久しぶりに楽しい小説を読んだ。400ページに及ぶ作品だけど、読みやすくてあっという間の出来事だった。映像産業に携わる夢を抱きながら、燻っていた青年がひょんなことから制作プロダクションに拾われて、映画やドラマの現場に就く。
彼が全力で夢を叶えるために走り抜けていく姿が心地よい。というか、まさかの夢の世界(映像業界)に入り込んで、そこで生きることが出来るのだ。諦めていた好きなことが出来る喜び。もちろん大変なことの連続で,日々てんやわんやだけど、好きのためだから、構わない。なんだか、羨ましい。今の嫌いなことばかりしている自分と対称的だ。しかも、僕は以前はあんなにも好きだったことを、今もしているというのに。いろんなことが重なり、自信をなくしている。しかも、やる気もなくしている。そんな情けない自分にはこの小説の主人公は眩しい。
僕もドラマや映画の仕事をしたいと、高校生の頃、夢見ていた。でも、その夢を実現することが出来ないまま、今の仕事に就いた。でも、この仕事が好きだった。人と関わることが好きで、人を応援することが自分の仕事だと思っていた。でも、今はもう自信がない。どうしてこんなにもつまらない人間になってしまったのか、想像を絶する。
この小説を読んで少し元気になれた気がする。がむしゃらに突き進む。20代だから出来るなんて言いたくない。60代だって大丈夫だと思いたい。そう思えるだけの元気をこの小説は与えてくれる。いろいろ大変なことばかりだけど、いつまでも凹んでいる場合ではない。