■ ソフトバンクの通信障害 ■
先日ソフトバンクが大規模な通信障害を起こしました。
陰謀脳の私は、アメリカのファーウェイ(華為技術)潰しとの関係を疑ってしまいました。原因はエリクソンの通信基地装置のソフトウェアーの期限切れという単純なミス。全世界でこの基地装置を使っている通信事業者で障害が発生した。
■ 5Gの基地局をファーウェイと共同開発しているソフトバンク ■
アメリカはファーウェイ社とZTE社の通信機器から情報が洩れる恐れがあるとして、これらの製品を米国市場から排除する動きに出ています。日本やオーストラリア、イギリスなどもこれに追随して政府機関からファーウェイ製品を排除する方針を発表しています。
本当にファーウェイ製品にスパイ機能が有るかは分かりませんが、ファーウェイ社は世界の携帯電話基地局のトップシェアを持つまでに成長しているので、中国の電子機器メーカーの台頭を快く思わないアメリカが嫌がらせを始めたと見る方がシンプルです。
ただ、ファーウェイ排除の動きはオバマ政権時代から継続しており、トランプの対中貿易戦争で一気に加速したのかも知れません。
日本政府は今の所、公官庁など公共性の高い機関からファーウェイ製品を排除する方針ですが、今後は大学など研究機関でも使用が控えられるでしょう。尤も、これらの機関はインターネットを通じて外部と情報のやり取りをしていますから、その経路にファーウェイ製品が存在すると、ハッキングや障害が発生する可能性はゼロでは有りません。
日本ではソフトバンクがファーウェイ製の基地局を大規模に導入しており、さらに次世代の通信規格である5Gの基地局の行動開発も行っています。多分、ソフトバンクはアメリカのスプリントネクステル社の基地局でもファーウェイ製品を使っていると思われます。(以前、米議会で問題になっています)
■ 仮に米国がファーウェイ製の基地局設備との通信を拒んだら・・・ ■
アメリカのファーウェイ潰しがエスカレートすると、ファーウェイ製の基地局を利用している通信事業者との接続を遮断するなどという方針を打ち出す可能性が有る。多分、日本政府にも同様の対応を求める可能性が高いので、こうなるとソフトバンクはパニックです。
仮にファーウェイ製の基地局危機の使用を中止した場合、送受信できるデータ量が大きく制約されるでしょうから、通信障害が発生したり、通信速度が遅くなる。こうなると顧客一気にソフトバンク離れを起こします。
運悪く、12月19日にソフトバンクの通信会社の株式上場が予定されていますが、先の通信障害と、ファーウェイ製の基地局の問題がクローズアップされると株価は予想外に下がる可能性が有る。
「まさか日本政府がソフトバンク潰す事は無かろう」と考える人が多いと思いますが、アメリカの圧力に安倍政権は一切NOと言えません。ソフトバンクの抱えるリスクは過小評価できないのです。
■ 日本国内の通信事業の利益を海外に投資して拡大したソフトバンク ■
私は孫社長に個人的な恨みは有りませんし、経営者としての手腕は尊敬に値すると思っています。一方で、国内の通信事業で稼いだ利益を海外に投資する経営には疑問を持っています。
政府は携帯電話の通信料金を下げる様に要請し始める様ですが、これまで国内携帯大手の3社は市場を独占していましたので、料金を高く維持していました。結果、国民は高い携帯電話の通信料金を支払っていた訳ですが、その資金が国内での事業拡大に投資されるのであれば問題は少ない。
一方、ソフトバンクは国内の利益をスプリント社の赤字の穴埋めに使ったり、海外の大型投資や買収に使っていましたから同義的な問題が有ります。本来は利益は利用者に還元されるべきで、通信料を下げないのであれば、国内の通信の質の向上に投資するべきです。
■ 株価下落で一気に経営が悪化するソフトバンク ■
米国株価はどうやらピークアウトした様で、これからは荒い値動きで徐々に値を下げて行くでしょう。日本株もそれに連動します。
米株高を支えていたApple、Google、Facebook、Amazon(AGFA)の株価は明らかに高すぎましたので、これらの株価の下落に市場は引っ張られるでしょう。日本ではソフトバンクとファーストリテーリングが株価の牽引役でしたが、ソフトバンクはヤバそうな気配が漂います。
さらにソフトバンクはIT企業を中心の大規模な投資をしていましたから、世界的なIT株の下落が起これば損失が発生する。
こうなると国内の通信事業で稼いで世界に投資するビジネス戦略が根底から崩れます。さらに国内の通信事業も通信料の値下げの圧力に晒され、収益はさらに悪化します。
■ 15兆円の巨大な有利子負債に耐えられなくなる ■
ソフトバンクの有利子負債が巨大な事は以前から問題視されていましたが、通信事業による巨大な収益が有る限り経営に問題は無いと考えられていました。
ソフトバンクは個人向け社債の発行で資金調達もしていますが、これらの社債は金利の低い日本では人気商品でした。誰も5年後にソフトバンクが倒産するとは考えません。
しかし、株高と高額な通信料金という利益の基盤が崩れれば、巨大な利息が経営を一気に圧迫します。その気配が見えた時点でソフトバンクの株は暴落します。
ソフトバンクの個人向け社債は劣後債ですから、仮にソフトバンクにもしもの事があれば、社債は償還されないハズです。要は紙切れになる。
■ 現代の政商の最後 ■
孫社長は震災後に太陽光ビジネスを政府に持ち掛けたり、サウジアラビアの王族とつるんでファンドを立ち上げたりと、「現代の政商」とも言える人物ですが、はたして、迫りくる危機から脱する事は出来るでしょうか?
日本ではカリスマ経営者の孫社長も、アメリカでは足元を見られている気がしてなりません。株価の下落が本格化すると、お荷物のスプリント社を売却するタイミングも逸します。いえ、既に遅すぎるか・・・。
「ソフトバンクの株も社債も持っていないし、携帯もソフトバンクじゃないから関係無い」・・・そういうアナタは要注意。金融機関はあまりに巨額な資金をソフトバンクに融資しています。メインバンクはみずほ銀行ですね。