力の籠もった大作である。ダブルキャスト(全員がそうなっている!)2ヴァージョンで描く劇団大阪渾身の力作『フオルモサ!』は、日本の統治下の台湾を舞台にして、日本が初めて手に入れた外地の植民地をどう支配するかが描かれる。そこに暮らすたくさんの山岳民族を平定し、彼らに快適な文明を与えるという使命感が、現実の武力行使による支配の中で描かれる。
だがそれを重々しい歴史劇としてではなく、ひとりの偏屈な民 . . . 本文を読む
3年連続、3度目のトライアウトである。A級MissingLinkが、このスタイルを取り始めてから、今まで以上に彼らの作品を見る楽しみが増してきた。それはただ単純に同じ作品が期間を開けて2回見られるということだけではない。試演会で提示されたものが、どんな形で進化を遂げ、どれくらい別の作品に仕上がっていくのかが、赤裸々に目撃できるからである。そのことが、こんなにもうれしい。2作品はいつも全く別の顔を . . . 本文を読む
『流跡』を読んだとき、こういうのは嫌い、と思ったけど、同じタッチなのに、今回のこの芥川賞受賞作品は、そのベースとなるお話自体の魅力もあり、それなりにおもしろく読めた。彼女の突き放したような文体も今回は嫌いではなかった。だが、読みにくいのは前回通りだし、ここから伝えた気ことも明確ではない。
15歳の永遠子と7歳の少女であった貴子が、25年の歳月を経て再会し、かつて一緒に夏を過ごした葉山の別荘に . . . 本文を読む