昨年来のアメリカの圧倒的な3D映画の量産体制の中、これは日本映画として唯一作られた本格長編3D映画である。でも、昨年の秋、興行的には惨敗を喫した。『呪怨』の清水崇監督によるミステリー・ホラーなのだから、それだけでも成功しそうなものだったのだが。
DVD盤は3Dではないが、この映画のねらいは充分に伝わる。『アバター』と同じように飛び出す方ほうはなく、奥行きを重視した作りになっている。ストーリー . . . 本文を読む
誰もが知っている芥川龍之介の短編小説を原作にした映画なのだが、あの小説をそのまま映画化したなら上映時間は30分以上のものにはならないはずだ。そこでこの映画はあの小説の描くエピソードを作品の核に据えて、全く別の大きな物語を新たに作り出す。
2人の少年と母親の成長物語である。しかも、舞台は台湾だ。時代も現代に変更される。台湾から日本に留学してきた男がそのまま日本で結婚し、2人の子供も授かった。だ . . . 本文を読む
キム・テギュン監督は重々しい社会派映画のタッチではなく、痛快な娯楽アクション・
メロドラマ(要するに〈通俗〉ということだ)として、この脱北者を扱った映画を作る。ハラハラドキドキして、最後には泣かせて、そんな中でこのとんでもない現実(この話はもちろん事実をベースにして構成されてある)をきちんとリアルに伝える。
収容所のシーンなんてこれが現代の話とはとても思えない凄まじさだ。北朝鮮という国の実情 . . . 本文を読む