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映画・演劇のレビュー

劇団大阪『空蝉が鳴いている』

2022-11-13 14:27:15 | 演劇
劇団創立50周年記念公演として、前回の「50周年記念戯曲募集作品」1位入選作品に続いて2位になったこの作品を上演する。なんだかそれって凄い。ふつう最優秀賞の作品が上演されるというのは当然のこととしてわかるが、2位作品を上演するなんていうのは破格の扱いだろう。そして出来上がった作品なのだが、前回の『医者の玉子』に劣らずこれも力のこもった作品になっていた。 今回、98歳の老婆を演じた名取由美子が素晴 . . . 本文を読む
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演劇集団よろずや『王征路』

2022-11-13 12:29:10 | 演劇
『王征路』という大きなタイトルが作り手の気合を感じさせる。寺田夢酔が「結成26年目にして初のシェイクスピア作品」に挑んだ大作がこの作品である。 昨年の『青眉の人』は素晴らしかった。これまでも何度となく見ている作品だが5年ぶりの再演となった完全版の完成度の高さには目を見張らされた。寺田さんは自分の作品を大切にして何度となく再演をくりかえす。そのたびに作品は新しく生まれる。大幅な改訂を加えることもあ . . . 本文を読む
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あうん堂『どうじゃろ いくまぁ』

2022-11-13 11:53:22 | 演劇
3年8か月ぶりの新作上演となるらしい。確かにそれくらいになるだろう。久々に見るあうん堂の芝居は胸に泌みた。ストレートでなんの気負いもない。自然体。さらりとした感触。そこには老人がこれから先、ひとりで生きていくことの寂しさがある。だけど、彼はそれに気づかないふりをしてそこにいる。静かな午後の日差しのようなお芝居だった。 杉山寿弥のたたずまいが素敵だ。老人を演じつつもそこには無理がない。演出の杉山晴 . . . 本文を読む
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岩井圭也『付き添うひと』

2022-11-13 11:24:59 | その他
いつもながらたまたま、だ。でもどこかで、なぜかつながる。これもまた昨日の『僕らはまだ、少し期待している』に続いて子供の虐待を巡る話。5話からなる短編連作スタイルの長編。5つの話を通して描かれるのは40歳になる弁護士、オボロの成長物語。少年犯罪の付添人弁護士としての彼の仕事を通して、彼自身が自分の過去と向き合い乗り越えていく姿が描かれていく。オボロは犯罪を犯した(巻き込まれた)少年少女を守り戦う。子 . . . 本文を読む
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木地雅映子『僕らはまだ、少し期待している』

2022-11-13 10:53:37 | その他
このタイトルは凄いと思った。「僕らはもう、ほとんど期待していない」ということの裏返しだ。そしてそこに込められたほんの少し残った希望。それにすがりつこうとする。いや、彼らはもうほぼ絶望しているのかもしれない。なのに、死なずに生きている。誰にも頼れない。なのに、誰かに頼ろうとしている。木地雅映子の小説を読むのはこれが初めてだが、このタッチはふつうじゃないなと思った。こんな不思議な感触の小説は初めてだ。 . . . 本文を読む
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