邦政府を信用しない国民の心情を察する事が出来ます。
■ 米国債危機に発展する州政府の破綻 ■
現状のままではカリフォルニア以外の州でも近々デフォルトする州が出てくるでしょう。州債市場の崩壊は、必ず米国債市場に飛び火します。
ヨーロッパもダメ、アメリカもダメ・・・。はたして、日本だけが無事という事がありうるでしょうか?
各国の国債が暴落する姿を見て、日本の銀行や生保は、はたしてどれだけ日本国債を保有し続けられるでしょうか?
既に、三井住友系列は日本の長期国債を手放しています。先日の30年債の入札企業は三菱や野村證券など、ロクフェラーの影響の強い企業ばかりです。
既得権を必死で守ろうとするロックフェラーと、リバタリアン勢力やWikileaksを巧みに使って、既得権の崩壊を目論むロスチャイルドの暗闘も、そろそろ終盤を迎えています。
「2012年」まで後1年余り・・・。
終末の足音が、ヒタヒタと近づいています。
皆さん、心の準備は宜しいでしょうか・・・?