若手劇団の旗揚げ公演を見るのはいつも楽しい。まるで知らない集団がどんな新しい切り口を見せてくれるのかと思うと、それだけでドキドキするからだ。今回のこの作品の「上演時間が45分」というのにも、期待した。妥協しない短かさをそこに期待したからだ。
だが、仕上がった芝居はそうじゃなかった。これでは十分な長さを書けなかっただけではないか、としか言いようのない内容だ。ドラマを展開する前に終わってしまう。3人の役者たちもそれぞれ、ただ自由に演じただけで、この作品世界を体現するわけではない。演出は役者を野放しにしている。だから、どう演じればいいのか、戸惑っているという感じだ。どうしてこんなことになったのか。
劇団のお話というのも、なんだか最初の作品なのに、世界が狭い。どうしてこんなお話を作ろうと思ったのか。さらには、お話の中心をなす火事を通して描きたいものは何だったのかも気になる。劇団という集団が崩壊していく姿を通して何を描こうとしたのか、も。それにしても、こんな内容の芝居をどうして旗揚げ作品に選んだのか。いろんな思惑があったのかもしれないけど、そんないろんな点がなんだか不思議でならない。どうしてもこれをやりたい、という熱意のようなものがここからは伝わらないから、見ていて戸惑うばかりだ。最初の一歩として、この作品にした意味が欲しい。でも、それが感じられない。困った。