『流跡』を読んだとき、こういうのは嫌い、と思ったけど、同じタッチなのに、今回のこの芥川賞受賞作品は、そのベースとなるお話自体の魅力もあり、それなりにおもしろく読めた。彼女の突き放したような文体も今回は嫌いではなかった。だが、読みにくいのは前回通りだし、ここから伝えた気ことも明確ではない。
15歳の永遠子と7歳の少女であった貴子が、25年の歳月を経て再会し、かつて一緒に夏を過ごした葉山の別荘に行く。そこの処分を任されたためである。25年を経て今では充分大人になった彼女たちが、思い出の場所で、再会し過ごすほんの数日間。もちろん特別なドラマは一切ない。あまりに淡々とし過ぎていて、そのそっけなさが鼻につくくらいだ。まぁ、子供の頃ほんのちょっと知っていただけで、あれから25年まるで交流がなかったのである。相手の顔すら覚えてないし、面影もうつろだ。そんな2人にぎこちなさがあって当たり前であろう。へんな感傷もなく、事務的に作業をこなす2人の時間。今の彼女たちがあの頃を思い出しながら、2つの時間を自由自在に行き来する。
夢を見ない貴子(キコ)と夢ばかり見る永遠子(トワコ)。対照的な2人の女性のほんのちょっとした接点。忘れていた何でもない時間が今甦ってくる。それをあくまでもさりげなさを崩すことなくラストまで一息に見せてくれる。
15歳の永遠子と7歳の少女であった貴子が、25年の歳月を経て再会し、かつて一緒に夏を過ごした葉山の別荘に行く。そこの処分を任されたためである。25年を経て今では充分大人になった彼女たちが、思い出の場所で、再会し過ごすほんの数日間。もちろん特別なドラマは一切ない。あまりに淡々とし過ぎていて、そのそっけなさが鼻につくくらいだ。まぁ、子供の頃ほんのちょっと知っていただけで、あれから25年まるで交流がなかったのである。相手の顔すら覚えてないし、面影もうつろだ。そんな2人にぎこちなさがあって当たり前であろう。へんな感傷もなく、事務的に作業をこなす2人の時間。今の彼女たちがあの頃を思い出しながら、2つの時間を自由自在に行き来する。
夢を見ない貴子(キコ)と夢ばかり見る永遠子(トワコ)。対照的な2人の女性のほんのちょっとした接点。忘れていた何でもない時間が今甦ってくる。それをあくまでもさりげなさを崩すことなくラストまで一息に見せてくれる。