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映画・演劇のレビュー

『ゴーストバスターズ アフターライフ』

2022-10-07 11:14:28 | 映画

昨年の劇場公開時には見逃してしまった映画だ。大作映画なので大きなスクリーンで見ようと思っていたら、最初から小さなスクリーンでの上映で、なんだかがっかりして気がつくと上映が終わっていた。あんなに大ヒットした映画の30年ぶりになる続編なのに、今ではもう時代遅れの映画になったのだろうか。『トップガン』とはケースが違うけど、なんだか寂しい。

84年最大の大ヒット映画の続編を監督だったアイバン・ライトマンの息子である『JUNO ジュノ』のジェイソン・ライトマンが作る。映画はなかなかよく出来ていて今これをあえて作ろうとした意気込みは確かに感じた。それだけにこの扱いは悔しいではないか。今回プロデューサーを父が手掛ける。あれから30年近く経った今、今回の舞台は華やかなNYではなく、田舎になる。そこにあのゴーストたちが再び現れる。

前作はゴーストたちがニューヨークで暴れるのを3人のゴースト・バスターズたちが退治するコメディ娯楽活劇だった。たわいない映画だが、当時ファミリーピクチャーとして喝采を浴びた。大ヒットしたので当然のように第2作も作られた。80年代一世を風靡した華やかな大作映画である。だが、その続編であるこの作品はとても地味で、暗いタッチを貫く。でも、重い映画ではない。前2作同様娯楽活劇だし、ちゃんとファミリーピクチャーだ。前作の主人公の一人であったハロルド・ライミスの孫たちが活躍する。だから一見するとこれは前作以上にお子さま映画のスタイルを踏むのだ。なのに、映画は暗くて重い。(お話自体は重くはないけど、見たときの印象が重い感じ)楽しくて軽くて笑えるという映画ではない。それはこの作品がジェイソン・ライトマン監督の映画だからだ。これは父親の偉大な映画へのリスペクトであると同時に自分の映画と父の映画との違いを明らかにした作品でもある。コメディではなく少女の成長物語だ。祖父のDNAを受け継いだ女の子がおじいちゃんとはどういう人だったのかを知るまでのお話で、アクション映画ではなく青春映画なのだ。人間をきちんと描くことを信条とするジェイソンらしい作品なのである。

もちろんそれほど凄い映画だとは思わないし、(だいたい前作自体もたいした映画ではないし)後半なんか長すぎる。だけど、見ていてなんだか幸せな気分にさせられる作品だ。前2作の3人(ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、そして黒人の人)もちゃんと登場して子どもたちを助ける。なんと死んでしまったハロルド・ライミスまでもが出る。死んだおじいちゃんとしてお話には最初から出てくるけど、終盤ではなんと実際にも(CGで)登場する。

女性たちによるリブート版も含めると3作あるが、こんなにもタッチが違うのに今回は最初の2作品の正統的な続編というスタイルをとる。ミニチュアマシュマロマンも登場するのはご愛敬。だが驚きはなんとラストクレジットの後でシガニー・ウィーバーまでちゃんと登場するのだ。いやぁ、それってすごすぎる。

これはまるで違う印象を持つけど、確かにあの作品の続編だと思わせてくれる納得の映画だ。こんな親子の共同作業なんて泣けるではないか。


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