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これは(巷では)ルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作だ。そんな映画となんと約45年振りに再見する機会を得た。あれは高校1年の時だ。(たぶん) 昔心斎橋にあった名画座、戎橋劇場で見た。(はずだ) でも、もしかしたら大毎地下だったかもしれない。記憶はあいまいだ。覚えているのは実に退屈な映画だった、ということ。それだけ。当時はまだ子供だったから理解できなかったのかもしれない。だから、(もしかしたら)今見たならこれは凄いのかも、(というか、そういう確信を抱いて)と思って、たまたま今日BSプレミアムでしていたから見てしまった。
今ちゃんと大人になって再見したら、やはりヘボい映画だった。当時の僕の感想(感性)は正しかったのだとわかった。安心した。というか、この映画のどこがそんなに凄いというのだろうか。不思議だ。
なんなんだろう、このわけのわからない長回し。美少年に向けたまなざし。繰り返しのズームアップ。なんじゃあれは、と唖然とするばかり。セリフないし、話もないし、雰囲気だけで延々と同じパターンを見せてくれるから、ガッカリする。イタリアで感染が広がっていたコロナ禍の時、コレラ禍のイタリアを舞台にしたこの映画はタイムリーだったのだろうか。今見たら、なんか少し間抜けに見えてくる。ビスコンティの名作に失礼だと思うけど、そんなことを思いながら見ていた。2時間12分の無駄使い。たまにこういうことがあるから、映画は面白い。歴史的名作といわれる映画でも僕にはまるで響かない映画もある、という話だ。
もちろんヴィスコンティの映画には好きな作品も多数ある。『家族の肖像』を見たときには感動したし、『若者のすべて』も『異邦人』も好きだ。