なんと「連合赤軍」を描く。作、演出の中川真一はこの大胆な挑戦に真正面から挑んだ。これは革命についてのレクイエムなのか。それとも、新たな革命への黎明なのか。彼が何を感じ、考え、この素材に今、挑んだのか、それが知りたいと思い、劇場に向かう。だが、なかなかそこが見えてこない。渾身の力作であることは、わかる。しかし、今、これを作る意味が見えない以上、そこには何の意味もない。(少なくとも、僕には)
なぜ、連合赤軍だったのか。若い彼がここにどんな理想を見たか、そこにある挫折をどう受けとめるか。そこから何を引き出すのか。よど号事件の後、あさま山荘に至るまで。リンチ、粛清、内紛、革命の理想が瓦解していく。どこにポイントを置いたのかすら、見えてこない。主人公はいつものように松原佑次が演じる。彼の遠藤隆三郎を視点にして、榛名ベースでの処刑が描かれるのだが、どうにも図式的で、弾まない。
事実に縛られ過ぎたのではないか。実名で描くとどうしてもそうなる。永田洋子と森恒夫の対立を軸にしてお話が展開するのだが、そこに遠藤がうまく嵌らないのが、気になる。結局はストーリーの表層を舐めただけのお話になった。90分という上演時間は実にいいし、最初からそこは譲らないという取り組みの姿勢はいい。そうすると、壮大なお話ではなく、ピンポイントにならざる得ない。
そんなことは中川さんだって重々承知の上だ。なのに、あれもこれもと盛り込みすぎた。そのくせ、大事なものは、描ききれない。今までの二月病の芝居は、もっと混沌としていたし、それを受け入れていた。わからないまま、わからない怒りを作品にぶつけてきた。なのに、今回は変にわかったふりをしている、そんな気がする。それは僕には作者の遠慮に見える。実話をもとにしても、これはあなたの作品なのだからもっと自由にすればいい。
誰もがたどり着く視点ではなく、
僕である必要。僕である責任を重く受け止めます。遊劇舞台二月病は成長を続けます。
今後とも何卒よろしくお願いします。