監督は『ハケンアニメ!』の吉野耕平。まだキャリアも浅い若手監督にこれだけの大作映画を任せるのは冒険だ。このプロデューサーの大英断を支持したい。だいたいこの企画自体がそれだけで大冒険なのだけど。
出来上がった映画は期待通りの出来で満足した。いきなりのラストもあれはあれでいい。その先は観客の想像に任せる。
2時間以内という上映時間に収めたのもいい。ムダはなく、スリム。だけど、見せるべきところはしっかり見せてくれる。だからあそこで終わるのだ。独立国大和は日本と軍事同盟を結ぶ、と宣言するラストはひとつの確かな映画としての決着になっている。
この作品で、どこまで描くのかの判断は難しい。ダイジェストにはしたくないから、ポイントをしっかり絞り込む。風呂敷を広げすぎない。だが、スケールは大きくなくてはならない。いろいろ難しい問題が山盛りある。
潜水艦内という閉ざされた空間が舞台となるけど、スケールの大きな映画でなくてはならない。潜水艦によるバトルや政治的な問題が全面に出る。
手に汗握るバトルも見どころだが、基本的には地味な密室劇。だいたい主人公の大沢たかおは、ほぼ全編直立不動で動かない。だが悲壮感はなく、確かな信念のもと、クルーと足並みを揃えてこの戦いに挑む。潔さと確信がドラマを推し進める。見事な作品である。