習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

あみゅーず・とらいあんぐる『F・I・G・H・T ~いつも一緒に~ リーディング』

2020-11-18 21:43:24 | 演劇

ここ数年ずっと夏のリーディング公演と秋の本公演の2本立を続けてきたあみゅーずだが、今年の秋は再びリーディングになった。でも、そこはあみゅーずだ。変わることなく、いつもの自分たちの世界を体現する。もともとリーディングと本公演の垣根は低い。3話からなるオムニバススタイルはいつも通りだし、75分という上演時間も、そうである。今回の4本には共通項は用意していない。でも、1本ずつのそれぞれが作り手のお気に入りなのだな、ということがよくわかる。演じていて、楽しそうだし、面白い作品ばかりだ。リーディングだから簡単な作りでいい、と言う安易さとはほど遠い。実に丁寧に考えられてある。テキストを重視するのではなく、会話部分を中心にして限りなく芝居に近い作りにしながら、でも、リーディングであることも大事にする。いつもながらそのバランス感覚は最高だ。

 

オープニングの短編も含めて4本。基本は2人芝居。男女のラブストーリー。ブラックな作品も含めてバラエティに富んだラインナップ。特に最後の『夢笛』が、しっとりしていて、あみゅーずらしくて、いい。昭和の薫り漂う田辺聖子作品。好き合っていた男と女が再会から、紆余曲折を経て結ばれるまでを描く。

 

自分たちの世界を丁寧に紡ぎ上げていく。物語るということを大切にして、同時に演劇として構成されている。今できることをちゃんと楽しみながら、観客に伝える。見ているだけで元気になれるそんな作品だ。

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 有川ひろ『イマジン?』 | トップ | 『わたしは光をにぎっている』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。