偶然見ることになったのだが、これがなかなかいい映画だった。なんと監督は『第九地区』のニール・ブロムカンプだ。(脚本は『アメリカン・スナイパー』などのジェイソン・ホール)彼の映画だと知っていたなら、最初から見る映画リストに入れていた。チラシを見ると監督名はどこにも書いてなかった。(後でしっかり見たら裏に目立たないように書かれてあったが)それにも驚いた。敢えて隠していたのか。じゃぁその意図はなんだ?
これはゲーマー(日本発のプレイステーションの人気ゲーム「グランツーリスモ」の名人)がプロのレーサーになる話。しかもそれは実話だ。あり得ないことがあり得る。その事実だけで驚きだ。これはそんな奇跡が凄い迫力でリアルに描かれる大作映画だ。
彼は引きこもりのゲームおたくだが、レーシングゲームのプロだ。仮想空間とリアルではまるで違うはずなのに、ゲームがリアルになり、現実をほぼ完璧に再現した時、そのゲームの勝者は現実世界でも通用するのではないか。そんな壮大な妄想を実際に試してみる。このプロジェクトを実現し、そこから花形レーサーを生み出すという発想がすごい。
もともとレーサー志望だった彼はゲームとリアルの壁を突き破る。ラストではなんと彼のチームはルマンに挑む。ハッピーエンドはわかっているけど、しっかりとドキドキさせてくれる。レースシーンは迫力の映像だ。彼がゲーマーだったとかいうことなんて途中からどうでもよくなる。数あるレーシング映画の秀作の1本に数え上げられる、これはそんな作品である。
余談だが、この映画をシアタス心斎橋で見た。劇場自体は小さいけど、最前列の中央のコンフォートシートで見たからなんだか自分もレーサー気分で迫力満点だった。寝そべりながら鑑賞できるのだが、その環境はこの映画にぴったり。コックピットの中で体験している気分。