昨日『二周目の恋』を読み終えたが、その最後のエピソードが窪美澄だった。海辺の別荘を舞台にした女同士の恋愛小説。その延長というわけじゃないけど、彼女の最新短編集を続けて読む。
同じように心に沁みる。町の片隅でひっそりと生きる孤独な人たちがそこには描かれる。女子校の数学教師。50代の主婦。いずれも何の夢もなく生きているだけ。3つ目は再会したふたりの恋。さらには虐めに遭う中学生、ここに移り住んできた30代の男女の話が続く。5つの物語はいづれもがそれぞれが心に抱える闇と向き合う物語だ。
古ぼけた団地。子供たちは大人になりここを出ていき、今では老人ばかりが住む。空き部屋に若い人たちが少しずつ入居してきてはいる。だが寂れて町。この町で生まれ育って、ここを出ていく。わずかに残った人もいる。そんな子供たちの55歳の同窓会がベースとなる。集まった昔のクラスメイト。今ではもうくたびれた中年。いや、初老というべきか。
昔からある池には幽霊が棲むという。あり得ないことを信じてしまう。心の闇とリンクする。読んでいてあまりいい気分はしないけど、なんとなく心惹かれてしまう短編連作。