これこそ演劇だ。こういう緊張感が持続可能な表現が、小劇場演劇の魅力だろう。たっとふたりの役者たちが真正面から向き合いぶつかりあう。90分間、彼らはずっとバトルを繰り広げる。実際殴り合うシーンもある。肉体と肉体はぶつかり合い、骨が削られ軋む。緊張が持続する。弾ける。息苦しい。だから、途中で換気休憩が入るのにはほっとさせられる。これはそれくらいにキツイ芝居だ。だから、素晴らしい。そうすることで、彼らが . . . 本文を読む
凄い力作だ。石川慶監督の第3作。今回も驚きの作品を見せてくれた。2時間少しの時間が永遠に思えるほど密度が濃い。主人公の135年の生涯が基本、時系列で描かれていく。17歳の彼女(芳根京子)が海で手を伸ばし空を見つめるシーンから始まり、同じ姿で海にたたずむ135歳の彼女(倍賞千恵子)の姿がもう一度ラストでも描かれる。SF映画に分類されるだろうけど、ジャンル映画ではない。これは命の尊厳に挑む作品だ。SF . . . 本文を読む
6つの短編からなる作品集なのだが、すべてのエピソードが暗くて重い。いずれの作品もほぼふたりの主人公をどんどん追い詰めていく。息苦しい。彼らが出会い、(再会し)自分たちを見つめなおし、どこにたどり着くのかが描かれる。総合タイトル通りの「小さな世界」から抜け出せるか否か、だ。
独立した短編集だが1話と最後の6話がリンクする。そうすることで一応完結するという作りになっている。もちろん、大事なことはそこ . . . 本文を読む
6月も終わりのこの時期にようやく公開された三木孝浩監督の新作。ハインラインの傑作小説の映画化である。青春映画の騎手である彼にとっては初めてのSF映画になる。従来のパターンとは一線を画す『フォルトゥナの瞳』が少し残念な出来だったので、そのリベンジでもある本作がどんな作品に仕上がったのかとても気になっていたから2月の公開を楽しみにしていたのにコロナのせいでここまで延期が続いた。もう今年の夏に間に合わな . . . 本文を読む