『翔んで埼玉』を見る前にもう1本ありえないようなバカバカしい設定の映画を見ておこうと思い、これを見た。予告編を見たとき、これは絶対にあかんわ、と思った。映画があまりに安すぎる。可能性がまるで感じられない。今時こんな映画が作られて、劇場公開されるなんて、ありえない。しかも、東映系で公開である。やくざ映画なら東映、というのは昔からの定番だけど、今ではそんな面影すらない。でも、昨年『孤狼の血』で久々にやくざ映画を作ったので、調子に乗ったのか。とんでもなく、つまらなさそうだから、怖いもの見たさで見てしまった。そして、予想通りの史上最悪の映画で笑ってしまった。
この手の映画はとんでもない大予算で作るか、ピンポイントで攻めるか、それしか、成功はない。しょぼい映画にしたら、すべることは必至だろう。なのに、低予算ですかすかの映画を作ってしまった。アイデァはおもしろいし、そのバカバカしさを最大限に生かすお話の展開ができれば、笑えるはずなのだ。なのに、まるで笑えない安っぽさ。何のためにアイドルになったのかが、わからない。しかも、極道がアイドルになることで、どんなとんでもない事態が生じるのか、期待させといて、まるでそんな期待を嘲笑うがごとく、まるで設定を生かす気がない台本にげんなりする。しょぼいはつまらんわ、では1時間27分であろうとも、退屈するしかない。
最近、映画は厳選している。でも、たまにはこういう箸にも棒にもかからない映画を見て、あきれ返るのも一興だろう。観客も6人だった。