ミン・ギュドンの『アンティーク 西洋骨董菓子店』が目指すべきものは、よしながふみのコミックの映画化ではなく、この小説の映画化だったのではないか。あの映画のタッチでこの小説を描いたなら、かなりのものになったかもしれないなんて夢想した。
「文芸史上初の読むスイーツ」と帯に書かれたこの素敵な小説は、一瞬で消えていくものの、儚いからこそ最高だと言える瞬間を描く。美しさと切なさを絶妙のブレンド見せる。次々に登場する素晴らしいお菓子、ケーキの数々を味わいつつ、天才パティシェ柳原と、彼のもとで働く2人の見習いパティシェ近藤と晴香を中心にした彼らの毎日が、「夢のようなお仕事」の日々として描かれていくこととなる。なんだかありきたりだが、そこがいい。この小説の緩さが好きだ。こういういかにも、なお話は心地よく騙されたならいい。適度なリアリティーと、後は心地よさ。それだけで成功なのだ。
おいしいものを心をこめて作り、みんなを幸せにするという最高の仕事の現場にいて、いろんなことを見て、感じて、成長していくケーキ大好き少女晴香のパティシェ修業を、時のはユーモラスに、時には切なく綴る。短編連作というスタイルもこの小説にぴったりだし、これはTVドラマとか、映画に似合う。『アンティーク』はちょうっとダークな話が底に流れていて、後半全体のバランスを崩していくのだが(そこがよしながさんの魅力なのだが、それは映画やTVにはしにくい)これはもっと自然で、話としても緩いタッチになっている。オーナーの紅子と彼女の取り巻きの人たちというサブキャラクターもとてもTVドラマ的だ。
突然のパーティーと閉店、そして、みんなが、それぞれに旅立つ予感を描くラストの処理もすばらしい。ちょっと寂しいけど、適度なほろ苦さで読後感もいい。
「文芸史上初の読むスイーツ」と帯に書かれたこの素敵な小説は、一瞬で消えていくものの、儚いからこそ最高だと言える瞬間を描く。美しさと切なさを絶妙のブレンド見せる。次々に登場する素晴らしいお菓子、ケーキの数々を味わいつつ、天才パティシェ柳原と、彼のもとで働く2人の見習いパティシェ近藤と晴香を中心にした彼らの毎日が、「夢のようなお仕事」の日々として描かれていくこととなる。なんだかありきたりだが、そこがいい。この小説の緩さが好きだ。こういういかにも、なお話は心地よく騙されたならいい。適度なリアリティーと、後は心地よさ。それだけで成功なのだ。
おいしいものを心をこめて作り、みんなを幸せにするという最高の仕事の現場にいて、いろんなことを見て、感じて、成長していくケーキ大好き少女晴香のパティシェ修業を、時のはユーモラスに、時には切なく綴る。短編連作というスタイルもこの小説にぴったりだし、これはTVドラマとか、映画に似合う。『アンティーク』はちょうっとダークな話が底に流れていて、後半全体のバランスを崩していくのだが(そこがよしながさんの魅力なのだが、それは映画やTVにはしにくい)これはもっと自然で、話としても緩いタッチになっている。オーナーの紅子と彼女の取り巻きの人たちというサブキャラクターもとてもTVドラマ的だ。
突然のパーティーと閉店、そして、みんなが、それぞれに旅立つ予感を描くラストの処理もすばらしい。ちょっと寂しいけど、適度なほろ苦さで読後感もいい。
調べてみたら、「束縛を嫌う真っ直ぐな性癖」との評が。
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だからこそ書けるんでしょうね。
ちょっと驚いたのが、恋愛がニガテみたい。
でも、恋愛小説書けるってのがスバラシイ。
ラストの部分は束縛嫌いが影響してる・・・。