市川昆監督による遺書は、なんと心優しい愛の物語であろうか。
齢90を越えてなお、第1線に立ち、現役で活躍し続ける文字通り日本映画界を代表する巨匠は、その輝かしいキャリアのたぶん最後を飾ることになってもおかしくない今回の最新作として、敢えて『犬神家の一族』を選んだ。これは、自身が30年前に作り上げたあの名作の完璧なリメイクである。
今から30年前、日本映画は瀕死の状態にあった。もう日本映画 . . . 本文を読む
『王の男』の感動から5分後にはもう、この映画を見ている。忙しいことだ。同じく韓国映画だが、こういうタイプのテクニックを駆使して、ソフィスティケートされた人間ドラマを作らせると韓国映画は、なぜかよく失敗する。もちろん韓国映画だからとは言わないが、今公開中の『サッドムービー』然りである。こういう群集劇は先日亡くなったロバート・アルトマンの得意とするところだが、若いミン・ギュドン監督はあまりに観客への . . . 本文を読む
二人の旅芸人の自由への逃避行が描かれる。自由を求めて、座長まで殺し、逃げ出してきたのに、気付けばまた、元の檻の中に入っている。宮廷に閉じ込められて、身動きがとれない。同じ事の繰り返しだ。どこに行っても本当の自由なんてものはない。
時の権力者である王のもとで、宮廷芸人として取り立てて貰うが、そんなことは幸福でも何でもない。豊かな食事を与えられても綺麗な衣服を与えられても、それが自由ではない。 . . . 本文を読む