直木賞を取った『八月の御所グランド』の続編となる万城目学の最新作。京都を舞台にした不思議話の2本立。『三月の局騒ぎ』は女子寮にいた清少納言の話。タイトルの作品は本能寺の変の謎解きを繰り返す信長たちの話。前者はなかなか面白い短編だったが、本題である長編(一応)がダラダラ長いだけで,つまらなかったのに驚く。万城目学なのに、どういうことか。
このシリーズは、そんなことあり得ないけど、あり得たこととしてそれを描くファンタジー。まぁ、2作とも確かにいつもながら楽しいことは楽しいけど、いささか甘いし、タッチが優しい。それが上手く機能してない。万城目はもっとバカバカしくていい。バカが彼の持ち味だ。なのにこの中途半端な洗練。直木賞作家になってお上品に日和ったか。直木賞を受賞した作品も少し不満だった。それまでの作品と較べるとなんだか甘い作りで大衆受けしそうな作り。年をとって丸くなったのか。まぁ、そんなわけないから、次回作に期待したい。