キム・テギュン監督は重々しい社会派映画のタッチではなく、痛快な娯楽アクション・
メロドラマ(要するに〈通俗〉ということだ)として、この脱北者を扱った映画を作る。ハラハラドキドキして、最後には泣かせて、そんな中でこのとんでもない現実(この話はもちろん事実をベースにして構成されてある)をきちんとリアルに伝える。
収容所のシーンなんてこれが現代の話とはとても思えない凄まじさだ。北朝鮮という国の実情がしっかり伝わってくる。もちろんこの映画で描かれたことをそのまま鵜呑みにするつもりはないけど、ここには恣意的な誇張はないはずである。中国の立場もかなりリアルに捉えられてある。
少年がモンゴルとの国境を越えてからのシーンがあまりに悲惨で痛ましく見ていられない。ここまで来たのに、こんなところで死んでいくことになるなんて。もう少しなんとか出来なかったものだろうか。中国人の脱北者の援助をする人たちの立場とか、彼らの対応も含めて、話自体はかなり良くできている。だが、どうしても「作ったお話」の限界があり、映画はよくあるパターンのドラマでしかないことは否定できまい。
チャ・インピョが、中国に入ってから、さらには韓国に行くとするまでの驚きの連続も予想される範囲内でのドラマだが、彼がそこで受けた驚き、カルチャー・ショックはしっかり伝わってくる。この父親のドラマと息子のドラマが並行し、この感動のドラマは作られる。本当に通俗的な映画だ。だが、それだからこそこの映画が訴える問題はとてもストレートに僕たちの胸に届くのかもしれない。こういう映画もこの世の中には必要だと思う。ひとりでもたくさんの人たちに見てもらいたい作品である。
メロドラマ(要するに〈通俗〉ということだ)として、この脱北者を扱った映画を作る。ハラハラドキドキして、最後には泣かせて、そんな中でこのとんでもない現実(この話はもちろん事実をベースにして構成されてある)をきちんとリアルに伝える。
収容所のシーンなんてこれが現代の話とはとても思えない凄まじさだ。北朝鮮という国の実情がしっかり伝わってくる。もちろんこの映画で描かれたことをそのまま鵜呑みにするつもりはないけど、ここには恣意的な誇張はないはずである。中国の立場もかなりリアルに捉えられてある。
少年がモンゴルとの国境を越えてからのシーンがあまりに悲惨で痛ましく見ていられない。ここまで来たのに、こんなところで死んでいくことになるなんて。もう少しなんとか出来なかったものだろうか。中国人の脱北者の援助をする人たちの立場とか、彼らの対応も含めて、話自体はかなり良くできている。だが、どうしても「作ったお話」の限界があり、映画はよくあるパターンのドラマでしかないことは否定できまい。
チャ・インピョが、中国に入ってから、さらには韓国に行くとするまでの驚きの連続も予想される範囲内でのドラマだが、彼がそこで受けた驚き、カルチャー・ショックはしっかり伝わってくる。この父親のドラマと息子のドラマが並行し、この感動のドラマは作られる。本当に通俗的な映画だ。だが、それだからこそこの映画が訴える問題はとてもストレートに僕たちの胸に届くのかもしれない。こういう映画もこの世の中には必要だと思う。ひとりでもたくさんの人たちに見てもらいたい作品である。