とても暗い映画だ。よくもまぁ、こんな題材にTV局(フジテレビが中心になっている)がお金を出したものだ。『踊る大捜査線』シリーズの脚本を書き、『容疑者 室井慎次』(これも暗い映画だった)を監督した君塚良一だからGOが出たのだろうがなかなか大胆な投資である。この手の映画がヒットするかはかなり難しい。宣伝も困難だ。だが、映画はとてもよく出来ている。こういう企画を見事に売り込めたならTVが製作する映画も信用できるようになるのだが。
ただ、マスコミの描き方がなんだか大袈裟すぎて、いくらなんでもここまで酷いはずはないだろう、と思ってしまったのだが如何なものか。
カーチェイスのシーンなんて容疑者の妹の乗る車をあそこまで執拗に追いかけるだろうか、と疑問に思う。(あれって、もし追跡中事故を起こしたらどうするのだろうか。)派手な追っかけは映画のリアリティーを削いでしまう。ネットでの書き込みのエスカレートも、確かにああいうのはあるだろうとは、思うが、少女を誘拐し彼女の姿をネット上でライブ公開するなんてやりすぎだろう。あれじゃぁ、犯罪だ。しかも、刑事に暴行までしている。いくら面白がってるだけとはいえ、あそこまでするのか?全体的にはリアルだし、見ていて怖いな、と思わされる映画だが、それらのシーンが誇張に見えるのはどうだかなぁ、と思う。ここで描かれていることは確かな現実だ、というのなら、反論なんかしないが、見ていてリアルに思えないのは事実なのだ。見せ方にも問題があるのではないか。
殺人犯の妹(志田未来)と、彼女を保護する任務を与えられた刑事(佐藤浩市)。彼ら2人がマスコミや周囲の悪意の中、過ごす数日間の物語だ。君塚監督は前作に続き今回も銀落としを施したモノトーンの映像で2人を追っていく。逃げ場所をなくし彷徨う彼らはこの広い世界のなかで、たったひとりぼっちだ。ふたりでいるのに心を通い合わせるわけではない。
少女はただひたすら貝のように心を閉ざす。いきなりの出来事に呆然とし、ただ言われるまま逃げる。何も悪いことなんかしていないのに、追い回される。兄が犯した犯罪のため自分も犯罪者の家族という汚名を着せられ、逃亡者のようになる。逃げ場はない。守ってくれるはずの刑事ですら信用できない。
刑事もまた誰も信用できない、と思っている。組織の中で働くが、上役は自分の手柄だけしか考えていないし、今回の仕事にも疑問を抱いている。容疑者の妹を保護するなんて、警察の仕事なのか、と感じていた。だが、彼女と行動を共にしながら、徐々に考え方を変化させていく。自分の娘と同世代の彼女が絶望の淵に立たされている。その事実が今、離婚の危機にあり娘が心を痛めているという自分の家族の問題とシンクロする。
甘い映画ではない。どちらかといえば映画自体はハードボイルドだ。社会派映画のレッテルが貼られるタイプの映画だろう。抑えた描写となんだか上滑りした部分が混在して、なんだか落ち着かない。いい映画なのはわかるが、絶賛する気にはならない。何か微妙な部分で嘘くさいのだ。
ただ、マスコミの描き方がなんだか大袈裟すぎて、いくらなんでもここまで酷いはずはないだろう、と思ってしまったのだが如何なものか。
カーチェイスのシーンなんて容疑者の妹の乗る車をあそこまで執拗に追いかけるだろうか、と疑問に思う。(あれって、もし追跡中事故を起こしたらどうするのだろうか。)派手な追っかけは映画のリアリティーを削いでしまう。ネットでの書き込みのエスカレートも、確かにああいうのはあるだろうとは、思うが、少女を誘拐し彼女の姿をネット上でライブ公開するなんてやりすぎだろう。あれじゃぁ、犯罪だ。しかも、刑事に暴行までしている。いくら面白がってるだけとはいえ、あそこまでするのか?全体的にはリアルだし、見ていて怖いな、と思わされる映画だが、それらのシーンが誇張に見えるのはどうだかなぁ、と思う。ここで描かれていることは確かな現実だ、というのなら、反論なんかしないが、見ていてリアルに思えないのは事実なのだ。見せ方にも問題があるのではないか。
殺人犯の妹(志田未来)と、彼女を保護する任務を与えられた刑事(佐藤浩市)。彼ら2人がマスコミや周囲の悪意の中、過ごす数日間の物語だ。君塚監督は前作に続き今回も銀落としを施したモノトーンの映像で2人を追っていく。逃げ場所をなくし彷徨う彼らはこの広い世界のなかで、たったひとりぼっちだ。ふたりでいるのに心を通い合わせるわけではない。
少女はただひたすら貝のように心を閉ざす。いきなりの出来事に呆然とし、ただ言われるまま逃げる。何も悪いことなんかしていないのに、追い回される。兄が犯した犯罪のため自分も犯罪者の家族という汚名を着せられ、逃亡者のようになる。逃げ場はない。守ってくれるはずの刑事ですら信用できない。
刑事もまた誰も信用できない、と思っている。組織の中で働くが、上役は自分の手柄だけしか考えていないし、今回の仕事にも疑問を抱いている。容疑者の妹を保護するなんて、警察の仕事なのか、と感じていた。だが、彼女と行動を共にしながら、徐々に考え方を変化させていく。自分の娘と同世代の彼女が絶望の淵に立たされている。その事実が今、離婚の危機にあり娘が心を痛めているという自分の家族の問題とシンクロする。
甘い映画ではない。どちらかといえば映画自体はハードボイルドだ。社会派映画のレッテルが貼られるタイプの映画だろう。抑えた描写となんだか上滑りした部分が混在して、なんだか落ち着かない。いい映画なのはわかるが、絶賛する気にはならない。何か微妙な部分で嘘くさいのだ。