小寺さんはただただ登るだけ。ボルダリングに打ち込む彼女を、映画はただただ見守るだけ。彼女がなぜここまで登ることに囚われるのか、説明は一切ない。そんな彼女の姿から目が離せなくなるのは、同じように体育館でクラブ活動をしている卓球部の男の子、近藤だ。彼は彼女を目で追う。恋心ではない。ただただ彼女の姿が気になるのだ。登る姿が、である。登る彼女から目が離せない。ストーカーではないから、彼女に終始付きまとい、 . . . 本文を読む
こんなにも嫌な母親なのに、子供たちは彼女を慕う。映画を見ながらどんどん気分が滅入っていく。こんな嫌な映画を見てしまった自分を恨むしかない。見るのをやめようか、と思うくらいに嫌な話なのだ。でも、スクリーンに釘付けされる。一瞬も目が離せない。彼らの人生に付き合ううちに際限なく見ている僕たちも落ち込むことになる。ここには未来はない。ただ落ちていくだけ。しかも、それを何とかして食い止めようともしない。こん . . . 本文を読む